SaaSを導入するのではなく、自社の強みそのものをSaaSに
法人データベースを基盤に、企業リストの提供やFAXDMによる販促支援など、ダイレクトマーケティング領域で高い実績を重ねてきたシーオン様。従来は、社内スタッフが顧客データ管理システムを操作し、手作業や紙ベースの工程を挟みながら、顧客の条件に応じた法人データを提供する運用が中心でした。
一方、顧客の営業活動では「新規顧客を開拓したいがアプローチ先が分からない」「リスト作成やアプローチに膨大な時間がかかる」といった課題がありました。こうした課題を本質的に解決するため、シーオン様は社内で行っていたデータ管理・提供業務を、顧客自身が利用できるサービスへ転換することを決断しました。
その取り組みとして誕生したのが、画面上で業種・地域・企業規模などの条件を指定してターゲット企業を抽出し、リスト取得からFAXDM配信までを一元的に完結できるクラウド型法人営業支援サービス「MIDAS」です。社内スタッフが処理を代行する従来型の運用から、顧客が自ら条件指定、ターゲット抽出、リスト取得、配信までを行えるサービスへ刷新しました。
ここで重視したのは、既存の機能を単にクラウド上へ移すことではなく、シーオン様にしかないデータと業務ノウハウをサービスの中核に据えることでした。SaaS化はゴールではなく、顧客への提供価値を自社で更新し続けるための起点です。そのため、全国約1,000万件の法人データをストレスなく処理・検索できる性能と、利用企業やデータ量の増加、将来の機能拡張に対応できるシステム全体の再設計が必要でした。
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レガシーを捨てず、競争力として再設計する
長年社内で運用してきた顧客データ管理システムには、シーオン様独自の営業ノウハウや複雑な処理ロジックが蓄積されていました。モダナイズにあたっては、これらを古い仕組みとして切り離すのではなく、事業を支える資産として読み解き、新しいサービスへ継承する必要がありました。
同時に、法人データベースを活用した企業検索、リスト抽出、FAXDM配信予約など、多岐にわたる機能を一つのサービスへ統合し、大量データを扱う環境でも安定性とレスポンス性能を維持することが求められました。さらに、将来的な利用企業数、データ量、処理件数の増加を見据え、継続的な拡張に耐えられるアーキテクチャを設計・構築・運用するための専門的な知見も必要でした。
「自社内だけでクラウドインフラやシステムアーキテクチャを最適化するには限界があり、高度な技術力を持つ専門パートナーの力を借りる必要がありました。」(久野様)
そこでシーオン様は、複数社の提案内容を比較し、既存資産の継承とクラウドネイティブな再設計をともに進める技術パートナーを選定しました。ラーゲイトが選ばれた決め手は、久野様いわく「技術的な対応力と、将来像まで見据えた提案力の高さ」でした。
ラーゲイトは、既存のソースコードを単なる刷新対象として扱うのではなく、シーオン様の事業ノウハウが組み込まれた資産として解析。複雑なビジネスロジックを読み解き、新システムへ踏襲・最適化する具体的なアプローチを提示しました。さらに、AWSをはじめとするクラウド基盤構築の実績をもとに、大量の法人データを効率的に処理・検索できる、安定性と拡張性を備えたアーキテクチャを提案しました

完成して終わるSaaSから、内製で育て続ける事業基盤へ
ラーゲイトは、完成時点の仕様にサービスを固定するのではなく、シーオン様が継続的に運営・改善しやすい構成を重視しました。将来的な利用企業やデータ量の増加を見据えてシステム全体の構成とデータ処理の仕組みを整理し、既存資産を生かしながら、自社主導で価値を更新していけるクラウド基盤へ再構築しました。
1,000万件の法人データを効率的にインデックス化・検索できる環境を整備し、企業検索からリスト生成、FAXDM配信までのスムーズな連携を実現。顧客が必要な条件を指定し、自ら営業リストを取得・活用できるサービス基盤を確立しました。
また、従来発生していた紙ベースの運用や、与信確認・外部API連携における人の手を介する作業をシステム化しました。これにより、手作業によるエラーを抑え、顧客が必要なタイミングでサービスを利用できる、安定した提供体制へとモダナイズしています。
「当社側だけでは判断が難しい技術的な部分について、ラーゲイトさんに専門的な見地から提案やアドバイスをいただき、非常に助かりました。開発の過程で発生したさまざまな課題にも、コミュニケーションを取りながら柔軟にご対応いただけたため、安心してプロジェクトを進められました。」(久野様)
ラーゲイトの役割は、システムを構築して引き渡すことだけではありません。専門的な提案・アドバイスと密なコミュニケーションを通じ、シーオン様が自社内で技術的な判断を行い、サービスの運営・改善を主体的に進められる状態を見据えて伴走しました。これにより、SaaSを一度つくって終えるのではなく、自社のデータとノウハウを生かして価値を更新し続けるための、内製化の土台が整いました。
データとAIで、サービス価値を更新し続ける
シーオン様は、今回モダナイズしたクラウド基盤を足がかりに、「MIDAS」のさらなる進化を目指しています。
「今後、データベースや検索機能の拡充はもちろん、AIなどの新しい技術も積極的に取り入れていきたいと考えています。企業ごとに『どの企業にアプローチすべきか』をより高精度に提案できる仕組みを構築し、新規顧客との新しい出会いを増やして企業の成長に貢献していきたいですね。」(久野様)
こうした展望の実現にあたり、同社はラーゲイトとの継続的なパートナーシップに期待を寄せています。
「ラーゲイトさんには、ともに事業成長を目指す技術パートナーとして今後も伴走していただきたいです。AIの活用や効率的なデータ利用の仕組みについて、私たちが気付けないような技術的な可能性や改善点を積極的に提案していただきながら、MIDASをより価値のあるサービスへと成長させていきたいと思っています。」(久野様)
本プロジェクトが示したのは、SaaS化そのものが目的ではないということです。企業固有のデータと業務ノウハウを中核に置き、変化に合わせて自ら更新し続けられる基盤こそが、サービスの競争力を支えます。「導入して終わるSaaS」から、「自ら育てる事業基盤」へ。ラーゲイトは、シーオン様がMIDASの価値を継続的に高めていけるよう、クラウド・開発技術と内製化支援の両面から伴走していきます。



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