ECSは、コンテナ化されたアプリケーションをAWS上で実行するためのフルマネージドサービスです。従来のEC2インスタンスでアプリケーションを構築・運用する環境と比較して、より効率的かつスケーラブルなシステムを実現できます。
本記事では、これからECSを導入しようと考えている方や、EC2環境からの移行を検討している方を対象に、ECSの設計時に意識するポイントを解説していきます。特にEC2からの移行時に確実に抑えておきたいポイントを紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
AWSでアプリケーションを運用する際、従来はEC2インスタンス上に環境を構築することが一般的でした。しかし、近年ではコンテナ技術の普及に伴い、ECSの利用が急速に拡大しています。
ECSを採用するメリットとして、主に以下の点が挙げられます。
ECSを理解するためには、その構成要素を理解することが重要です。ECSは、主に以下の3つの構成要素から成り立っています。
では、実際にECSを設計する際に、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?ここでは、EC2からの移行をスムーズに進めるための7つのポイントを紹介します。
ECSを利用するためには、まずアプリケーションをコンテナ化する必要があります。Dockerなどのコンテナ技術を用いて、アプリケーションの実行に必要なものをすべてコンテナイメージにパッケージングします。
この時に意識するべき点は、アプリケーションをマイクロサービスアーキテクチャに分割することです。マイクロサービスアーキテクチャとは、アプリケーションを独立性の高い小さなサービスに分割し、それぞれをAPIで連携させる設計手法です。
従来のEC2環境では、1つのインスタンスに複数のアプリケーションを同居させているケースも多いのではないでしょうか?しかし、ECS環境では、1つのタスク定義に対して1つのコンテナイメージを実行することが基本となります。そのため、EC2環境で構築したアプリケーションをそのままコンテナ化するのではなく、マイクロサービスアーキテクチャに分割することで、ECSのメリットを最大限に活かすことができます。
タスク定義では、コンテナイメージを実行するために必要なリソースを定義します。CPUやメモリなどのリソースを適切に設定することで、パフォーマンスの向上とコストの削減を実現できます。
EC2環境では、インスタンスタイプに応じてCPUやメモリなどのリソースが固定されていましたが、ECSではタスク定義で必要なリソースを柔軟に設定できます。アプリケーションが必要とするリソース量を正確に把握し、タスク定義に適切な値を設定しましょう。
サービスは、タスク定義に基づいてコンテナを実行する単位です。サービスを設計する際には、可用性、スケーラビリティ、セキュリティなどを考慮する必要があります。
例えば、サービスの公開方法として、インターネットからアクセス可能な「ロードバランサー」と、内部ネットワークからのみアクセス可能な「IPアドレス」のいずれかを選択できます。アプリケーションの要件に応じて、適切な公開方法を選択しましょう。
ECSでは、コンテナはデフォルトでVPC内に配置されます。そのため、EC2環境からの移行にあたり、VPCやサブネットなどのネットワーク構成を見直す必要がある場合があります。
特に、セキュリティグループの設定は重要です。ECSでは、コンテナ単位でセキュリティグループを設定することができません。そのため、セキュリティグループはタスク定義単位で設定することになります。アプリケーションのセキュリティ要件を満たすように、適切なセキュリティグループを設定しましょう。
ECSでは、アプリケーションのログをAmazon CloudWatch Logsに送信できます。CloudWatch Logsを使用することで、ログの収集、保存、分析を簡単に行えます。また、ECSはAmazon CloudWatchと統合されており、CPU使用率やメモリ使用率などのメトリクスを監視できます。
EC2環境では、ログの収集やモニタリングは独自に構築する必要がありましたが、ECSではAWSのマネージドサービスを利用することで、容易に実現できます。
ECSでは、AWS CodePipelineやAWS CodeDeployなどのサービスを使用して、CI/CDパイプラインを構築できます。CI/CDパイプラインを構築することで、アプリケーションのデプロイを自動化し、開発のスピードアップと品質の向上を実現できます。
EC2環境では、JenkinsなどのCI/CDツールを独自に構築するケースも多いですが、ECSではAWSのマネージドサービスを活用することで、より容易にCI/CDパイプラインを構築できます。
ECSでは、AWS Identity and Access Management (IAM) を使用して、リソースへのアクセスを制御します。ECSタスクロールを使用して、コンテナに最小限の権限を付与することで、セキュリティリスクを低減できます。
EC2環境では、インスタンスにSSHでログインして作業することが多かったですが、ECSでは原則としてコンテナにログインする必要はありません。IAMやECSタスクロールを適切に設定することで、セキュリティリスクを低減できます。
ECSを利用するためには、まずアプリケーションをコンテナ化する必要があります。アプリケーションをコンテナ化するためのツールやAWS製品は数多く存在しますが、以下に代表的なものを紹介します。
これらのツールや製品を組み合わせることで、アプリケーションを効率的にコンテナ化し、ECS上で運用することができます。
アプリケーションをコンテナ化する際には、以下のポイントに注意しましょう。
コンテナ化ツールやAWS製品を利用することで、アプリケーションの開発・運用を効率化し、より安全でスケーラブルなシステムを実現できます。
今回は、ECSの設計時に意識するポイントについて解説しました。
ECSは、コンテナ化されたアプリケーションをAWS上で実行するための強力なサービスです。EC2環境からの移行を検討する際には、本記事で紹介したポイントを踏まえ、適切な設計を行うようにしましょう。
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