【詳細解説】基幹業務システムの UI/UX デザイン、具体的な進め方と成果物をご紹介

【詳細解説】基幹業務システムの UI/UX デザイン、具体的な進め方と成果物をご紹介

はじめに:UI/UXデザインで変わる、基幹業務システムの可能性

皆さんの会社では、日々どんな風に基幹業務システムと向き合っていますか?もしかしたら、使いにくい、分かりにくい、なんて声も聞こえてくるかもしれません。

従来の基幹業務システムは、機能重視でUI/UXがおんざりになりがちでした。しかし、DXが叫ばれる昨今、業務効率化や生産性向上において、システムのUI/UXは非常に重要な要素となっています。

そこで今回は、基幹業務システムのUI/UXデザインに焦点を当て、その進め方や成果物、そして得られるメリットについて、実例を交えながら分かりやすく解説していきます。

なぜ今、基幹業務システムのUI/UXが重要なのか?

「社内の基幹業務システム、正直使いにくい…」

そんな風に感じている現場担当者の方、意外と多いのではないでしょうか?

従来の基幹業務システムは、機能を網羅することに主眼が置かれ、ユーザーインターフェースの使いやすさやユーザー体験は二の次とされてきました。しかし、働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる中、 業務効率化や生産性向上、そして従業員満足度向上のためにも、基幹業務システムのUI/UXの重要性が増しています。

基幹業務システムにおけるUI/UXデザインの課題と解決策

基幹業務システムのUI/UXデザインには、以下のような課題が存在します。

課題解決策
情報過多で画面が見づらい情報の優先順位付けを行い、必要な情報を分かりやすく表示する
操作が複雑で分かりにくいシンプルで直感的な操作体系を設計し、マニュアルを見なくても使えるUIを目指す
モバイル対応が不十分レスポンシブデザインを採用し、PCだけでなく、スマートフォンやタブレットでも快適に利用できる環境を作る
担当者によって操作方法が異なるシステム全体でUIデザインの統一性を図り、操作方法のばらつきを解消する

これらの課題を解決するために、ユーザー中心設計(UCD)に基づいたUI/UXデザインが求められます。

基幹業務システムのUI/UXデザインプロセス

それでは、基幹業務システムのUI/UXデザインは、具体的にどのようなプロセスで進めていけば良いのでしょうか?

ここでは、一般的なUI/UXデザインプロセスを、基幹業務システムに適用した例をご紹介します。

1. 現状分析・課題設定

まずは、現状のシステムにおける課題やユーザーのニーズを明確にすることが重要です。

  • ヒアリング調査:
    • 現場担当者へのインタビューを通じて、システムの利用状況や課題、要望をヒアリングします。
    • どのような業務で、どの機能を、どの程度の頻度で利用しているのか、具体的な業務フローを把握します。
  • アクセスログ分析:
    • システムのアクセスログを分析することで、ユーザーがどのような画面を、どの程度の時間、閲覧しているのかを把握します。
    • ボトルネックとなっている箇所や、改善が必要なポイントを特定します。
  • 競合システム分析:
    • 競合他社のシステムを分析することで、業界のトレンドや、自社システムとの差異を把握します。
    • 優れている点、改善点などを参考に、自社システムに取り入れるべき要素を検討します。

2. ペルソナ/カスタマージャーニーマップ作成

収集した情報に基づいて、システムの利用者をペルソナとして具体的に設定します。ペルソナは、年齢、性別、役職、業務内容、システム利用頻度、課題意識などを詳細に設定することで、よりリアルなユーザー像を描き出すことができます。

また、カスタマージャーニーマップを作成することで、ペルソナがシステムを利用する際の行動や感情の流れを可視化します。これにより、ユーザーがシステムのどの場面でどのような課題を感じているのかを明確化し、改善すべきポイントを絞り込むことができます。

3. 情報設計/ワイヤーフレーム作成

情報設計では、システムで扱う情報を整理し、ユーザーにとって分かりやすく、使いやすい構造を設計します。画面遷移図やサイトマップを作成することで、情報の階層構造や画面間のつながりを明確化します。

ワイヤーフレームは、画面レイアウトや要素配置、コンテンツの構成などを視覚的に表現した設計図です。具体的なデザイン要素を含まないシンプルな線画で作成することで、UI/UXデザイナーだけでなく、開発者やクライアントとも共通認識を持ちながら、画面構成や機能について議論することができます。

4. UIデザイン

ワイヤーフレームを元に、色、フォント、アイコン、イラストなどの視覚的な要素を加え、ユーザーインターフェースのデザインを行います。

基幹業務システムのUIデザインでは、使いやすさだけでなく、正確な情報伝達と誤操作防止が特に重要視されます。そのため、以下の点に注意してデザインを進める必要があります。

  • 視認性・可読性の向上:
    • 文字サイズやコントラスト、フォントなどを調整し、ユーザーがストレスなく情報を読み取れるようにします。
    • 情報の重要度に応じて、色分けやアイコンなどを効果的に活用します。
  • 操作性の向上:
    • ボタンやメニューの配置、サイズ、形状などを工夫し、直感的に操作できるようにします。
    • タブキーやショートカットキーなどを活用し、キーボード操作の効率化も図ります。
  • エラー防止:
    • 入力フォームに適切なエラーメッセージを表示することで、入力ミスを防止します。
    • 重要な操作を行う際には、確認ダイアログを表示するなど、誤操作を防ぐ仕組みを導入します。

5. プロトタイピング・ユーザーテスト

デザインしたUIを元に、実際に操作可能なプロトタイプを作成します。プロトタイプを用いることで、ユーザーはより具体的なイメージを持ってシステムの使い勝手を体感することができます。

ユーザーテストでは、作成したプロトタイプを実際のユーザーに利用してもらい、操作性や理解度、使い勝手などを評価してもらいます。ユーザーテストを通じて得られたフィードバックを元に、UI/UXの改善を繰り返し行います。

6. 開発・実装

ユーザーテストで問題がなければ、デザインを元に開発・実装フェーズに進みます。UI/UXデザイナーは、開発チームと連携し、デザイン意図が正しく実装されているかを確認しながら開発を進めていきます。

UI/UXデザインによって得られるメリット

基幹業務システムにUI/UXデザインを取り入れることで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 業務効率の向上:
    • システムの操作性が向上することで、ユーザーはストレスなく業務を行うことができます。
    • 作業時間の短縮やミスの削減に繋がり、業務効率の向上が見込めます。
  • 従業員満足度の向上:
    • 使いやすいシステムは、従業員のストレス軽減やモチベーション向上に繋がります。
    • 結果として、従業員満足度の向上、定着率の向上に貢献します。
  • 教育コストの削減:
    • 分かりやすいUI/UXによって、直感的にシステムを利用できるようになります。
    • 新人への教育コスト削減、操作方法に関する問い合わせを減らす効果も期待できます。
  • 企業競争力の強化:
    • 優れたUI/UXは、顧客や取引先からの企業イメージ向上に繋がります。
    • システムの差別化要素となり、企業競争力の強化に貢献します。

まとめ

今回は、基幹業務システムのUI/UXデザインについて、具体的な進め方や成果物、そして得られるメリットについて解説しました。

UI/UXデザインは、単にシステムの見た目を美しくするだけではありません。ユーザーの行動や心理を理解し、ユーザーにとって本当に使いやすいシステムを設計することが重要です。

基幹業務システムのUI/UX改善は、業務効率化や生産性向上、従業員満足度向上、ひいては企業競争力の強化に繋がる重要な取り組みです。ぜひこの記事を参考に、自社の基幹業務システムのUI/UXデザインについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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