Web3とは何者?いま世界を変えている最新技術・トレンドをWeb3 開発者が解説します😎

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2022.08.19
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こんにちは!

最近は Web3.0 界隈が賑やかで、ブロックチェーン関係の開発相談も多い状況です。

これまでは、GAFA をはじめとした巨大テック企業が中央集権的なサービス運営を行い、Web2.0 時代を牽引してきましたが、次世代の Web3.0 はユーザー自身がコンテンツを所有し意思決定を行います。より自由なインターネットの時代がやってきますね。

この記事では Web の歴史を辿りながら、Web3.0 について話したいと思います。

想定する読者

  • Web3.0 が気になっているヒト
  • Web の歴史について振り返りたいヒト

はじめに

本記事では、Web3.0 の入門的な知識を記載します。Web2.0 の歴史を振り返りながら、Web3.0 について理解していただけるよう努めます。ブロックチェーンの詳しい技術解説は行いません。

Web1.0〜Web2.0 時代

多くの現代人の生活を支え続ける Web の技術ですが、実は発明されてからそれほど時間が経っていません。今私たちがよく知っている Web は当初、想像されていたものとは全く異なる形になっています。Web の進化を理解するため、Web の短い歴史を Web 1.0 と Web 2.0 に大まかに分けると理解しやすいでしょう。

Web 1.0: 読み取り専用 (1990-2004)

「地球のどこからでも情報共有ができる」ことをコンセプトに、1989年にヨーロッパのジュネーブでティム・バーナーズ・リーが現在のワールドワイドウェブのベースとなるプロトコルを開発しました。

バーナーズ・リーによって開発された創設初期の Web は現在「Web1.0」として知られており、1990年から2004年くらいの間に使われていました。Web 1.0 は主に企業が所有する静的 Web サイトで、個人がコンテンツを制作することはめったにありませんでした。ユーザー間のやりとりもほぼゼロでした。なので、読み取り専用 Web として知られています。

Web 2.0: 読み書き (2004-現在)

Web 2.0 の時代は、SNS プラットフォームが登場した2004年に到来しました。

Web 1.0 のように読み取り専用ではなく、書き込みもできるように進化しました。企業が一方的にユーザーにコンテンツを提供する Web1.0 と異なり、ユーザー自身もコンテンツを作成・共有できるようになりました。ただ、作成されたコンテンツは主に企業の運営するサーバーで管理されるため、ユーザーが作成したコンテンツは自ずと企業の所有物として位置します。

この中央集権型でのコンテンツ管理を行うのは、まさに Web 2.0 時代の特徴と言えますね。

また、Web 2.0 ではユーザー同士の間でやりとりできるプラットフォーム(Facebook、Google、Amazon 等)が数多く提供され、そうして創造された多くのユーザーの存在するコミュニティは、企業の収益化に大きく貢献しました。Web 2.0 時代を牽引した最も大きい収益モデルは、そうしたコミュニティを利用した Facebook のような広告収益だと感じます。

Web 3.0: 読み取り書き込み所有

「Web 3.0」はイーサリアムの共同創設者のギャビン・ウッドが、2014年にイーサリアムの発売直後に発表した考えに基づいて開発が進んでいます。いま使っている Web は一握りの民間企業が人々に最善の利益を与えると信頼することで成り立っていますが、言い換えれば民間企業による独占的なコンテンツの所有がされているということです。

Web3.0 は、このような中央集権型(殿様商売)のデータ管理から、ユーザーがコンテンツを所有する分散型への転換を導きます

肝心なことは Web3.0 は概念的なものであり、未だ確立されていない

Web3.0 という言葉には、Web2.0 時代の課題を解決し、インターネットをより良くしたい思いが集まった新しい時代へのビジョンが詰められています。

つまり、Web3.0 は未だ確立されておらず、これから作られていくものです。分散型=Web3.0 ではないので注意しましょう🫢

Web3.0 は、ブロックチェーン、暗号資産、そして NFT 等の技術を駆使しユーザーにコンテンツの所有権を与えます。2020年のTwitterの投稿にうまく要約されているように、Web1.0 は読み取り専用・Web2.0 は読み取り/書き込み・Web3.0 は読み取り/書き込み所有と捉えられます。Web2.0 とWeb3.0 の違いはコンテンツに対して所有権があるか否かです。

