パブリックチェーン VS プライベートチェーン!どちらを選ぶ? ブロックチェーンの基礎をWeb3開発マネージャーが解説します📣

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2022.09.22
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こんにちは!

DAppsの開発を検討する際、パブリックチェーンかプライベートチェーン、どちらのブロックチェーンがいいのか迷っている企業は多いと思います。この記事では、それぞれのメリットやデメリット、理解を深めるため、パブリックチェーンとプライベートチェーンを比較します。

ブロックチェーン技術が始まって以来、パブリックチェーンとプライベートチェーンについて世界的に議論がなされてきました。企業にとって、2つのブロックチェーンに大きな違いあることを理解することはとても重要です。それぞれのブロックチェーンの使用例から、適切なブロックチェーン開発を見極めることができます。

残念ながら、多くの企業が違いを理解できずに混乱しています。誤った認識でブロックチェーンプラットフォームを選んでしまったら、適切なソリューションは作れません。

本記事で、パブリックチェーンとプライベートチェーンの似ている点や異なる点をきちんと理解し、ニーズに合ったブロックチェーンを選んでください。

想定する読者

  • ブロックチェーンの種類を知りたいヒト
  • ブロックチェーンを取り入れたい企業のヒト

はじめに

本記事では、パブリックチェーンとプライベートチェーンのそれぞれの特徴を解説、比較します。

パブリックチェーンとプライベートチェーン

出典:101blockchains.com

パブリックチェーンとは?

パブリックチェーンは、誰でもいつでも参加できるブロックチェーンのネットワークです。参加に対する制限はありません。さらに誰でも台帳を見ることができ、合意形成を行うコンセンサスプロセスに参加できます。

例えば、イーサリアムビットコインはパブリックチェーンのプラットフォームの1つです。

完全に分散化されたネットワークシステムが必要な場合は、パブリックチェーンがぴったりです。ただし、パブリックチェーンのネットワークを、大規模な事業プロセスを効率化するためのエンタープライズブロックチェーンに組み込もうとすると、取引の承認に時間を要するなどのいくつかの問題が発生する可能性があります。

パブリックチェーンのネットワークは、ブロックチェーンの革命の中で初めて作られたタイプでした。ビットコインにより、ブロックチェーン技術の基礎が築かれました。

ブロックチェーンの技術の利点に注目し、多くの人が課題点を解決しながら多種多様なブロックチェーンが作られました。

パブリックチェーンの利点は、何があろうとすべての参加者が平等な権利を持つことができるところです。

一人一人が合意プロセスに参加し、自由にほかの仲間と取引することができます。そして誰もが台帳を見ることが可能なため、すべての取引は常に透明性を維持します。

しかし、パブリックチェーンの使用例では欠点も散見されます。パブリックチェーンのプラットフォームは他に比べて速度が遅いです。そして匿名で参加できるため、違法行為を目的にプラットフォームを使用する悪意のある人が集まる可能性があります。

それでは、パブリックチェーンの素晴らしい機能をチェックしましょう。

パブリックチェーンの素晴らしい機能

セキュリティーの高さ

WEBに公開されている殆どのパブリックチェーンは、常に完全なセキュリティを提供できるよう設計する必要があります。セキュリティインシデントが発生した場合、プラットフォームが扱っている機密情報やその規模に比例し、企業や組織に損害・被害が発生するためです。このハッキングによる損失は毎年、世界中で数十億ドルに及びます。

パブリックチェーンのセキュリティー・プロトコルを使用すれば、すべてのハッキング問題を簡単に阻止できます。さらに、ブロックチェーン技術による改ざんの難しさから、様々なプロジェクトの取引の価値は保証され、データの品質を向上させます。

セキュリティー・プロトコルはもちろんプラットフォームによって違いますが、パブリックチェーンを導入したプラットフォームのセキュリティーは頑丈だと言えるでしょう。

オープンな環境

名前の通り、パブリックチェーンはすべての人がアクセスできます。どこに住んでいてもプラットフォームにログインできるということです。必要なのは、インターネット接続とコンピューターだけです。

すなわち、世界中のすべての人がブロックチェーン技術の恩恵をいつでも得られるというわけです。さらに、取引のための安全な環境を提供しています。また、マイニングでお金を稼ぐことも可能です。マイニングを事業内容として作られた会社も存在することから、新たな経済圏を作り出しているとも言えます。

