レガシーシステムのモダナイズ、あなたはどこまで知っていますか?

レガシーシステムのモダナイズ、あなたはどこまで知っていますか?

皆さんは「モダナイズ」「モダナイゼーション」という言葉を耳にしたことはありますか?

IT業界で頻繁に聞かれるようになったこの言葉ですが、言葉自体が抽象的な概念であるため、具体的に何を指しているのか、分かりづらく感じている方もいるのではないでしょうか?

特に、SIer企業のプロジェクトマネージャーや開発リーダーの方々は、顧客から「既存システムをモダナイズしたい」という要望を受ける機会が増えてきているかと思います。

しかし、モダナイズには様々なアプローチがあり、顧客のビジネスニーズやシステムの状況によって最適な方法は異なります。

そこで今回は、レガシーシステムのモダナイゼーションについて、基本的な概念から具体的な方法、AWSでの活用事例まで、分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、モダナイズの全体像を把握し、顧客への提案やプロジェクト推進に役立てることができるはずです。

1. なぜ今、モダナイズが求められるのか?

デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せ、ビジネス環境はかつてないほど急速に変化しています。

従来のレガシーシステムは、変化への対応が遅く、ビジネスの成長を阻害する要因になりかねません。

例えば、以下のような課題を抱えているシステムは、モダナイズを検討する必要があります。

  • 柔軟性・拡張性の欠如: ビジネスの変化や需要の増加に対応しづらく、機会損失につながる可能性があります。
  • 運用・保守コストの増大: 古いハードウェアやソフトウェアの維持費用、専門的な技術者の人件費などが膨らみます。
  • セキュリティリスクの増加: 最新のセキュリティ対策が施されておらず、サイバー攻撃の標的になりやすいです。
  • 開発効率の低下: 最新技術に対応しておらず、開発速度が遅く、新しいサービスの提供が遅れる可能性があります。

これらの課題を解決し、ビジネスの競争力を維持・向上させるために、モダナイズが求められています。

2. モダナイズとは何か?

モダナイズとは、一言で言えば 「古いシステムを新しい技術やアーキテクチャに置き換えることで、ビジネス価値を高めること」 です。

具体的には、以下のような活動が含まれます。

  • インフラストラクチャのモダナイズ: オンプレミス環境からクラウド環境への移行
  • アプリケーションのモダナイズ: モノリシックなアーキテクチャからマイクロサービスアーキテクチャへの移行
  • データのモダナイズ: レガシーなデータベースからクラウドネイティブなデータベースへの移行
  • 開発・運用プロセスのモダナイズ: ウォーターフォール型の開発手法からアジャイル開発手法への移行

モダナイズは、単に技術的な刷新を行うだけでなく、ビジネスプロセスや組織文化の変革も伴う、企業全体の取り組み であるという点が重要です。

3. モダナイズのアプローチ

モダナイズのアプローチは、大きく分けて以下の6つに分類されます。

  1. リホスト (Rehost): システムをそのままクラウド環境に移行する方法です。最も手軽にモダナイズできますが、クラウドのメリットを十分に活かせない場合があります。
  2. リプラットフォーム (Replatform): クラウド環境に適したミドルウェアやOSなどに変更して移行する方法です。クラウドのメリットをある程度活かせます。
  3. リファクタ (Refactor): アプリケーションのコードを修正し、クラウドネイティブな技術やアーキテクチャに適合させる方法です。クラウドのメリットを最大限に活かせます。
  4. リプレイス (Replace): 既存システムを廃止し、クラウドベースのサービスに置き換える方法です。大幅なコスト削減や機能向上が見込めます。
  5. リタイア (Retire): システムが不要になった場合に廃止する方法です。
  6. リテイン (Retain): システムを現状のまま維持する方法です。モダナイズが難しい場合に選択されます。