Web3.0 のコアアイデア

Web 3.0 の定義を定めるのは難しいですが、Web3.0 時代のアプリ(dApps)開発を導く基盤となる考え方がいくつかあります。

分散化中央集権化された組織によって所有・コントロールされているコンテンツを、ユーザーが所有します。
コミュニティへの参加に許可はいらない誰もが Web3.0 に参加できる平等なアクセス権を持ち、誰も除外されません。
ネイティブ決済ができる銀行や支払い処理業者の古いインフラストラクチャに頼るのではなく、オンラインでの支出や送金に暗号通貨を使用します。
信頼を必要としない信頼できる第三者に頼るのではなく、インセンティブと経済の仕組みを利用して運営されています。

なぜ Web3.0 が重要なのか?

Web3.0 にはすばらしい概念がたくさんありますが、理解しやすいようにシンプルなカテゴリーに分けて説明します。

所有権

Web 3.0 はデジタル資産の所有権をユーザーに与えます。たとえば、Web 2.0 上でゲームをプレイしているとします。ゲーム内でアイテムを購入すると、ゲーム内のアカウントに直接結び付けられます。これらのアイテムは、ゲームクリエイターがアカウントを削除すると全て失われます。またゲームをやめると、ゲーム内アイテムに投資した価値が失われます。

Web3.0 では代替性トークン(NFT)を使って、ユーザーに直接所有権を与えます。ゲームの作成者でさえ、誰もあなたの所有権を奪う力を持っていません。またプレイをやめると、オープンマーケットでゲーム内アイテムを販売または取引し、アイテムに投資した価値を取り戻すことができます。

検閲されない

現在のプラットフォームとコンテンツクリエイターの間の力関係は、非常に偏っています。

OnlyFansは100万人以上のコンテンツクリエイターがいる SNS で、多くの人はプラットフォームを主な収入源として使用しています。2021年8月、OnlyFans はコンテンツの規制を厳しくする計画を発表しました。発表後、今まで支援し続けてきたプラットフォームで収入が奪われると危機を感じ、クリエイターの間で怒りが爆発しました。クリエイターのバックラッシュの後、会社はすぐにこの計画を取り消しました。クリエイターはコンテンツの検閲を免れましたが、Web 2.0 クリエイターにとって大きな問題が明らかになりました。プラットフォームから離れると、今まで蓄積された評判やフォロワーをすべて失うということです。

Web3.0 では、あなたのデータはブロックチェーン上に存在しつづけます。今まで使っていたプラットフォームを離れて、他のインターフェイスに移行する際も、自分の評判を失うことなく移れます。

Web 2.0 のコンテンツ作成者は、プラットフォームがルールを変更しないと信用する必要があります。しかし Web3.0 は検閲から逃れる機能があるプラットフォームなので、安心です。

分散型自律組織(DAO)

Web3.0 ではデータを所有するだけでなく、企業の株式のように機能するトークンを利用してプラットフォームを一つの組織として所有することができます。DAO を使用すると、プラットフォームの分散型所有権を調整でき、今後どのようにするか決定権を持つことができます。

DAO は技術的には、大量のリソース(トークン)の意思決定をスマートコントラクトを使うことで、すでに決められたルールに従って自動化する分散型の組織として定義されています。トークンを持つユーザーはリソースがどのように使われるかに投票でき、コードが自動的に投票結果を実行します。

しかし、多くの人々が Web3.0 コミュニティを DAO としてそれぞれ定義づけしています。コミュニティの分散化のレベルがそれぞれ異なるので、一つの定義に定めるのが難しいです。現時点では、DAO とは何か、将来どのように進化するかを模索している段階です。

アイデンティティ

従来、使用したいすべてのプラットフォームに自分のアカウントを作成しなければいけませんでした。たとえば、Twitter アカウント・YouTube アカウント・Reddit アカウントをそれぞれ作ります。表示名やプロフィール画像を変更したい場合も、すべてのアカウントで一つひとつ変更する必要があります。ソーシャルサインインを使用できる場合もありますが、検閲の問題に直面します。プラットフォームはワンクリックでオンラインからユーザーを締め出す権限を持っているからです。さらに、アカウントを作成する際に提供する個人を特定できる情報が他に漏れないか、プラットフォームを信頼する必要があります。

