レガシーシステムのモダナイズ、あなたは何を期待しますか?

レガシーシステムのモダナイズ、あなたは何を期待しますか?

本記事を理解するのに役立つ情報

  • 本記事では、レガシーシステムのモダナイゼーションについて解説します。
  • モダナイゼーションの定義、メリット、デメリット、フレームワーク、考え方について説明します。
  • 読者は、SIer企業のAWS開発案件のプロジェクトマネージャー、自社製品開発企業のプロジェクトマネージャー、SIer企業のAWS開発案件の開発リーダー、自社製品開発企業の開発リーダーを想定しています。

1. レガシーシステムのモダナイゼーションとは?

「モダナイゼーション」って言葉、最近よく耳にするけど実際何をすることなのか、イメージしづらいですよね。言葉自体は新しいものを取り入れて近代化することですが、システム開発の文脈で語られる場合は、ちょっとニュアンスが違います。

例えば、10年以上前に構築されたシステムを想像してみてください。当時の技術や要件に合わせて作られたシステムは、長い年月を経て、時代の変化に対応できなくなってきているかもしれません。機能追加や修正が難しく、運用コストも増大し、セキュリティリスクも高まっている…なんて状況も珍しくないでしょう。

このような、いわゆる「レガシーシステム」を、最新の技術やアーキテクチャを用いて刷新し、ビジネスの成長を支えるシステムへと進化させる取り組み、これがレガシーシステムのモダナイゼーションです。

2. モダナイゼーションの必要性とメリット

では、なぜ今、モダナイゼーションが注目されているのでしょうか? それは、ビジネス環境がかつてないスピードで変化しているからです。

  • グローバル化やデジタル化の進展
  • 新規参入企業による競争激化
  • 顧客ニーズの多様化と変化の加速

これらの変化に対応し、ビジネスを成長させるためには、従来のシステムでは限界があります。そこで、モダナイゼーションによってシステムを刷新し、以下のメリットを実現することが求められます。

メリット説明
ビジネスの俊敏性向上新しい機能やサービスを迅速に市場に投入できるようになり、変化への対応力を高めることができます。
コスト削減運用コストや保守コストを削減し、IT 投資をより戦略的な分野に集中させることができます。
セキュリティ強化最新のセキュリティ技術を導入することで、セキュリティリスクを低減し、システムの信頼性を向上させることができます。
顧客体験の向上より使いやすく、魅力的なシステムを提供することで、顧客満足度を高め、ビジネスの成長を促進することができます。
開発効率の向上最新の開発ツールや手法を導入することで、開発の効率性を向上させ、開発コストを削減することができます。

3. モダナイゼーションの進め方

モダナイゼーションといっても、単に最新の技術を導入すれば良いわけではありません。現状のシステムやビジネスの課題を分析し、適切な目標を設定した上で、最適な方法を選択することが重要です。

AWSでは、以下の 7 つのモダナイゼーション戦略を提唱しており、 7Rs と呼ばれています。

戦略説明
リホスト (Rehost)システムをそのままクラウドに移行します。最も手軽な方法ですが、クラウドのメリットを十分に享受できない場合があります。
リプラットフォーム (Replatform)最小限の変更を加えてクラウドに移行します。クラウドのメリットをある程度享受できます。
リファクタリング (Refactor/Rearchitect)アプリケーションをクラウドネイティブなアーキテクチャに再構築します。クラウドのメリットを最大限に享受できますが、時間とコストがかかる場合があります。
再購入 (Repurchase)SaaSなどのクラウドサービスに置き換えます。運用コストを削減できますが、既存のシステムとの連携が必要となる場合があります。
再配置 (Relocate)VMware Cloud on AWS などを利用し、仮想マシンレベルでクラウドに移行します。オンプレミス環境との互換性を維持できます。
保持 (Retain)既存システムをそのまま維持します。モダナイゼーションの対象外となります。
使用停止 (Retire)既存システムを廃止します。不要なシステムを整理することができます。

どの戦略が最適かは、システムの規模や複雑さ、ビジネス要件、予算、スケジュールなどによって異な ります。これらの要素を総合的に判断し、最適な戦略を選択することが重要です。

4. モダナイゼーションのフレームワーク

モダナイゼーションを進めるにあたっては、以下の 6 つの観点から検討するフレームワーク AWS CAF (AWS Cloud Adoption Framework) が有効です。

観点説明
ビジネスモダナイゼーションによって、どのようなビジネス価値を実現したいのかを明確化します。
人材モダナイゼーションに必要なスキルや体制を整備します。
ガバナンスモダナイゼーションプロジェクトを適切に管理するための体制やルールを整備します。
プラットフォームクラウドのプラットフォームをどのように活用するのかを検討します。
セキュリティクラウドのセキュリティ対策をどのように講じるのかを検討します。
運用クラウドの運用体制をどのように構築するのかを検討します。

これらの観点をバランスよく検討することで、モダナイゼーションを成功に導くことができます。

5. モダナイゼーションの考え方

モダナイゼーションは、一度で完了するプロジェクトではありません。ビジネス環境や技術は常に変化 しており、それに合わせてシステムも継続的に進化させていく必要があります。

そのため、モダナイゼーションを成功させるためには、以下のような考え方が重要です。

  • 段階的なアプローチ: 一度にすべてを刷新するのではなく、段階的に進めることでリスクを抑制し、早期に効果を 得ることができます。
  • アジャイル開発: 短いサイクルで開発とリリースを繰り返すことで、変化に柔軟に対応することができます。
  • 継続的な改善: システムを継続的に監視し、改善することで、常に最適な状態を維持することができます。
  • ビジネスとの連携: IT 部門だけでなく、ビジネス部門とも連携し、ビジネスニーズを満たすシステムを構築するこ とが重要です。

まとめ

レガシーシステムのモダナイゼーションは、ビジネスの成長を支える上で重要な取り組みです。適切 な戦略、フレームワーク、考え方を採用することで、モダナイゼーションを成功に導き、ビジネスの競争 力を強化することができます。

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