【2025年調査】PoC・MVP開発の手戻り問題|50%超のプロジェクトで発生する原因と解決策

最終更新日:2025年12月24日公開日:2025年12月24日
益子 竜与志
writer:益子 竜与志
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PoC・MVP開発で手戻りが頻発し、スケジュールとコストが膨らんでいませんか?本レポートでは、550名のビジネスパーソンへの独自調査から、手戻りの発生率と主要な原因を明らかにします。約50%のプロジェクトで手戻りが発生している実態と、AI駆動開発・バイブコーディングによる解決策を提示し、開発効率化のヒントを提供します。

調査概要

  • 調査期間:2025年12月22日〜
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 有効回答数:550名
  • 調査対象:日本国内のビジネスパーソン(PoC・MVP開発に関わる方)

セグメント条件

条件

内容

所属部門

情報システム部

または

従業員数501名以上の企業に所属

性別

総数

男性

女性

総数

550

439

111

(%)

100.0%

79.8%

20.2%

年齢分布

総数

20代

30代

40代

50代

60代以上

総数

550

23

94

158

213

62

(%)

100.0%

4.2%

17.1%

28.7%

38.7%

11.3%

地域

総数

関東

近畿

中部

その他

総数

550

290

88

89

83

(%)

100.0%

52.7%

16.0%

16.2%

15.1%

職業

総数

会社員(その他)

会社員(事務系・公務員)

会社員(技術系)

総数

550

278

262

10

(%)

100.0%

50.5%

47.6%

1.8%

PoC・MVP開発における「手戻り」問題の深刻さ

新規事業やシステム刷新において、PoC(Proof of Concept)やMVP(Minimum Viable Product)開発は欠かせないプロセスです。しかし、多くの企業がこの重要な検証フェーズで「手戻り」という課題に直面しています。

本レポートでは、Ragate株式会社が2025年12月に実施した独自調査の結果をもとに、PoC・MVP開発における手戻りの実態と解決策を詳しく解説します。550名のビジネスパーソンから得られた回答を分析し、開発効率化のためのヒントをお伝えします。


手戻り発生率の実態:約50%のプロジェクトで手戻りが発生

手戻りの発生頻度

調査結果から、PoC・MVP開発における手戻りの発生頻度が明らかになりました。

手戻りの発生頻度

割合

ほぼ毎回発生する

15.0%

半分以上のプロジェクトで発生する

10.2%

3〜4割程度のプロジェクトで発生する

11.6%

1〜2割程度のプロジェクトで発生する

13.5%

ほとんど発生しない

49.7%

注目すべきは、「ほとんど発生しない」と回答したのは約半数に留まり、残り半数のプロジェクトでは何らかの手戻りが発生しているという事実です。特に「ほぼ毎回発生する」「半分以上で発生する」と回答した合計25.2%は、深刻な開発効率の低下に直面していると考えられます。

手戻りがもたらす影響

手戻りは単なる工数増加だけでなく、以下のような連鎖的な問題を引き起こします。

  • 市場投入タイミングの遅延:競合に先を越されるリスク
  • 開発コストの増大:予算超過による追加承認プロセスの発生
  • チームのモチベーション低下:繰り返し作業による疲弊
  • ステークホルダーとの信頼関係悪化:納期遅延への不信感

手戻りが発生する主な原因TOP5

原因の分析

手戻りの原因として多く挙げられた項目を分析しました。(複数回答可、n=261)

順位

原因

回答率

1位

要件定義段階での認識齟齬

52.1%

2位

ステークホルダー間のコミュニケーション不足

45.6%

3位

技術的制約の見落とし

41.4%

4位

静止画のプロトタイプでは実際の操作感が伝わらなかった

31.8%

5位

複数ベンダー間の連携不足

27.6%

6位

プロトタイプから本開発への移行時のギャップ

20.3%

認識齟齬と静止画プロトタイプの限界

最も多かった原因は「要件定義段階での認識齟齬」(52.1%)です。発注者と開発者、あるいは事業部門とIT部門の間で、「何を作るべきか」の共通理解が形成できないまま開発が進み、後から「想像していたものと違う」という事態が発生しています。

