【モダナイズの落とし穴】全面的刷新は危険?範囲と戦略

【モダナイズの落とし穴】全面的刷新は危険?範囲と戦略

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皆さんは「モダナイゼーション」と聞いて何を思い浮かべますか?

「最新技術の導入」や「システム刷新」といった言葉が頭に浮かぶのではないでしょうか。

確かに、それらはモダナイゼーションの重要な要素です。

しかし、モダナイゼーションの本質は、変化への対応にあります。現代のビジネス環境は、テクノロジーの進化、顧客ニーズの多様化、競争の激化など、常に変化し続けています。

企業が生き残るためには、これらの変化に迅速かつ柔軟に対応できるシステムが必要です。

そのためには、部分的な改善を継続的に行うというアプローチが重要になります。

今回は、モダナイゼーションの落とし穴と、適切な範囲と戦略について解説していきます。

モダナイゼーションとは何か?

モダナイゼーションとは、既存のシステムやアプリケーションを最新の状態に更新することです。

「最新の状態」とは、単に新しい技術を導入することだけを意味するわけではありません。

ビジネス目標の達成変化への対応ユーザーエクスペリエンスの向上などを実現するための、包括的な取り組みを指します。

なぜモダナイゼーションが必要なのか?

モダナイゼーションが必要な理由は、主に以下の点が挙げられます。

  • 競争力の維持: 最新技術を導入することで、製品やサービスの品質向上、業務効率化、コスト削減などを実現し、競争力を維持することができます。
  • 顧客体験の向上: 最新のユーザーインターフェースや機能を提供することで、顧客満足度を高めることができます。
  • セキュリティの強化: 最新のセキュリティ技術を導入することで、サイバー攻撃やデータ漏洩などのリスクを軽減することができます。
  • 法令遵守: 最新の法令や規制に対応することで、コンプライアンス違反のリスクを回避することができます。
  • 技術的負債の解消: 古いシステムを放置することで、保守コストの増加、セキュリティリスクの増大、開発効率の低下などの問題が発生します。モダナイゼーションによって、これらの技術的負債を解消することができます。

モダナイゼーションの落とし穴

モダナイゼーションを進める上で、陥りがちな落とし穴として、以下の点が挙げられます。

  1. 全面的刷新にこだわりすぎる
    • 全面的刷新は、多大な時間とコストを要し、リスクも高くなります。
    • 一度にすべてを変えようとすると、プロジェクトが複雑化し、失敗する可能性が高くなります。
  2. 明確な目標設定がない
    • モダナイゼーションの目的や目標が明確になっていないと、方向性を見失い、期待した成果を得ることができません。
  3. 適切な範囲設定ができていない
    • モダナイゼーションの範囲が広すぎると、プロジェクトが複雑化し、管理が難しくなります。
    • 逆に範囲が狭すぎると、効果が限定的になり、モダナイゼーションの目的を達成できない可能性があります。
  4. 最新技術に固執しすぎる
    • 最新技術は常に進化しており、必ずしもすべてのシステムに最適なわけではありません。
    • 目的や要件に合わせて、適切な技術を選択することが重要です。
  5. 既存システムの理解不足
    • 既存システムのアーキテクチャ、機能、依存関係などを十分に理解せずにモダナイゼーションを進めると、予期せぬ問題が発生する可能性があります。
  6. 組織体制が整っていない
    • モダナイゼーションは、技術的な側面だけでなく、組織的な側面も重要です。
    • 関係部門間での連携体制、意思決定プロセス、スキルやノウハウなどが不足していると、プロジェクトがスムーズに進みません。

効果的なモダナイゼーション戦略

落とし穴を回避し、効果的なモダナイゼーション戦略を進めるためのポイントは以下の通りです。

  1. 明確な目標設定: ビジネス目標を達成するために、モダナイゼーションによって何を達成したいのかを明確に定義します。
  2. 優先順位付け: システム全体の課題やニーズを洗い出し、優先順位の高い領域からモダナイゼーションを進めます。
  3. 段階的なアプローチ: 一度にすべてを変えようとせず、段階的にモダナイゼーションを進めることで、リスクを抑制し、効果を最大化します。
  4. 適切な範囲設定: モダナイゼーションの範囲を適切に設定し、プロジェクトの複雑化を防ぎます。
  5. 最新技術の活用: 目的や要件に合わせて、適切な最新技術を活用します。
  6. 既存システムの分析: 既存システムのアーキテクチャ、機能、依存関係などを分析し、モダナイゼーションの影響範囲を把握します。
  7. 組織体制の整備: 関係部門間での連携体制、意思決定プロセス、スキルやノウハウなどを整備します。
  8. 継続的な改善: モダナイゼーションは一度で終わりではなく、継続的に改善していくプロセスです。定期的な評価と改善を繰り返すことで、常に最適な状態を維持します。

モダナイゼーションパターン

効果的なモダナイゼーションを進めるためのパターンとして、AWS が過去の支援を通じて見出した代表的な 6 つのパターンをご紹介します。

これらのパターンは、単独で適用することも、組み合わせて適用することも可能です。

パターン概要キーワード関連する AWS サービス
Move to Cloud Nativeモノリシックなアプリケーションを、マイクロサービスによる疎結合な分散アーキテクチャに分解するドメイン駆動開発、マイクロサービス、イベント駆動アーキテクチャ、サーバーレス、コンテナ化、ストラングラーフィグAWS Lambda, AWS API Gateway, Amazon ECS, Amazon EKS, Amazon EventBridge, Amazon SQS, Amazon SNS, AWS Migration Hub Refactor Spaces
Move to Containers既存アプリケーションを(構造はそのままに)コンテナ化するコンテナ化、運用効率、複数環境間の整合性Amazon ECS, Amazon EKS, AWS Fargate, Amazon ECR, AWS App Runner
Move to Managed Databasesフルマネージドサービスとして提供される目的別データベース(Purpose-built databases)に移行するRDB 以外の選択肢を持つ、耐障害性と拡張性の向上、業務効率化Amazon Aurora, Amazon RDS, Amazon Redshift, Amazon DynamoDB, Amazon ElastiCache, Amazon MemoryDB for Redis, Amazon DocumentDB
Move to Open Source商用製品からオープンソースに移行するTCO 削減Amazon RDS, Amazon Aurora, Amazon MQ, .NET Core on Linux
Move to Modern Analyticsフルマネージドサービスとして提供されるデータレイクと分析サービスに移行するデータレイク、データカタログ、データ共有、きめ細かいアクセス制御Amazon Athena, Amazon EMR, Amazon Redshift, Amazon Kinesis, Amazon OpenSearch Service, Amazon QuickSight, AWS Glue, AWS Lake Formation
Move to Modern DevOpsアプリケーションやサービスのリリース頻度を高めるため、新しいプラクティスやツールに移行するCI/CD、テスト自動化、テスト駆動開発、IaC(Infrastructure as Code)AWS CodeCommit, AWS CodeBuild, AWS CodeDeploy, AWS CodePipeline, AWS CDK, AWS CloudFormation, AWS Proton, AWS CloudWatch, AWS X-Ray

まとめ

モダナイゼーションは、変化への対応という本質を理解し、適切な範囲と戦略で進めることが重要です。

全面的刷新に固執せず、段階的なアプローチで、ビジネス目標達成に貢献するシステムへと進化させていきましょう。

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