どのアプローチを採用するかは、システムの状況、ビジネスニーズ、コスト、スケジュールなどを総合的に判断して決定する必要があります。

4. AWS でのモダナイズ

AWS は、モダナイズを支援する様々なサービスを提供しています。

サービス説明
AWS Migration Hub移行プロジェクトを一元的に管理し、進捗状況を可視化できます。
AWS Application Discovery Service既存アプリケーションの構成や依存関係を自動的に分析できます。
AWS Database Migration Serviceデータベースを AWS に移行できます。
AWS Schema Conversion Toolデータベーススキーマを AWS に対応した形式に変換できます。
AWS Mainframe Modernizationメインフレームのアプリケーションを AWS に移行およびモダナイズできます。
AWS Lambdaサーバーレスコンピューティングサービスです。イベントドリブンなアプリケーションの構築に最適です。
Amazon API GatewayAPI を作成、公開、管理するためのサービスです。
Amazon ECSコンテナ化されたアプリケーションを実行するためのサービスです。
Amazon EKSKubernetes を使用してコンテナ化されたアプリケーションを実行するためのサービスです。
Amazon AuroraMySQL および PostgreSQL 互換のリレーショナルデータベースサービスです。高可用性とスケーラビリティを備えています。
Amazon DynamoDBNoSQL データベースサービスです。柔軟性とスケーラビリティを備えています。
AWS App2Container.NET および Java の Web アプリケーションをコンテナ化できます。
AWS Microservice Extractor for .NET.NET のモノリシックなアプリケーションをマイクロサービスに分解できます。

これらのサービスを組み合わせることで、あらゆるシステムのモダナイズを実現することができます。

5. モダナイズのメリット

モダナイズには、以下のようなメリットがあります。

  • コスト削減: クラウド環境に移行することで、ハードウェアやソフトウェアの調達・運用コストを削減できます。
  • 柔軟性・拡張性の向上: クラウドのスケーラビリティを活かして、ビジネスの変化や需要の増加に柔軟に対応できます。
  • セキュリティの強化: AWS のセキュリティサービスを活用することで、セキュリティレベルを向上させ、サイバー攻撃のリスクを軽減できます。
  • 開発効率の向上: クラウドネイティブな技術やアーキテクチャを採用することで、開発速度を向上させ、新しいサービスを迅速に提供できます。
  • 競争力の強化: 最新技術を活用した新しいサービスやビジネスモデルを創出し、競争力を強化できます。
  • ビジネスの俊敏性向上: 市場の変化に迅速に対応できるようになり、ビジネスの俊敏性を向上させることができます。
  • イノベーションの促進: 最新のテクノロジーを活用することで、新しい製品やサービスの開発を促進することができます。

6. モダナイズの注意点

モダナイズを成功させるためには、以下の点に注意する必要があります。

  • 明確な目標設定: モダナイズによって何を達成したいのか、具体的な目標を設定することが重要です。
  • 現状分析: 既存システムの現状を把握し、課題やリスクを洗い出す必要があります。
  • 段階的な移行: 一度にすべてをモダナイズするのではなく、段階的に移行計画を立て、リスクを最小限に抑えることが重要です。
  • 適切な人材育成: モダナイズに必要なスキルを持った人材を育成することが重要です。
  • 文化変革: モダナイズは、技術的な刷新だけでなく、ビジネスプロセスや組織文化の変革も伴います。

まとめ

今回は、レガシーシステムのモダナイズについて、基本的な概念から具体的な方法、AWSでの活用事例まで解説しました。

モダナイズは、単なる技術的な刷新だけでなく、ビジネスプロセスや組織文化の変革も伴う、企業全体の取り組みです。

AWS は、モダナイズを支援する様々なサービスを提供しており、あらゆるシステムのモダナイズを実現することができます。

モダナイズを検討する際には、現状を分析し、ビジネスニーズやシステムの状況に合わせて最適なアプローチを選択することが重要です。

AWSモダナイズ開発基幹業務システムのUI.UX刷新はお気軽にお問い合わせください。