従量課金で小さく始めるExaDB-XS AWSコンソールでOracle Exadataを構築する手順と設計ポイント

益子 竜与志
益子 竜与志
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最終更新日:2026年08月13日公開日:2026年08月13日

2026年8月に一般提供が始まったExaDB-XS for Oracle AI Database@AWSは、8 ECPU・300GBから従量課金でExadataを使えるサービスです。専用インフラの事前準備が不要な仕組みと、AWSマネジメントコンソールでの構築手順を、移行設計の観点も交えて開発リーダー向けに解説します。

AWS上でOracle資産を小さく活かす新しい選択肢

レガシー基幹システムの刷新に取り組みながらも、Oracleデータベースの資産をどうクラウドへ移すかで足踏みしている開発現場は少なくありません。本記事では、2026年8月に一般提供が始まったExaDB-XS(Oracle Exadata Database Service on Exascale Infrastructure)for Oracle AI Database@AWSを取り上げ、その技術的な特徴、従来のExaDB-Dとの違い、そしてAWSマネジメントコンソールでの構築手順までを、移行設計の観点から開発リーダー向けに整理します。

ExaDB-XSは、AWSのアベイラビリティゾーン内でOracle Exadataインフラをネイティブに利用できる提供形態です。Amazon Marketplaceから購入でき、東京を含む多数のAWSリージョンで利用できます。対応するデータベースバージョンはOracle Database 19cと26aiで、専用インフラの事前準備を必要としない点が大きな特徴です。

この記事のゴールは3つあります。ExaDB-XSの技術特徴を押さえること、専用インフラ前提のExaDB-Dとの違いと移行検討のポイントを理解すること、そしてAWSコンソールでの構築手順とつまずきやすい箇所を具体的に知ることです。開発リーダーが自社の判断材料にできるよう、事実ベースで解説していきます。

ExaDB-XSの技術的特徴と小さく始められる仕組み

ExaDB-XSは最小8 ECPU、ストレージ300GBから利用を開始できます。ECPU単位、GB単位の小さな増分でスケールでき、コンピュートとストレージをそれぞれ独立して増やせる設計です。従量課金モデルで最低インフラコミットメントがなく、IOPSへの個別課金もありません。使った分だけ支払う形なので、小さく始めて負荷に応じて広げる運用に向いています。

ここでいうECPUはElastic CPUの略で、物理的なOCPUとは別の課金・割当の単位として扱われると考えられます。従来のExadataサービスとの最大の違いは、専用インフラをあらかじめプロビジョニングする必要がない点にあります。これにより、初期の構成負担を抑えたまま本番相当の基盤へ手を伸ばせます。

性能面ではExadataらしさを維持しています。Oracle RAC(Real Application Clusters)、Smart Scan、Hybrid Columnar Compression(HCC)に対応しており、可用性と分析性能を両立できます。

ストレージ層のExascale Storage Vaultは複数のVMクラスターで共有され、自動的にスケーリングします。さらにredirect-on-writeによる即時シンクローニングを使うと、元データを物理コピーせずに論理的な差分だけを持つクローンを素早く生成できます。開発環境やテスト環境の複製を短時間で用意できる仕組みとされ、検証サイクルの高速化に役立つと考えられます。本番データに近い状態でテストを回したい場面でも、ストレージを大量にコピーせずに済むため、環境の準備にかかる手間と時間を抑えやすくなります。

専用インフラ前提のExaDB-Dとの違いと移行設計の検討ポイント

移行を検討するうえで、従来のExaDB-D(専用インフラ版)との違いを押さえておくことが重要です。ExaDB-Dは専用Exadataインフラ上でシングルテナントの分離を提供し、OSとデータベースのフルコントロール、パッチや更新タイミングの自社管理を可能にします。その一方で、最低構成インフラのコミットメントが必要になります。

ExaDB-XSは共有・プール型のインフラを利用します。それでいてExaDB-Dと同等の制御性とデータベース管理体験を、最低構成コミットメントなしで提供する点が特徴です。物理分離の度合いとコストの入り口が、両者を分ける主な軸になります。