匿名の性質

パブリックチェーンの匿名性は、多くのユーザーを魅了する機能の一つです。基本的に、パブリックチェーンでは誰もが匿名で参加できます。本名や本当の身元は一切使用しません。すべてが非公開なので、誰も身元を追跡することはできません。

パブリックドメインで、自分の所有物を安全に守るための画期的な機能と言えます。しかし、それを違法行為に使用する人もいます。多くの犯罪者は、ダークウェブ上の違法の支払いにビットコインを使用する傾向があります。これはパブリックチェーンの欠点の一つです。

しかし、悪い面だけで判断しないでください。新しい技術を悪いように使うか、いいように使うかは人次第です。悪用する人がいるからといって、パブリックチェーンの技術自体の価値が落ちるわけではありません。

規制がない

パブリックチェーンでは、ブロックチェーン上の取引データを保持するコンピュータ(ノード)に課せられている規制はありません。したがって、一人一人が制限なくプラットフォームを使用できます。しかし、企業は規制のない環境で事業を行うのはリスクになるため、問題点とも捉えられます。

企業は事業を行うために、法的な規制、認可が必要な場合が多々あります。そのため、パブリックチェーンはコンシューマー向けプラットフォームでの使用をお勧めします。

パブリックチェーンを使う理由

分散化の実現

パブリックチェーンは、分散化を実現します。プライベートチェーンではできないことです。誰もが台帳のコピーを保持しているので、力を分散させることができます。

基本的に、このタイプのブロックチェーンには中央集権がありません。ですので、ネットワークの維持を任されているはノードのみです。合意方法としてコンセンサスアルゴリズムを使い、一人一人が台帳を更新しながら公平性を保っています。

さらに、台帳の保持とコンセンサスアルゴリズムの機能は、システムが常に分散型の環境であることを保証します。

完全な透明性

パブリックチェーンのように完全な透明性のあるプラットフォームは、他にはありません。パブリックチェーンを開発している企業は、誰でも台帳をアクセスできるように透明性を重視したプラットフォームを設計する傾向があります。

つまり、いつでも好きなときに台帳を見ることができるので、不正や台帳の不一致などの問題が発生しません。誰もが台帳の維持に関わり、合意する必要があるからです。

不変性

パブリックチェーンのネットワークは不変な要素があります。不変性とは、一度ブロックがチェーンに追加されると、ブロックを変更したり削除したりする方法がないということです。したがって、他の人から利益を得るために特定のブロックを変更したくても、変更(不正)が行えません。

実際、一般的なアプリケーションは、データの変更に関わるセキュリティインシデントに悩まされています。パブリックチェーンは、ハッシュ関数がセキュリティー・プロトコルとして機能するので、問題の解決につながりますね。

ユーザーの完全なエンパワーメント

どのネットワークでも、通常ユーザーは多くの規則や規制に従わなければなりません。そして多くの場合、ルールは公平ではないでしょう。しかし、パブリックチェーンのネットワークには規制がありません。すべての動きを把握する中央集権がないため、すべてのユーザーに同一の権限が与えられています。

パブリックチェーンは一般に公開されているため、企業はノードのダウンロードとコンセンサスへの参加を止めることはできません。これは、プライベートチェーンとの大きな違いです。プライベートチェーンでは、ユーザーに完全な自由が与えられません。(何故プライベートチェーンで自由が与えられないのかは後述)

プライベートチェーンとは?

プライベートチェーンは、一つの組織のみがネットワークに対する権限を持つ、特殊なブロックチェーン技術です。ですので、プライベートチェーンのネットワークには一般の人が参加できません。プライベートチェーンは、プラットフォームに入る前に承認する仕組みになっています。

つまり、プライベートチェーンでは、信頼を得た人しかプラットフォームを使用できません。プライベートチェーンは、ノード同士が信頼し合っているという前提のネットワークモデルです。この特徴から、主なユースケースとして、企業・組織内の従業員のみがアクセス可能なプラットフォームの開発があります。

では、プライベートチェーンも分散化されているのでしょうか?実際のところ、技術的には完全に分散化されていません。プライベートチェーンは、パブリックチェーンのプラットフォームのように完全に分散化されていませんが、部分的に分散化されていると言えます。

そして、プライベートチェーンのプラットフォームでは、守らなければいけない規則が定められています。すべてのノードは、会社の提供するワークフローを守る必要があります。プライベートチェーンの多くのケースでは、コーポレートガバナンスに基づいてプラットフォームのワークフローが設計されます。

