昨今、金融業界においては、FinTechの台頭、顧客ニーズの多様化、競争の激化など、大きな変化の波が押し寄せています。こうした中、従来型のシステム運用やビジネスモデルでは対応が難しくなりつつあり、多くの金融機関がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、競争優位性を確保しようと試みています。
特に、長年金融機関の中核を担ってきた基幹業務システムは、その重要性ゆえに変更が難しく、老朽化やブラックボックス化が進んでいるケースも少なくありません。このようなレガシーシステムは、システムの運用・保守コストの増大、セキュリティリスクの増加、最新技術への対応の遅れなど、様々な課題を抱えています。
こうした課題を解決し、金融機関がDXを成功させるためには、基幹業務システムのモダナイゼーションが不可欠です。そして、このモダナイゼーションにおいて、見落とされがちでありながら、非常に重要な要素となるのが UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の刷新 です。
本稿では、金融機関における基幹業務システムモダナイゼーションの重要性を踏まえ、UI/UX刷新がもたらす効果や具体的な取り組みについて解説します。
金融機関の基幹業務システムの多くは、長年の運用の中で複雑化・ブラックボックス化し、以下のような課題を抱えているケースが散見されます。
基幹業務システムのモダナイゼーションは、上記のような課題を解決し、以下の目的を達成することを目指します。
基幹業務システムのモダナイゼーションにおいて、UI/UX刷新は、単なる見た目の変更ではなく、システム全体の価値向上 に繋がる重要な要素です。
基幹業務システムのUI/UXを刷新することで、以下のような効果が期待できます。
効果 | 説明 |
---|---|
業務効率の向上 | 操作性や視認性を向上させることで、作業時間を短縮し、業務効率を大幅に向上させることができます。 |
人為的ミスの削減 | 分かりやすく直感的なインターフェースにすることで、誤操作や入力ミスを減らし、業務の正確性を高めます。 |
従業員満足度の向上 | 使いやすいシステムを導入することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高め、定着率向上に貢献します。 |
新人教育コストの削減 | 直感的に操作できるシステム設計により、新人教育にかかる時間とコストを削減できます。 |
システムへのアクセシビリティ向上 | 多様なデバイスや環境に対応したシステム設計により、場所を選ばずにシステムにアクセスできるようになり、業務の効率化や生産性向上に繋がります。 |
セキュリティ意識の向上 | セキュリティに関する情報を分かりやすく表示したり、操作ログを可視化することで、従業員のセキュリティ意識向上を促し、セキュリティ事故の発生リスクを低減します。 |
金融機関の基幹業務システムにおけるUI/UXデザインは、以下のトレンドを踏まえて設計することが重要です。
1. モバイルファースト
スマートフォンやタブレット端末など、モバイルデバイスからのシステム利用が拡大しています。そのため、モバイルファーストを意識したUI/UXデザインが求められます。
2. データビジュアライゼーション
大量のデータ分析が求められる金融機関では、データの視覚化が重要となります。グラフやチャートなどを効果的に用いることで、データ分析の効率化を支援します。
3. パーソナライズ
顧客一人ひとりに最適化されたサービスを提供するために、パーソナライズ化が進んでいます。
4. セキュリティ
金融機関では、顧客情報の保護が最重要課題です。セキュリティを担保するためのUI/UXデザインが求められます。
5. アクセシビリティ
あらゆる人が等しくシステムを利用できるよう、アクセシビリティに配慮した設計が重要です。
基幹業務システムのUI/UX刷新は、以下のプロセスで行うことが一般的です。
プロセス | 説明 |
---|---|
現状分析 | 現行システムのUI/UXに関する課題を洗い出し、改善点を明確にします。 |
ユーザー調査 | ユーザーインタビューやアンケート調査などを実施し、ユーザーニーズや潜在的な課題を把握します。 |
ペルソナ設計 | 想定ユーザーを具体的に設定し、より的確なUI/UXデザインを目指します。 |
情報設計 | システムで扱う情報や機能を整理し、ユーザーにとって分かりやすい情報構造を設計します。 |
ワイヤーフレーム作成 | 画面構成や要素配置などを検討し、画面設計の骨組みを作成します。 |
プロトタイプ作成 | ワイヤーフレームに基づいて、実際に操作可能なプロトタイプを作成します。 |
ユーザーテスト | 作成したプロトタイプを用いてユーザーテストを実施し、UI/UXの使い勝手や課題点を検証します。 |
デザイン修正 | ユーザーテストの結果を反映し、UI/UXデザインを改善します。 |
開発・実装 | 確定したUI/UXデザインに基づいて、システム開発・実装を行います。 |
基幹業務システムのUI/UX刷新を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
金融機関を取り巻く環境が大きく変化する中、基幹業務システムのモダナイゼーションは喫緊の課題となっています。
モダナイゼーションにおいて、UI/UX刷新は、システムの利便性向上、業務効率化、顧客満足度向上、ひいては企業競争力強化に大きく貢献する重要な要素です。
本稿で紹介した内容を参考に、UI/UX刷新に取り組むことで、より良い基幹業務システムを構築し、金融機関のDXを成功に導いていただければ幸いです。
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