モダナイズは手段!本当に行うべきは「ビジネスの進化」

モダナイズは手段!本当に行うべきは「ビジネスの進化」

こんにちは。皆さんは「モダナイゼーション」と聞いて何を思い浮かべますか?

最近は、生成系 AI をはじめとした最新技術の登場や、社会全体のデジタル化の流れが加速していることもあり、あらゆる業界で「モダナイゼーション」という言葉が頻繁に使われるようになりました。

特に、私が所属しているような SIer 企業では、顧客のビジネス課題を解決するための手段として、モダナイゼーションが注目されています。

しかし、いざモダナイゼーションに取り組もうとした際に、

  • 「モダナイゼーションって具体的に何をすればいいの?」
  • 「最新の技術を導入すればモダナイゼーションになるの?」
  • 「モダナイゼーションを行うメリットって何だろう?」

といった疑問を持つ方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、モダナイゼーションの本質や、モダナイゼーションを成功させるための考え方について、AWS の事例を交えながら解説していきます。

モダナイゼーションとは

モダナイゼーションとは、単に古いシステムを新しい技術で置き換えることではありません。

変化の激しい現代社会において、企業が競争力を維持し、顧客に新しい価値を提供し続けるために、既存のシステムやビジネスプロセスを進化させることこそが、モダナイゼーションの真髄です。

なぜモダナイゼーションが必要なのか?

近年、ビジネス環境はめまぐるしく変化しています。

例えば、

  • スマートフォンの普及による消費者行動の変化
  • 生成系 AI をはじめとした革新的なテクノロジーの登場
  • グローバル化の進展による競争の激化
  • 環境問題への意識の高まり

といった変化は、企業に迅速な対応を迫っています。

このような変化に対応し、持続的な成長を実現するためには、既存のシステムやビジネスプロセスを見直し、時代に合った新しい形へと進化させることが不可欠です。

モダナイゼーションの3つの柱

モダナイゼーションを成功させるためには、人・プロセス・技術 という 3 つの柱をバランスよく進化させる必要があります。

説明
企業文化や組織構造、人材育成といった、モダナイゼーションを推進する「人」に関する要素
プロセス開発プロセスや運用プロセス、意思決定プロセスなど、モダナイゼーションを支える「プロセス」に関する要素
技術クラウドコンピューティング、サーバーレス、コンテナ技術、マイクロサービス、AI などの、モダナイゼーションを実現するための「技術」に関する要素

People(人)

従来型のウォーターフォール型の開発体制では、各部門が縦割りで分かれており、部門間の連携が不足しがちでした。

しかし、モダナイゼーションを推進するためには、開発チームや運用チーム、ビジネスチームなど、さまざまな部門が密接に連携し、迅速かつ柔軟な対応が可能な体制を構築する必要があります。

例えば、アジャイル開発DevOps といった開発手法を取り入れることで、部門間の連携を強化し、開発スピードと品質を向上させることができます。

また、クラウドやサーバーレス、AI などの最新技術に対応できる人材の育成も重要です。

Process(プロセス)

従来型の重厚長大な開発プロセスは、変化への対応が遅く、モダナイゼーションの足かせとなる可能性があります。

モダナイゼーションを成功させるためには、開発プロセスを簡素化し、自動化を推進することで、迅速な開発と柔軟な対応を実現する必要があります。

例えば、CI/CD を導入することで、開発からデプロイまでのプロセスを自動化し、開発スピードと品質を大幅に向上させることができます。

Technology(技術)

モダナイゼーションを実現するための技術は多岐にわたりますが、代表的なものとしては、

  • クラウドコンピューティング
  • サーバーレスアーキテクチャ
  • コンテナ技術
  • マイクロサービスアーキテクチャ
  • AI/ML

などが挙げられます。

これらの技術を適切に組み合わせることで、柔軟性、拡張性、耐障害性、セキュリティ、コスト効率に優れたシステムを構築することができます。

モダナイゼーション・パスウェイ

AWS では、過去のモダナイゼーション支援の実績に基づいて、代表的な 6 つのモダナイゼーションパターンを「モダナイゼーション・パスウェイ」として定義しています。