プライベートチェーンのプラットフォームに関して、世界中でさまざまな議論が展開されてきましたが、誤った認識が多いのが現実です。プライベートチェーンは中央組織が適切と判断した場合、取引を上書きできると一般的に勘違いされていますが、そのようなことはありません。ブロックチェーンの仕組み上、過去の取引を改ざんすることは困難です。

以上のプライベートチェーンの特徴をメリットとして考えるなら、プライバシーを必要とする企業には、プライベートチェーンの選択は適していると言えます。情報漏えいの許されない、限定的なネットワークでの利用は正しい選択となり得ます。

プライベートチェーンの素晴らしい機能

処理速度が速い

パブリックチェーンは最初にできたブロックチェーンですが、世界中の全ての人がネットワークに参加できるため、取引量が利用者に比例して増大するにつれ処理速度が遅くなり、その使いにくさを批判されていました。取引量が増えれば増えるほど、コンセンサスを行うコストは増大します。例えばビットコインでは、定期的にネットワークアップデートを実施していますが、それでも1回の取引で10分ほどの時間がかかってしまいます。

一方プライベートチェーンは、ネットワーク内に決められた数の人しか参加を許可していません。多くの場合、参加するために完了すべきタスク(本人確認等々)があり、簡単には参加できません。そのため、余分な取引を発行せず、プラットフォームの処理速度低下を防ぎます。

完全なプライバシー

パブリックチェーンと異なり、プライベートチェーンはプライバシー上の懸念を解決することに力を入れています。最高レベルのプライバシーを提供する技術を探している企業に最適です。

企業は常にセキュリティーやプライバシーの問題に日頃悩まされているはずです。従業員の個人情報を始めとした、様々な機密情報を守りたい企業が多いのです。機密情報が1つでもリークされた場合、会社にとって大きな損失を意味します。

そのため、企業は機密情報を保護できるストレージを使用する必要があります。プライベートチェーンは機密情報保護のストレージに適しています。

安定性

プライベートチェーンは手数料が安定しているので、安心して使用できます。すべてのブロックチェーンのプラットフォームは、取引を完了するために一定の料金(ガス代)を支払う必要があります。パブリックチェーンのプラットフォームでは、取引を要求するノードの数が増えることで、手数料が大幅に上がる可能性があります。

取引のリクエストが多すぎると、取引完了に時間がかかります。ですので、時間が経つにつれて料金が大幅に上がってしまう場合があります。しかし、プライベートチェーンのプラットフォームでは、そのようなことはありません。取引をリクエストできる人数が決められているので、取引に時間がかかりません。

そのため、取引の手数料も変わることがないと言えます。

プライベートチェーンを使う理由

低い手数料

プライベートチェーンのプラットフォームでは、取引手数料が非常に低いです。パブリックチェーンと違い、取引にかかる料金はリクエスト数に比例して増加しません。つまり、何人が取引を要求しても手数料が上がることがありません。

手数料が上がり、予期しないコストが発生することもないためコスト面では安心して利用できます。

お金を節約できる

プライベートチェーンは大幅なお金の節約につながります。プライベートチェーンの維持は、パブリックチェーンに比べるととても簡単です。プライベートチェーンのプラットフォームの維持には、少しのリソースしか必要としません。逆にパブリックチェーンは、プラットフォームの膨大な数の人をサポートするために多くのリソースを必要とします。ですので、長期的に見ると、プライベートチェーンはコストの大幅な軽減につながります。

違法行為がない

プライベートチェーンのプラットフォームには、ネットワークにログインする前に認証プロセスがあります。このプロセスにより、システムに入り込もうとする侵入者をフィルタリングできます。いわゆる、ekyc のような本人確認プロセスを挟むことが可能です。

パブリックチェーンは、匿名のため犯罪活動に使用されるケースがあると話しましたが、プライベートチェーンでは認証・検証済みの個人のみがシステムに入れるので、違法行為を防げます。

規制できる

プライベートチェーンでは規制や規則を定めることができます。企業では、コーポレートガバナンスに従い、就業規則などのさまざまな規則や規制に従って従業員に働いてもらう必要があります。

