【2024年版】ECS移行のためのIaCツール徹底比較!選定ポイントと導入事例

【2024年版】ECS移行のためのIaCツール徹底比較!選定ポイントと導入事例

本記事では、EC2からECSへの移行を検討している方に向けて、移行に際して使用するIaCツールの選定ポイントと導入事例を紹介します。ECSへの移行は、コンテナ化によるアプリケーションの可搬性向上、オートスケーリングによる運用の自動化、コスト削減など多くのメリットがあります。一方で、移行に際しては適切なIaCツールの選定が重要となります。本記事では、代表的なIaCツールの特徴を比較し、選定のポイントを解説します。

なお、本記事では以下の知識を前提としています。

  • AWS EC2、ECSの基本的な知識
  • Dockerの基本的な知識
  • インフラストラクチャのコード化(IaC)の概要理解

ECSへの移行のメリット

EC2からECSへ移行することで、以下のようなメリットが得られます。

概要メリット
コンテナ化によるアプリケーションの可搬性向上・Dockerコンテナを使用することで、アプリケーションの実行環境を統一でき、環境差異によるトラブルを防げる
・異なる環境間でのアプリケーション移動が容易になる
オートスケーリングによる運用の自動化・ECSではサービス単位でのオートスケーリングが可能
アプリケーションの負荷に応じて自動的にコンテナ数を調整でき、・手動での対応が不要になる
コスト削減・コンテナの密度を高められるため、EC2インスタンスを効率的に使用でき、インフラコストを削減できる
・スポットインスタンスの活用により、さらなるコスト削減が見込める
開発と運用の効率化・コンテナ化により、開発環境と本番環境の差異が小さくなり、環境構築の手間が削減できる
・IaCツールを活用することで、インフラの構成管理やデプロイの自動化が可能になる

IaCツールの種類と特徴

ECSへの移行に際して使用するIaCツールには、以下のようなものがあります。

AWS CloudFormation

  • AWSの公式IaCツール
  • JSON、YAMLで記述
  • AWSリソースを網羅的にサポート
  • 学習コストが高い(慣れないとちょっと書きにくい印象…)

Terraform

  • HashiCorp社の提供するオープンソースのIaCツール
  • HCL(HashiCorp Configuration Language)で記述
  • マルチクラウド対応
  • モジュール化により再利用性が高い
  • 優秀なダッシュボードが利用できる

AWS CDK

  • AWSの提供するIaCツール
  • TypeScript、Python、Java、C#、Go等の一般的なプログラミング言語で記述可能
  • AWSリソースを抽象化したハイレベルなコンストラクトを提供
  • 構築内容は一部ブラックボックスだがコード量を少なく出来る

Pulumi

  • Pulumi社の提供するオープンソースのIaCツール
  • TypeScript、Python、Go、C#等の一般的なプログラミング言語で記述可能
  • マルチクラウド対応
  • リアルタイムプレビュー機能により、変更内容の確認が容易

以下に、各ツールの特徴を表形式でまとめます。

ツール名提供元記述言語AWSサポートマルチクラウド学習コスト
CloudFormationAWSJSON、YAML×高い
TerraformHashiCorpHCL中程度
CDKAWSTypeScript等×低い
PulumiPulumiTypeScript等低い

IaCツール選定のポイント

IaCツールの選定に際しては、以下のようなポイントを考慮する必要があります。

1. 学習コスト

  • チームのスキルセットに合ったツールを選ぶ
  • 学習コストが高いと、移行の障壁になる可能性がある

2. AWSリソースのサポート状況

  • ECSへの移行に必要なAWSリソースがサポートされているか確認する
  • サポートが不足している場合、移行の実現可能性が下がる

3. マルチクラウド対応

  • 将来的にマルチクラウド化を検討している場合は、対応しているツールを選ぶ
  • ベンダーロックインを避けることができる

4. 再利用性

  • モジュール化など、再利用性の高いツールを選ぶ
  • 設定の共通化により、管理コストを削減できる
  • 特にテンプレート内の組み込み関数などが豊富だと開発中大変便利です

5. テスト、デバッグ機能

  • テストやデバッグ機能が充実しているツールを選ぶ
  • デプロイ前に差分が見えると尚良い
  • 移行時のトラブルシューティングが容易になる

まとめ

本記事では、EC2からECSへの移行に際して使用するIaCツールの選定ポイントと導入事例を紹介しました。IaCツールの選定に際しては、学習コスト、AWSリソースのサポート状況、マルチクラウド対応、再利用性、テスト・デバッグ機能などを考慮する必要があります。IaCツールを活用することで、インフラの構成管理やデプロイの自動化、開発と運用の効率化を実現出来ます。

ECSへの移行を検討する際は、自社の状況に合ったIaCツールを選定し、段階的に移行を進めていくことが重要です。本記事が、ECS移行を検討する際の一助になれば幸いです。