また、「静止画のプロトタイプでは実際の操作感が伝わらなかった」が31.8%を占めている点も見逃せません。FigmaやXDで作成した静止画ベースのプロトタイプでは、実際のユーザー体験を十分に検証できず、実装後に大幅な修正が必要になるケースが多いことが示されています。


理想的なMVP開発期間:1ヶ月以内が過半数

期待される開発スピード

「理想的なMVP開発の期間」について質問した結果、以下の回答が得られました。

理想的な開発期間

割合

3日以内

12.6%

1週間以内

24.1%

2週間以内

19.5%

1ヶ月以内

28.0%

2〜3ヶ月以内

9.2%

3ヶ月超

6.5%

「1ヶ月以内」が28.0%で最多となり、「2週間以内」までを含めると56.2%が短期間での開発完了を望んでいることが分かります。ビジネス環境の変化が激しい現代において、素早くアイデアを形にし、市場検証を行うスピードが求められていることが読み取れます。


AI駆動開発・バイブコーディングの認知度と期待

認知度の現状

近年注目を集める「AI駆動開発」や「バイブコーディング」(生成AIを活用してコードを自動生成・補完する開発手法)について、認知度を調査しました。

認知度

割合

よく知っており、すでに活用している

24.1%

知っており、導入を検討中

25.3%

聞いたことはあるが詳しくは知らない

33.0%

全く知らない

14.9%

特にない

2.7%

「すでに活用している」が24.1%、「導入を検討中」が25.3%と、約半数がAI駆動開発に関心を持っていることが分かります。特に手戻り問題を抱える企業にとって、AI駆動開発は開発効率化の有力な選択肢として認識されつつあります。


PoC・MVP開発における課題TOP7

開発現場が抱える課題

PoC・MVP開発における課題を複数回答で調査した結果、以下のような傾向が見られました。(n=261)

順位

課題

回答率

1位

コストが高すぎる

39.8%

2位

社内リソース・スキル不足

37.9%

3位

手戻りが多い

35.6%

4位

関係者間の認識齟齬

35.2%

5位

適切なベンダーが見つからない

29.5%

6位

開発期間が長すぎる

23.8%

7位

市場投入タイミングを逃す

9.2%

コスト・スキル・手戻り・認識齟齬が上位を占め、これらは相互に関連していることが分かります。スキル不足が認識齟齬を生み、認識齟齬が手戻りを引き起こし、手戻りがコスト増大につながるという悪循環が存在します。


手戻りを削減するための3つのアプローチ

1. 動くプロトタイプによる早期検証

静止画プロトタイプの限界を克服するには、実際に動作する画面で早期にユーザー体験を検証することが重要です。「百聞は一見にしかず」の考え方で、ステークホルダー全員が実際のアプリケーションを操作しながら要件を確認することで、認識齟齬を大幅に削減できます。

2. AI駆動開発による開発スピード向上

生成AIを活用したAI駆動開発・バイブコーディングにより、従来のデザイン→実装というプロセスを短縮できます。プロンプトエンジニアリングで直接画面を実装し、最短3日で動作するMVPを提供することも可能です。

3. 一気通貫の開発体制構築

複数ベンダー間の連携不足(27.6%)が課題として挙げられていることから、フロントエンドからバックエンド、インフラまで一貫して対応できる技術パートナーとの協業が効果的です。


まとめ

本調査から、PoC・MVP開発における手戻り問題は多くの企業が直面する普遍的な課題であることが明らかになりました。

  • 約50%のプロジェクトで何らかの手戻りが発生
  • 最大の原因は「要件定義段階での認識齟齬」(52.1%)
  • 理想的な開発期間は「1ヶ月以内」が最多(28.0%)
  • AI駆動開発・バイブコーディングへの関心は高く、約半数が活用中または検討中

手戻りを削減し、開発スピードを向上させるためには、従来の開発プロセスを見直し、AI駆動開発のような新しいアプローチを取り入れることが有効です。


Ragate株式会社では、バイブコーディングを活用した「AI駆動開発×PoC/MVP開発支援」サービスを提供しています。静止画プロトタイピングを省略し、最短3日で動作する画面を実装。認識齟齬による手戻りを根本から解消し、アイデアから動くプロダクトまで最速で実現します。PoC・MVP開発の効率化をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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