Vercel社とのパートナーシップ締結の背景
当社はtoC・toBのUI.UXデザインからモダン技術(React、Vue、Next、Nuxt、TypeScript)によるフロントエンド開発を支援する事業を展開しており、従来のフロントエンドのホスティング環境構築では、以下のシステム構成を導入することがデファクトスタンダートとしていました。
SPA 要件 | AWS CloudFrontとAmazon S3による静的サイトのホスティング。 |
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SSR 要件 | AWS ECSによるノードコンテナーの実行とCloudFrontによるキャッシュ。 |
CDN | CloudFlareまたはCloudFrontによるCDN構成。 |
CI.CD | AWSのCodeシリーズを用いたビルドパイプライン。(Code Pipeline、Build、Deploy) |
上記構成はスケーラブルでコスト効率にも優れており顧客満足度も高い印象でしたが、一方で以下のような課題を抱えていました。
- 複数AWSリソース展開に伴う運用保守、カスタマイズのリードタイム増加
- SSR要件に対するコストのオーバーヘッド(Spotインスタンスが要件にフィットせずコスト肥大の懸念有)
特に、確実な内製化を強みに事業展開している当社にとって、上記の技術的ハードルはお客様に負担を与える事項であり、もっとシンプルかつGUIによる直感的な操作が可能なフロントエンドのホスティング環境を求めていました。
Vercelの直感的・シンプルなGUI

Vercelは管理画面上からフロントエンドの開発環境に合わせ、Next.js・Nuxt.jsそれぞれのデプロイ設定が可能な製品です。フロントエンドホスティングに関するインフラレイヤーが抽象化されており、直感的に素早くアプリケーションを公開することが可能となります。
また、AWS CodePipeline同様に、GitHub や GitLab、Bitbucket と連携し、コードをプッシュするだけで自動的にビルド・デプロイされるため、開発者のインフラ負荷が大幅に軽減されます。設定なし・ゼロコンフィグで直感的に使える点が素晴らしいです。
エッジネットワークによる高速配信と自動スケーリング

Vercel CDN によって、ユーザーに最も近いエッジからレスポンスを返すことで、高速な表示を可能にし、トラフィックが急増しても自動スケールしてサイトの速度低下を防ぎます。ヘッダーを使用してプロキシされた応答をキャッシュする機構が備わっており、Targeted HTTP Cache Control 仕様 (RFC 9213) に従い、ヘッダーなどの標準ディレクティブをサポートしており、ブラウザのキャッシュに影響を与えることなく CDN キャッシュをきめ細かく制御できます
つまり、従来のCloudFront+S3、CloudFront+ECSのような柔軟なCDNキャッシュ機構構をゼロコンフィグで実現可能です。
パートナーシップ契約による主な取り組み
取り組み領域 | 内容 |
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共同マーケティング活動 | 導入事例、技術ブログ、イベント登壇を通じて国内市場での価値発信を共同で実施。 |
エンタープライズ案件での協業 | 大規模開発案件においてVercelプラットフォームの提案・共同営業を推進。 |
技術連携と知見共有 | アーキテクチャ設計支援、顧客ニーズと業界動向の共有、技術ロードマップに関する意見交換を継続的に実施。 |
導入プロセス・全体像

今後の展望
このパートナーシップ契約を通じ、当社はVercel社のエコシステムとの連携を強化し、Next.js / Nuxt.js / TypeScript ベースの最新技術による開発支援でクライアントのDX戦略実現をサポートしてまいります。