Web3.0 ではイーサリアムアドレスと ENS(イーサリアム・ネーム・サービス)プロファイルでデジタルアイデンティティをコントロールすることで、問題を解決します。イーサリアムアドレスを使用すると、一つのログインアカウントで匿名でいろいろなプラットフォームへ安全に、また検閲されずにログインできます。

ネイティブ決済

Web2.0 の支払いインフラストラクチャは銀行や支払い処理を担当する会社に依存しているので、銀行口座を持たない人や危険とされている国に住んでいる人が除外されます。Web3.0 は、イーサリアムのプラットフォーム内で使われている仮想通貨ETH(イーサ)などのトークンを使用してブラウザで直接送金し、信頼できる第三者を必要とせず取引ができます。

Web3.0 の制限

現在開発が進んでいる Web3.0 の利点はたくさんありますが、エコシステムをより多くの人に使ってもらうために対処しなければならない制限がまだたくさんあります。

例えば日本では数年前にバイナンス(世界トップの暗号資産取引所)を、日本の金融庁が暗号資産の事業者として認可しませんでしたね。加えて何度かバイナンスに対し警告を出しています。これによりバイナンスは日本への事業展開が難しくなりました。(利用自体が禁止というわけではありません。実際には板取引を手数料低く行うために利用しているヒトは多くいると推測します)

各国の法的な整備、受け入れはこれから課題になっていくでしょう。

アクセシビリティ

イーサリアムでのサインインなどの重要な Web3.0 機能は、すでに誰でもゼロコストで使用できます。しかし取引手数料(ガス代)が比較的高く、依然として多くの人がアクセスできない状態です。Web3.0 は取引手数料が高いため、裕福でない発展途上国で利用するにはまだまだハードルが高いです。例えばカンボジアの月給5万円程度のヒトが、10ドル以上の取引手数料を支払うのは至難です。

ただしイーサリアムでは、これらの課題はネットワークのアップグレードレイヤー2スケーリングソリューションによっていくらか解決しています。

Web3.0 はテクノロジーの準備はできていますが、世界の誰もが Web3.0 にアクセスできるようにするには、トランザクションの手数料(ガス代)を下げる仕組みが必要だろうと感じます。

ユーザーエクスペリエンス

Web3.0 を使用するのは、現在の時点では技術的なハードルが高いです。ユーザーは、セキュリティ上の懸念を理解した上で複雑な技術文書を読み、直感的ではないユーザーインターフェイスを使いこなす必要があります。ウォレットプロバイダーはこの問題を解決するために日々取り組んでいますが、Web3.0 が多くの人に使用されるには、さらに進化が必要だろうと感じます。

教育コスト

Web3.0 は、Web2.0 で使用されているものと異なる新しいパラダイムを導入しているので、ブロックチェーンの仕組みや扱い方について1から学ばなければいけません。1990年代後半に Web1.0 へ人気が集まり、Web教育の取り組みが行われたように、Web3.0 も概念レベルから学習コストが必要となります。

Ethereum.orgは、翻訳プログラムを通じて Web3.0 教育に必要な情報を発信しています。重要なイーサリアムコンテンツをできるだけ多くの言語に翻訳することを目指していますので、Web3.0 に関心のある方は必見でしょう。

バイナンスの出しているバイナンスアカデミーもおすすめですので、合わせてご覧ください。

集中型インフラストラクチャ

Web3.0 エコシステムはまだ新しく、急速に進化している途中です。現在はまだ、数多くのアプリケーションが主に中央集中型インフラに依存しています。Web3.0 の高品質で信頼性の高いインフラ構築には時間がかかりそうです。わたしたちも日々取り組んでいますが、発見が多いですね。

分散型の未来

Web3.0 はまだできたばかりで、これから進化するエコシステムです。ギャビン・ウッドは2014年にWeb 3.0の考えを述べましたが、彼のアイデアの多くは最近になって初めて現実となりました。昨年(2021年)だけでも暗号通貨への関心が大幅に高まり、レイヤー2スケーリングソリューションの改善、dApps の大規模な実験、Web3.0 認証の革命がありました。

今はまだ、Web3.0 でより良い Web を作る最初の段階ですので、これからがとても楽しみですね。

まとめ

今回は Web の歴史から Web3.0 について解説しましたが、是非 Web3.0 への理解を深めていただけたら幸いです。

Web3・サーバーレスに関する開発はお気軽にご相談ください。