こんにちは。皆さんはサーバーレス開発について、どの程度ご存じでしょうか?サーバーレス開発とは、サーバーの管理を意識することなくアプリケーションを構築・実行できるクラウドネイティブな開発手法です。サーバーレス開発ではサーバーのプロビジョニング、スケーリング、メンテナンスなどを気にする必要がなくなり、開発者はビジネスロジックの実装に集中できます。
サーバーレス開発の代表的なサービスとして、AWS Lambdaが挙げられます。Lambdaは、イベント駆動型のコンピューティングサービスであり、コードをアップロードするだけで処理を実行できるという手軽さから、多くの開発者に利用されています。
本記事では、Lambdaを中心としたサーバーレス開発のベストプラクティスについて解説し、より効果的かつ賢く使いこなすための方法を紹介します。特に、サーバーレス開発の考え方や設計、運用、そして最新のサーバーレスサービスとの統合について掘り下げていきます。
サーバーレス開発の基礎を理解するため、まずはサーバーレスとは何か、その歴史や考え方について振り返ってみましょう。
サーバーレスの概念は、2006年にAmazon SQSが登場したときから存在していました。これは、メッセージキューイングサービスであり、アプリケーションコンポーネント間の非同期通信を可能にするものでした。2014年にはAmazon S3をイベントトリガーとしてLambdaを起動できるようになり、ここから本格的なサーバーレス開発が始まったと言えます。
初期のLambdaは、S3をイベントトリガーとしていましたが、2016年にAmazon API Gatewayが登場したことで、HTTPリクエストをトリガーにLambdaを実行できるようになり、一般的なWebアプリケーションのバックエンドとしても活用されるようになりました。
ちょうど当社が設立されたのが2017年で、設立当初からサーバーレスに取り組んできました。AWS Lambdaの登場は私達にとって革命的で、従来のモノリシックで属人化に陥りやすい開発や、インフラとの摩擦を無くせるような魔法のツールに思えました。もともと、PHPやJavaでゴリゴリ開発していた私達にとって衝撃的な出来事でした…。
その後、2017年にはAWS Step Functionsがリリースされ、ワークフローもサーバーレスで構築できるようになりました。Step Functionsは、複数のLambda関数を連携させて複雑なワークフローを定義・実行できるサービスです。
2019年には、Amazon EventBridgeが登場し、イベントドリブンなアーキテクチャがさらに進化しました。EventBridgeは、AWSのさまざまなサービスやSaaSアプリケーションからのイベントをルーティングし、Lambdaやその他のサービスに連携させることができます。
このように、サーバーレス開発はLambdaだけでなく、さまざまなサービスが連携して進化を遂げてきました。そして、開発者に求められることも変化しています。
従来のサーバーレス開発では、サーバーの管理から解放され、ソースコードのアップロードだけで処理が実行できるという点に注目が集まっていました。しかし、現在では、膨大なAWS製品を部品のように組み合わせ、インフラを管理することなく、顧客に価値を提供することが求められています。
サーバーレス開発では、コードだけでなく、コンフィグレーションや構成、設定を積極的に活用し、マネージドサービスとその機能をフルに活用していく、いわゆる「サービスフル」な考え方が重要になってきます。
従来のLambdaベースのサーバーレスアーキテクチャでは、Lambda関数内でさまざまな処理を実装し、API GatewayでAPIのインターフェースを作成し、S3でストレージを管理するといった構成が一般的でした。しかし、Lambda関数に機能を集中させすぎると、コードが肥大化し、保守や管理が複雑になる可能性があります。
そこで、近年注目されているのが、サービスフルなサーバーレスアーキテクチャです。Lambdaを「Transport(転送)」ではなく「Transform(変換)」のために利用し、可能な限りLambda関数で独自のソースコードを管理する必要性を減らすアプローチです。具体的には、イベントソースから直接サービスと通信する場合、Lambda関数を介さずに、イベントソースからサービスに直接イベントをルーティングします。このような構成は、サービスフルな考え方と言えます。
サービスフルな考え方では、以下のようなメリットがあります。
例えば、画像処理を行うアプリケーションの場合、以下のように機能を分割し、それぞれ最適なサービスに処理を委譲することができます。
このように、各機能を適切な粒度で分割し、それぞれのサービスに責任を移譲することで、アプリケーションの柔軟性、信頼性、コスト効率を向上させることができます。
近年、急速に発展している生成AIとサーバーレスの組み合わせは、新しいユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスを生み出す可能性を秘めています。
例えば、動画のタイトルや説明文を自動生成する機能をサーバーレスで実装する場合、Amazon TranscribeとAmazon Bedrockを組み合わせることが有効です。
このように、サーバーレスと生成AIを組み合わせることで、複雑な処理をシンプルな構成で実現することができます。
本記事では、サーバーレス開発のベストプラクティスとして、Lambda関数だけでなく、AWSのさまざまなサービスを組み合わせて活用する「サービスフル」な考え方と、最新の生成AIサービスをサーバーレスで統合する方法を紹介しました。これらのベストプラクティスを参考に、より効果的かつ賢くサーバーレスを活用し、ビジネス価値を創出していくことを期待しています。
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