使い分けの示唆としては、厳格な物理分離やパッチ主権が要件となる基幹系はExaDB-D、変動負荷の大きいワークロードや小規模スタート、PoCならExaDB-XSが向いていると考えられます。移行設計では、分離レベルの要件、コストの予測性、スケール運用のしやすさという3つの観点で比較しておくと、判断がぶれにくくなります。

ExaDB-DとExaDB-XSの構造とコストモデルを対比した図
ExaDB-DとExaDB-XSの構造とコストモデルの違いを対比した図

AWSマネジメントコンソールでの構築手順とつまずきやすいポイント

AWSマネジメントコンソールでの構築は、大きく4ステップで進みます。順序と、途中で操作画面が切り替わる箇所を先に押さえておくと迷いません。

STEP1 ODBネットワーク作成では、アベイラビリティゾーン内のプライベート分離ネットワークを用意します。クライアント用とバックアップ用のCIDRを指定し、Amazon S3へのバックアップやAmazon Redshiftへのゼロ ETL接続をオプションとして設定します。既存のExadata DedicatedのODBネットワークがあれば共用も可能です。

STEP2 Exascale Storage Vault作成では、初期ストレージ容量を指定し、STEP1で作成したODBネットワークに関連付けます。続くSTEP3 Exascale VMクラスター作成では、VMあたり最小8 ECPU、ストレージ合計最小300GB、データベースバージョン、ライセンスタイプ、SSHキーペアを指定します。

最も注意したいのがSTEP4 Oracleデータベース作成です。このステップだけ操作がAWSコンソールからOCIコンソールへ移ります。ここでAmazon S3への自動バックアップも設定します。AWSの画面で完結すると思い込んでいると手が止まりやすいので、事前に把握しておくとよいでしょう。

実運用では、CIDR設計を関係者と先に合意しておくこと、バックアップ先のS3設計を固めること、SSHキーの管理方針を決めておくことが、後戻りを減らすポイントになります。

AWSコンソールで進めるExaDB-XS構築4ステップのフロー図
AWSコンソールで進めるExaDB-XS構築4ステップのフロー図

周辺AWSサービス連携とライセンス、26aiのAI機能

ExaDB-XSはAWSネイティブなサービス群と統合できます。バックアップにAmazon S3、暗号化にAWS KMS、監視にAmazon CloudWatch、イベント連携にAmazon EventBridge、権限管理にAWS IAM、監査にAWS CloudTrailを利用できます。接続面ではAWS Transit Gateway、Amazon VPC Lattice、AWS Cloud WANが使え、機密情報の管理にAWS Secrets Manager、生成AI連携にAmazon BedrockやAgentCoreを組み合わせられます。

ライセンスは2形態から選べます。ひとつは全オプション付きEnterprise Editionを含むLicense Included、もうひとつは既存ライセンスを持ち込むBYOLです。要件と保有資産に応じて選択できます。

Oracle AI Database 26aiでは、AI Smart Scanが利用できます。これはAI Vector Searchの処理をインテリジェントストレージへオフロードする機能で、RAGの構築にも活用できます。従来のSmart Scanとは別の機能である点に注意してください。名称が似ているため混同しやすいところです。

料金はOCI上のExaDB-XSと同じ体系とされています。具体的な金額は変動しうるため、検討時には最新の料金ページで確認することをおすすめします。

小さく確実な移行の第一歩としてのExaDB-XS

ExaDB-XSは、8 ECPUと300GBから始められる従量課金の性質を持ちます。これは、いきなり大きく作らず小さく確実にクラウドへ移すという考え方と親和性が高い選択肢です。Oracleの資産を捨てることなく、AWSネイティブな運用へ段階的に近づけられます。

移行の第一歩としては、自社の要件で分離レベルとコスト予測性を見極め、ExaDB-DとExaDB-XSのどちらが合うかを検討することから始めるとよいでしょう。あわせて最新の料金ページで前提を確認しておくと、社内での合意形成も進めやすくなります。

データベースのレイヤーでもRAGが標準的な機能として広がりつつある流れのなかで、ExaDB-XSはデータ基盤とAI活用を同じ土台で扱える点でも注目できます。Ragateは、AWSを軸としたクラウドマイグレーションやテクノロジーアドバイザリーの支援を通じて、Oracle資産のAWS移行やデータベース移行のご相談をお受けしています。小さく始める移行設計の壁打ち相手として、お気軽にお声がけください。

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