パスウェイ説明関連する AWS サービス
Move to Cloud Nativeモノリシックなアプリケーションを、マイクロサービスによる疎結合な分散アーキテクチャに分解するAWS Lambda、AWS API Gateway、Amazon ECS、Amazon EKS、Amazon EventBridge、Amazon SQS、Amazon SNS など
Move to Containers既存のアプリケーションを(構造はそのままに)コンテナ化するAmazon ECS、Amazon EKS、AWS Fargate、Amazon ECR、AWS App Runner など
Move to Managed Databasesフルマネージドサービスとして提供される、目的別データベース (Purpose-built databases) へ移行するAmazon Aurora、Amazon RDS、Amazon Redshift、Amazon DynamoDB、Amazon ElastiCache、Amazon MemoryDB for Redis、Amazon DocumentDB など
Move to Open Source商用製品からオープンソースに移行するAmazon RDS、Amazon Aurora、Amazon MQ、.NET Core on Linux など
Move to Modern Analyticsフルマネージドサービスとして提供されるデータレイクと分析サービスへ移行するAmazon Athena、Amazon EMR、Amazon Redshift、Amazon Kinesis、Amazon OpenSearch Service、Amazon QuickSight、AWS Glue、AWS Lake Formation など
Move to Modern DevOpsアプリケーションやサービスのリリース頻度を高めるため、新しいプラクティスやツールに移行するAWS CodeCommit、AWS CodeBuild、AWS CodeDeploy、AWS CodePipeline、AWS CDK、AWS CloudFormation、AWS Proton、AWS CloudWatch、AWS X-Ray など

モダナイゼーション・パスウェイの適用例

目的に合わせたアーキテクチャー

モダナイゼーションの目的は企業や組織によってさまざまです。

例えば、

  1. インフラを早く調達したい
  2. 商用ライセンスから脱却したい
  3. 運用の手間をできる限り削減したい
  4. 新しい機能をどんどんリリースしたい

といった目的が考えられます。

これらの目的に合わせて、適切なモダナイゼーション・パスウェイを選択し、アーキテクチャーを設計していく必要があります。

ここでは、上記の目的別に、モダナイゼーション・パスウェイの適用例とアーキテクチャーの例を見ていきましょう。

スタート地点

まずは、オンプレミスの Web 3 層アーキテクチャーを例に、モダナイゼーションのスタート地点となる構成を見ていきましょう。

説明
Web サーバープレゼンテーション
AP サーバービジネスロジック
DB サーバーデータ

1. インフラを早く調達したい

インフラ調達を迅速化したい場合は、既存のアーキテクチャーを大きく変更せず、AWS に移行する リホスト が有効な手段となります。

説明
Web サーバー商用 Web サーバー on Amazon EC2
AP サーバー商用 AP サーバー on Amazon EC2
DB サーバー商用 DB サーバー on Amazon EC2

この方法であれば、既存のシステムをそのまま AWS 上で稼働させることができるため、短期間でインフラ調達を実現することができます。

2. 商用ライセンスから脱却したい

商用ライセンスからの脱却を目指す場合は、オープンソースベースの製品への置き換えが有効な手段となります。

説明
Web サーバーOSS Web サーバー on Amazon EC2
AP サーバーOSS AP サーバー on Amazon EC2
DB サーバーOSS DB サーバー on Amazon EC2

オープンソース製品は商用製品に比べてライセンス費用が抑えられるだけでなく、コミュニティによるサポートも充実しているため、コスト削減と技術的な柔軟性を実現することができます。

3. 運用の手間を削減したい

運用の手間を削減したい場合は、AWS のマネージドサービスを活用することが有効な手段となります。

説明
Web サーバーApplication Load Balancer
AP サーバーEC2 Auto Scaling
DB サーバーAmazon Aurora
その他Amazon ElastiCache、Amazon S3

マネージドサービスは、AWS がインフラストラクチャの運用管理を代行してくれるため、サーバーの運用管理やセキュリティ対策などの手間を大幅に削減することができます。

4. 新しい機能をどんどんリリースしたい

新しい機能を迅速にリリースしたい場合は、マイクロサービスアーキテクチャやサーバーレスアーキテクチャといったクラウドネイティブな技術を採用することが有効な手段となります。

説明
Web サーバーAmazon API Gateway
AP サーバーAWS Lambda、Amazon ECS (AWS Fargate)
DB サーバーAmazon DynamoDB、Amazon Aurora
その他Amazon ElastiCache、Amazon S3

これらの技術を採用することで、開発チームはインフラストラクチャの管理から解放され、ビジネスロジックの開発に集中することができます。

また、マイクロサービスアーキテクチャでは、各サービスを独立して開発・デプロイすることができるため、迅速な機能リリースを実現することができます。

まとめ

モダナイゼーションとは、単に古いシステムを新しい技術で置き換えることではなく、変化の激しい現代社会において、企業が競争力を維持し、顧客に新しい価値を提供し続けるために、既存のシステムやビジネスプロセスを進化させることです。

モダナイゼーションを成功させるためには、「人・プロセス・技術」という 3 つの柱をバランスよく進化させることが重要です。

AWS は、モダナイゼーション・パスウェイや豊富なマネージドサービス、強力なパートナーエコシステムを通じて、お客様のモダナイゼーションを包括的に支援します。

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