【成功への道】レガシーシステムのモダナイズ、避けるべき落とし穴

2024.06.05
皆さんは「レガシーシステムのモダナイゼーション」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
特に近年、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で、この言葉は頻繁に聞かれるようになりました。
しかし、いざモダナイゼーションに取り組もうとしても、「どこから手をつければいいのかわからない」「何から始めればいいのかわからない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、レガシーシステムのモダナイゼーションを成功させるために、避けるべき落とし穴と、その解決策について解説していきます。
私自身も10年以上エンジニアとして、様々なプロジェクトに携わってきました。その経験から、モダナイゼーションでありがちな失敗例とその対策を、できる限りわかりやすくお伝えしたいと思います。
ぜひ、この記事を参考にして、モダナイゼーションを成功に導いてください!
1 全体を一気に刷新しようとする
落とし穴:ビッグバンアプローチの罠
多くの企業が陥りがちな落とし穴の1つが、レガシーシステム全体を一気に刷新しようとする、いわゆる「ビッグバンアプローチ」です。
このアプローチは、一見魅力的に思えるかもしれません。
古いシステムを最新の技術で一新することで、劇的な変化を期待できるからです。
しかし実際には、ビッグバンアプローチは非常にリスクが高く、失敗するケースが多いです。
なぜなら、以下のような問題が発生する可能性があるからです。
- プロジェクト期間が長期化する: システム全体を刷新するには、膨大な時間とリソースが必要となります。そのため、プロジェクトが長期化し、その間にビジネス環境や技術トレンドが変化してしまうリスクがあります。
- コストが膨大になる: ビッグバンアプローチは、人材、ソフトウェア、ハードウェアなど、多岐にわたる費用が発生します。予算超過や費用対効果の悪化につながる可能性があります。
- 予期せぬ問題が発生する: 長期にわたるプロジェクトでは、予期せぬ問題が発生する可能性が高くなります。例えば、要件定義の漏れや設計の不備、テスト不足などが発生し、プロジェクトの遅延や品質低下につながる可能性があります。
- 既存システムへの影響が大きい: システム全体を停止させて刷新するため、既存の業務に大きな影響を与えます。業務停止やデータ移行の失敗などのリスクがあります。
解決策:段階的アプローチによるモダナイゼーション
ビッグバンアプローチのリスクを回避するために、AWS では段階的なモダナイゼーションを推奨しています。
段階的アプローチとは、システムを小さなコンポーネントに分割し、優先順位の高い部分から順次モダナイズしていく方法です。
このアプローチには、以下のメリットがあります。
- リスクを最小限に抑える: 小さなコンポーネントごとにモダナイズするため、リスクを最小限に抑えられます。問題が発生した場合でも、影響範囲を限定し、迅速に復旧できます。
- 早期に成果を創出する: 優先度の高い部分からモダナイズしていくため、早期に成果を創出できます。ビジネス価値をいち早く実現し、関係者のモチベーションを高めることができます。
- 柔軟性が高い: ビジネス環境や技術トレンドの変化に合わせて、モダナイゼーションの計画を柔軟に変更できます。
- 学習効果が得られる: 各段階で得られた経験や教訓を、次の段階に活かすことができます。継続的な改善を促進し、モダナイゼーションの成功率を高めることができます。
アプローチ | メリット | デメリット |
---|
ビッグバンアプローチ | 一気に刷新することで劇的な変化を期待できる | プロジェクト期間の長期化、コストの膨大化、予期せぬ問題の発生、既存システムへの影響大 |
段階的アプローチ | リスク最小限、早期に成果創出、柔軟性が高い、学習効果 | 全体像を把握し計画的に進める必要がある |
#2 現状分析を疎かにする
落とし穴:現状を把握しないまま突き進む
モダナイゼーションを成功させるためには、現状のシステムをしっかりと分析することが不可欠です。
しかし、「早く新しいシステムに移行したい」「最新の技術を使いたい」という思いが先行し、現状分析を疎かにするケースが見受けられます。
現状分析を怠ると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 適切なモダナイゼーション戦略を策定できない: 現状のシステムの課題や要件を理解しないままモダナイゼーションを進めると、適切な戦略を策定できません。結果として、期待した効果が得られなかったり、新たな問題が発生する可能性があります。
- 不要な機能を開発してしまう: 既存システムの機能を十分に分析せずにモダナイゼーションを行うと、実際には使用されていない機能まで開発してしまうことがあります。開発コストの増加やプロジェクトの遅延につながる可能性があります。