プライベートチェーンの理論は企業の仕組みに似ています。すべての規則を書き出すことができ、従業員はそれに従わなければなりません。

パブリックチェーン VS プライベートチェーン

権限

パブリックチェーンでは、完璧な分散化を実現できます。プライベートチェーンのネットワークでは実現できないことです。誰もが台帳のコピーを保持でき、力が分散されています。

一方、プライベートチェーンはシステム全体を管理する大きな権限を持っています。

アクセス

プライベートチェーンでは、単一の組織がネットワークの権限を持っています。したがって、すべての一般人が参加できるわけではありません。プラットフォームに参加する人を確認する承認システムを導入していますので、プライベートチェーンのネットワークには選ばれたメンバーしかアクセスできません。

一方、パブリックチェーンのネットワークには、いつでも誰でも参加できます。参加に対する制限はありません。さらに、誰でも台帳を見ることができ、コンセンサスプロセスに参加できます。

取引コスト

パブリックチェーンのプラットフォームは、プライベートチェーンに比べて取引コストが高い傾向があります。プラットフォーム上の膨大な数のノードにより、パフォーマンスが低下するからです。その結果、取引リクエストの処理に時間がかかります。したがって、コストが大幅に上がります。

一方、プライベートチェーンのプラットフォームでは、取引手数料は非常に低いです。パブリックチェーンと違い、取引料金はリクエスト数に比例して増加しません。ですので、何人が取引を要求しても、手数料は低いままにキープできます。

コンセンサス

パブリックチェーンのノードでは、コンセンサスプロセスへの参加の制限はありませんので、誰もが自由に参加し、プラットフォームを利用できます。

一方、プライベートチェーンでは、コンセンサスに参加できる人と参加できない人を事前に決められます。したがって、すべてのノードがコンセンサスプロセスに関われるわけではありません。

取引の速度

プライベートチェーンとパブリックチェーンの取引速度を比較してみましょう。

まず、ある一定の量までは、両方のプラットフォームのパフォーマンスが完全に同じレベルです。しかし、その特定の量を超えると、取引の速度は大幅に変化します。

通常、パブリックチェーンでは、誰でも取引をリクエストできるので、ネットワーク上のリクエストが多すぎると、それに比例してネットワークの取引速度が遅くなります。取引を処理するのに、すごく時間がかかる場合があります。

しかし、プライベートチェーンではそのようなことはありません。取引プロセスに参加できるノードの数が限られているので、同じ速度をキープできます。

データ処理

プライベートチェーンとパブリックチェーンのデータ処理技術を比較してみましょう。パブリックチェーンでは、誰でも台帳に読み書きできます。しかし、台帳に一度載せたら、変更することはできません。

しかし、プライベートチェーンでは、組織だけが台帳で読み書きする権限があります。さらに、台帳に書き込むことができるノードの数も限られています。

それぞれ長所と短所がありますね。

処理速度

パブリックチェーンとプライベートチェーンの効率性を見てみましょう。パブリックチェーンは、プライベートチェーンに比べて速度が遅いです。その理由は、パブリックチェーンは取引を同時処理する量の拡張性(スケーラビリティー)の問題があり、プラットフォーム上のノードが多すぎると速度が低下します。

一方、プライベートチェーンではプラットフォーム上のノードの数は少ないので、処理速度が速いです。

データの不変性

パブリックチェーンのネットワークは一度ブロックがチェーンに加えられると、ブロックの変更や削除ができないので、完全な不変性を提供します。他の人から利益を得るために、ブロックを変更するといった不正ができないということです。

一方、プライベートチェーンは部分的に不変性があります。しかし、組織が適切だと判断した場合、特定のブロックを削除することができます。

プライベートチェーンとパブリックチェーンの一番大きな違いですね。

パブリックチェーンとプライベートチェーンの比較表

パブリックブロックチェーンプライベートブロックチェーン
アクセス誰でも単一の組織
権限分散型部分的に分散化
コンセンサス無許可許可された者のみ
データ処理誰でも読み書きアクセス単一の組織しか読み書きアクセスできない
処理速度遅い速い
データの不変性有り部分的
取引コスト高い低い
トランザクション速度遅い速い

まとめ

パブリックチェーンとプライベートチェーンを比較しました。ご覧のとおり、技術面で多くの違いがあることが分かります。パブリックチェーンとプライベートチェーンの機能を理解し、企業に適したブロックチェーンを選びましょう。

本記事の内容を活かして、ビジネスに最適なブロックチェーンを選んでください。

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