「モダナイゼーション」って言葉、最近よく耳にするけど、実際何をどこまでやればいいのか、
迷ってしまうことってありませんか? 特に、長年運用してきた基幹システムともなると、
その規模の大きさと複雑さから、どこから手をつければいいのか途方に暮れてしまうこともあるかもしれません。
私もこれまで、数多くのモダナイゼーション案件に携わってきました。
その経験から言えるのは、「モダナイゼーションに万能な正解はない」ということです。
企業のビジネスゴールやシステムの現状、そして開発チームのスキルセットによって、最適なモダナイゼーションの範囲は変化します。
そこで今回は、レガシーシステムのモダナイゼーションに取り組む際に重要となる「範囲の定義」に焦点を当てて解説していきたいと思います。
モダナイゼーションの目的を明確化し、適切な範囲を設定することで、プロジェクトを成功に導くための道筋が見えてきます。
まず、なぜモダナイゼーションが必要なのか?改めて考えてみましょう。
長年稼働しているレガシーシステムは、ビジネスの成長を支えてきた一方で、時代の変化とともに、以下のような課題を抱えるケースが増えています。
これらの課題を解決し、企業が持続的な成長を遂げるために、モダナイゼーションは不可欠な取り組みと言えるでしょう。
では、実際にモダナイゼーションを行う場合、どこまでの範囲を対象とすれば良いのでしょうか?
モダナイゼーションの範囲は、大きく以下の3つのレイヤーに分類できます。
これらのレイヤーをすべて対象とする「フルモダナイゼーション」を行うケースもありますが、必ずしもすべてを刷新する必要はありません。
モダナイゼーションの目的と、現状の課題を分析し、適切な範囲を定めることが重要です。
モダナイゼーションの範囲を具体的にどのように定義すれば良いのか、4つのステップで解説していきます。
モダナイゼーションは、あくまでビジネス目標を達成するための手段です。
まずは、モダナイゼーションを通じて、どのようなビジネス成果を実現したいのかを明確に定義する必要があります。
ビジネス目標を定量的な指標で設定することで、モダナイゼーションの成功を評価する基準を明確化できます。
次に、現状のシステムにおける課題を分析します。
現状分析を行うことで、どのレイヤーに課題が集中しているのか、モダナイゼーションの必要性が高いのはどの部分なのかを把握することができます。
これらの分析結果を踏まえ、ビジネス目標達成のために、どのレイヤーをどの程度モダナイズする必要があるかを検討します。
ステップ1、2で得られた情報をもとに、具体的なモダナイゼーションのアプローチを決定します。
代表的なアプローチとして、以下の7つの方法(7Rs)があります。
アプローチ | 説明 |
---|---|
リプレイス | 既存システムを廃止し、全く新しいシステムを導入する。パッケージソフトウェア導入や SaaS への移行などが該当する。 |
リタイア | 既存システムを廃止し、機能を停止する。ビジネス要件の変化により、不要になったシステムに適用される。 |
リテイン | 現状のまま維持する。ビジネス上重要度が低く、モダナイゼーションによるメリットが少ないシステムに適用される。 |
リホスト | アプリケーションに変更を加えず、インフラストラクチャのみをクラウドへ移行する。「リフト&シフト」とも呼ばれる。 |
リプラットフォーム | アプリケーションに変更を加えず、OS やミドルウェアを最新化してクラウドへ移行する。 |
リファクタリング | アプリケーションのアーキテクチャやコードを最新化する。クラウドネイティブな技術を活用し、マイクロサービス化やサーバーレス化などを行う。 |
リイマジン | ビジネス要件を再定義し、最新の技術を活用してシステムを再構築する。最も大規模なモダナイゼーション。 |
各アプローチのメリット・デメリットを考慮し、ビジネス目標、現状の課題、開発チームのスキルセットなどを総合的に判断して、最適なアプローチを選択しましょう。
最後に、モダナイゼーションの範囲を、機能単位やアプリケーション単位に分割し、優先順位を付けます。
すべての機能を一度にモダナイズするのは現実的ではないため、ビジネス上の重要度 が大きく、実現可能性の高いものから段階的に取り組むロードマップを作成します。
ロードマップ策定には、以下のような観点を考慮します。
優先順位の高い機能から段階的にモダナイズを進めることで、早期にビジネス価値を実現し、プロジェクト全体の成功確率を高めることができます。
今回は、レガシーシステムのモダナイゼーションにおける範囲の定義について、4つのステップで解説しました。
モダナイゼーションは、適切な範囲を定義し、段階的に進めることが成功の鍵です。
これらのステップを丁寧に踏むことで、モダナイゼーションを成功に導くことができるでしょう。
AWSモダナイズ開発、基幹業務システムのUI.UX刷新はお気軽にお問い合わせください。
スモールスタート開発支援、サーバーレス・NoSQLのことなら
ラーゲイトまでご相談ください
低コスト、サーバーレスの
モダナイズ開発をご検討なら
下請け対応可能
Sler企業様からの依頼も歓迎