「モダナイズ」という言葉、実はかなり曲者なんです。
人によって解釈が違ったり、漠然としたイメージで使われてしまったりすることが多く、プロジェクトを進める上で混乱を招く可能性も秘めているんです。
そこで今回は、「モダナイズ」という言葉の真の意味と、プロジェクトを成功させるための考え方について、私の経験を踏まえてお話したいと思います。
特に、SIer企業のプロジェクトマネージャーや開発リーダー、自社製品開発企業のプロジェクトマネージャーや開発リーダーの皆さんにとって、役立つ内容になっていると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
「モダナイズ」を辞書で調べてみると、「現代風にする」「最新のものにする」といった意味が出てきます。
ITの文脈では、一般的に「レガシーシステムを最新の技術やアーキテクチャを用いて刷新すること」と解釈されています。
しかし、この定義だけだと、具体的に何をすれば「モダナイズ」と言えるのか、ちょっと曖昧ですよね。
例えば、古いサーバーを新しいものに交換するだけでも「モダナイズ」と言えるのでしょうか?
最新のフレームワークを導入すれば「モダナイズ」と言えるのでしょうか?
私の経験上、「モダナイズ」の成功は、単に技術的な刷新を行うことではなく、ビジネスの成果に繋げることにかかっていると考えています。
つまり、「顧客に新しい価値を提供する」「ビジネスの成長を加速させる」「開発の効率性を向上させる」といった、明確な目的を達成することが重要なんです。
「モダナイズ」という言葉の罠にハマると、プロジェクトが迷走してしまう可能性があります。
よくある失敗パターンとして、以下の3つが挙げられます。
新しい技術は魅力的ですが、目的を達成するために本当に必要な技術なのかを冷静に見極める必要があります。
最新の技術を導入することが目的化してしまい、本来のビジネス目標からズレてしまうケースは少なくありません。
例えば、マイクロサービスアーキテクチャが注目されていますが、すべてのシステムに適しているわけではありません。
システムの規模や特性によっては、従来のモノリシックなアーキテクチャの方が適している場合もあるんです。
大規模なシステムを一度に刷新しようとすると、プロジェクトが複雑化し、リスクが高まります。
また、変化に柔軟に対応できなくなり、市場のニーズに遅れをとってしまう可能性も出てきます。
「モダナイズ」は、段階的に進めていくことが重要です。
まずは、効果が出やすい部分から着手し、小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に範囲を広げていくことをおすすめします。
「モダナイズ」は、技術的な刷新だけでなく、人材育成や組織文化、開発プロセスの見直しも必要となります。
新しい技術に対応できる人材がいなければ、せっかく導入した技術も宝の持ち腐れになってしまいます。
また、従来のウォーターフォール型の開発プロセスでは、迅速なリリースや柔軟な対応が難しく、モダナイゼーションのメリットを十分に活かせません。
アジャイル開発など、柔軟性とスピードを重視した開発プロセスへの移行も検討する必要があります。
「モダナイズ」を成功させるためには、明確な目的を設定し、適切なパスウェイを選択することが重要です。
AWSは、様々なモダナイゼーション・パスウェイを提供しており、お客様のニーズや目的に合わせて、最適な方法を選択することができます。
代表的なパスウェイとしては、以下の6つが挙げられます。
パスウェイ | 概要 | キーワード | 関連するAWSサービス |
---|---|---|---|
Move to Cloud Native | モノリシックアプリケーションをマイクロサービスによる疎結合な分散アーキテクチャに分解する | – ドメイン駆動開発 – マイクロサービス – イベント駆動アーキテクチャ – サーバーレス – コンテナ化 – ストラングラーフィグパターン | – AWS Lambda – AWS API Gateway – Amazon ECS – Amazon EKS – Amazon EventBridge – Amazon SQS – Amazon SNS – AWS Migration Hub Refactor Spaces |
Move to Containers | 既存アプリケーションを(構造はそのままに)コンテナ化する | – コンテナ化 – 運用効率 – 複数環境間の整合性 | – Amazon ECS – Amazon EKS – AWS Fargate – Amazon ECR – AWS App Runner |
Move to Open Source | 商用製品からオープンソースに移行する | – TCO削減 | – Amazon RDS – Amazon Aurora – Amazon MQ – .NET Core on Linux |
Move to Managed Databases | フルマネージドサービスとして提供される目的別データベース (Purpose-built databases) へ移行する | – RDB以外の選択肢を持つ – 耐障害性と拡張性の向上 – 業務効率化 | – Amazon Aurora – Amazon RDS – Amazon Redshift – Amazon DynamoDB – Amazon ElastiCache – Amazon MemoryDB for Redis – Amazon DocumentDB |
Move to Managed Analytics | フルマネージドサービスとして提供されるデータレイクと分析サービスへ移行する | – データレイク – データカタログ – データ共有 – きめ細かなアクセス制御 | – Amazon Athena – Amazon EMR – Amazon Redshift – Amazon Kinesis – Amazon OpenSearch Service – Amazon QuickSight – AWS Glue – AWS Lake Formation |
Move to Modern DevOps | アプリケーションやサービスのリリース頻度を高めるため、新しいプラクティスやツールに移行する | – CI/CD – テスト自動化 – テスト駆動開発 – IaC (Infrastructure as Code) | – AWS CodeCommit – AWS CodeBuild – AWS CodeDeploy – AWS CodePipeline – AWS CDK – AWS CloudFormation – AWS Proton – AWS CloudWatch – AWS X-Ray |
これらのパスウェイは、単独で利用することも、組み合わせて利用することも可能です。
重要なのは、自社のビジネス目標とシステムの現状を踏まえ、最適な組み合わせを選択することです。
今回は、「モダナイズ」という言葉の真の意味と、プロジェクトを成功させるための考え方についてお話しました。
「モダナイズ」は、単に技術的な刷新を行うことではなく、ビジネスの成果に繋げることが重要です。
最新技術に踊らされることなく、明確な目的を設定し、適切なパスウェイを選択することで、「モダナイズ」は真の価値を発揮します。
AWSは、様々なモダナイゼーション・パスウェイを提供し、お客様のビジネスの成功を支援します。
「モダナイズ」を検討されている方は、ぜひAWSにご相談ください。
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