- データ移行が困難になる: データの構造や品質を把握しないままモダナイゼーションを進めると、データ移行が非常に困難になります。データ移行の失敗は、業務停止やデータ損失などの深刻な問題を引き起こす可能性があります。
解決策:多角的な視点からの現状分析
現状分析では、以下の観点からシステムを評価することが重要です。
- ビジネス: システムがどのようなビジネスプロセスをサポートしているのか、ビジネス要件は何か、ビジネス上の課題は何かを分析します。
- アプリケーション: アプリケーションのアーキテクチャ、機能、コードの品質、パフォーマンスなどを分析します。
- データ: データの構造、品質、量、セキュリティなどを分析します。
- インフラストラクチャ: ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのインフラストラクチャの構成や性能などを分析します。
- 運用: システムの運用方法、監視体制、障害対応などを分析します。
- セキュリティ: システムのセキュリティ対策、脆弱性などを分析します。
これらの分析結果を踏まえ、モダナイゼーションの目標、戦略、範囲、優先順位、移行方法などを決定します。
#3 最新技術の導入に固執する
落とし穴:最新技術は万能ではない
新しい技術を導入することは、モダナイゼーションの大きな魅力の1つです。
しかし、最新技術であれば必ずしも良い結果が得られるとは限りません。
むしろ、システムの要件や特性を考慮せずに最新技術を導入すると、以下の問題が発生する可能性があります。
- 複雑化: 最新技術は、従来の技術よりも複雑な場合があり、習得に時間がかかったり、運用が難しくなる可能性があります。
- コスト増加: 最新技術は、ライセンス費用や導入コストが高額になる場合があります。
- パフォーマンス低下: 最新技術は、既存のシステム環境では十分なパフォーマンスを発揮できない場合があります。
- ベンダーロックイン: 特定のベンダーの製品やサービスに依存してしまうリスクがあります。
解決策:システム要件に最適な技術を選択する
モダナイゼーションでは、最新技術の導入に固執するのではなく、システム要件に最適な技術を選択することが重要です。
そのためには、以下の点を考慮する必要があります。
- ビジネス要件: モダナイゼーションによって、どのようなビジネス上の成果を達成したいのかを明確にします。
- 技術的な要件: パフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティ、可用性などの技術的な要件を明確にします。
- 既存システムとの互換性: 既存のシステムとの互換性を考慮する必要があります。
- コスト: 導入コスト、運用コスト、ライセンス費用などを考慮する必要があります。
- スキル: チームメンバーのスキルセットを考慮する必要があります。
これらの点を総合的に評価し、システムに最適な技術を選択しましょう。
#4 人材育成を軽視する
落とし穴:新しい技術に対応できる人材不足
モダナイゼーションを成功させるためには、新しい技術に対応できる人材が不可欠です。
しかし、人材育成を軽視し、既存のスキルセットのままモダナイゼーションを進めようとすると、以下の問題が発生する可能性があります。
- 開発の遅延: 新しい技術に不慣れなため、開発に時間がかかったり、品質が低下する可能性があります。
- 運用のトラブル: 新しいシステムの運用方法を理解していないため、トラブルが発生しやすくなる可能性があります。
- セキュリティリスク: 新しい技術のセキュリティ対策を理解していないため、セキュリティリスクが高まる可能性があります。
解決策:計画的な人材育成
モダナイゼーションプロジェクトの開始前に、計画的な人材育成に取り組むことが重要です。
具体的には、以下の方法が考えられます。
- 社内研修: 新しい技術に関する社内研修を実施します。
- 外部研修: ベンダーや専門機関が提供する外部研修に参加させます。
- OJT: 実際のプロジェクトを通して、新しい技術を習得させます。
- 資格取得: 新しい技術に関する資格取得を奨励します。
- コミュニティへの参加: 勉強会やコミュニティに参加させ、最新技術の知識や情報を共有させます。
まとめ
レガシーシステムのモダナイゼーションは、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。
しかし、モダナイゼーションを成功させるためには、避けるべき落とし穴を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
本記事で解説した落とし穴と解決策を参考に、モダナイゼーションを成功に導いてください。
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