近年、金融業界全体でデジタル化が急速に進展しており、中小企業・庶民金融機関にとっても、この流れは避けて通れません。競争力を維持し、顧客に最適な金融サービスを提供し続けるためには、積極的にIT戦略を導入し、デジタル化を推進していく必要があります。
この記事では、市場の状況を踏まえながら、中小企業・庶民金融機関が取り組むべきIT戦略の全体像について解説します。
PESTEL分析とは、企業の外部環境を分析する際に用いられるフレームワークで、Political(政治的)、Economic(経済的)、Social(社会的)、Technological(技術的)、Environmental(環境的)、Legal(法的)の6つの視点から分析を行います。
中小企業・庶民金融機関をPESTEL分析の観点から分析すると、下記のような外部環境の変化が挙げられます。
要因 | 変化 | 中小企業・庶民金融機関への影響 |
---|---|---|
Political(政治的) | 金融政策の変更、規制緩和・強化 | – 新規事業への参入障壁の変化 – コンプライアンス体制の強化 |
Economic(経済的) | 景気変動、金利変動、円高・円安 | – 企業の資金需要の変化 – 貸出金利や預金金利への影響 |
Social(社会的) | 人口減少、高齢化、ライフスタイルの多様化 | – 顧客ニーズの多様化 – 地域社会への貢献 |
Technological(技術的) | フィンテックの進展、AI・ビッグデータの活用 | – 新たな金融サービスの創出 – 業務効率化・コスト削減 |
Environmental(環境的) | 気候変動問題、SDGsへの関心の高まり | – 環境関連融資の拡大 – 環境負荷低減への取り組み |
Legal(法的) | 個人情報保護法の改正、金融規制の強化 | – セキュリティ対策の強化 – コンプライアンス体制の強化 |
上記のような外部環境の変化を踏まえ、中小企業・庶民金融機関は、それぞれの要因がもたらす影響を分析し、自社の経営戦略に反映させていく必要があります。
近年のIT技術の進化は目覚ましく、中小企業・庶民金融機関においても、その影響は大きなものとなっています。特に注目すべきは、以下の3つのトレンドです。
トレンド | 説明 | 中小企業・庶民金融機関への影響 |
---|---|---|
クラウド化 | サーバーなどのITインフラを自社で保有するのではなく、クラウドサービスを利用すること | – ITコスト削減 – システムの柔軟性・拡張性の向上 – 最新技術への迅速な対応 |
データ活用 | 顧客情報や取引履歴などのデータを分析し、新たなビジネス機会の創出や業務効率化に活用すること | – 顧客ニーズに合わせたサービス提供 – リスク管理の高度化 – 新商品開発 |
API連携 | 異なるシステム同士をAPI(Application Programming Interface)で連携させること | – フィンテック企業との連携による新サービス開発 – 業務プロセスの自動化 – 顧客利便性の向上 |
これらのトレンドを効果的に活用することで、中小企業・庶民金融機関は、従来のビジネスモデルを大きく変革し、競争優位性を確立していくことが可能となります。
中小企業・庶民金融機関にとって、限られた経営資源の中で、いかに効率的にIT投資を行うかが重要な課題となります。その解決策として、近年注目を集めているのが、AWS(Amazon Web Services)のサーバーレス技術を活用したIT戦略です。
AWSサーバーレスとは、サーバーの管理や運用をAWSに任せることで、インフラ管理の手間やコストを大幅に削減できるサービスです。具体的には、以下のようなサービスが挙げられます。
サービス名 | 説明 |
---|---|
AWS Lambda | イベントをトリガーにコードを実行するサービス サーバーの起動や管理が不要 |
Amazon API Gateway | APIの作成、公開、管理、監視、保護を行うサービス APIの開発・運用負荷を軽減 |
Amazon DynamoDB | フルマネージド型のNoSQLデータベースサービス 高速かつスケーラブルなデータベースを容易に構築 |
これらのサービスを組み合わせることで、従来型のシステムに比べて、開発期間の短縮、運用コストの削減、システムの柔軟性・拡張性の向上といったメリットを実現することができます。
では、具体的にどのようなIT戦略を実行すれば良いのでしょうか。ここでは、代表的な手法を3つ紹介します。
インターネットバンキングやスマホアプリなど、顧客がいつでもどこでも利用できるオンラインサービスを拡充することで、顧客利便性の向上と業務効率化を図ることができます。
具体的な施策例
顧客の属性情報や取引履歴、Webサイトの閲覧履歴などのデータを分析することで、顧客ニーズや行動パターンを把握し、よりパーソナライズ化されたサービスを提供することができます。
具体的な施策例
RPA(Robotic Process Automation)やAI-OCRなどの技術を活用することで、定型業務を自動化し、業務効率化とヒューマンエラーの削減を実現することができます。
具体的な施策例
中小企業・庶民金融機関を取り巻く事業環境は、デジタル化の進展を背景に、大きな転換期を迎えています。競争力を維持し、持続的な成長を遂げていくためには、IT戦略を経営の中核に据え、積極的にデジタル化を推進していく必要があります。
本稿でご紹介した内容を参考に、自社の強みを活かしたIT戦略を策定し、実行していくことを期待します。
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