ITシステム発注における「RFP作成・ベンダー選定」の難しさ
DX推進やシステム刷新において、適切なベンダーを選定することは成功の鍵を握ります。しかし、RFP(提案依頼書)の作成からベンダー評価まで、多くの企業がこのプロセスに課題を感じています。
本レポートでは、Ragate株式会社が2025年12月に実施した独自調査の結果をもとに、RFP作成・ベンダー選定における課題と外部支援活用の実態を詳しく解説します。550名のビジネスパーソンから得られた回答を分析し、効果的なベンダー選定に向けた示唆をお伝えします。
RFP作成における課題TOP6

RFP作成時に直面する課題
RFP作成において課題に感じていることを複数回答で調査した結果、以下の傾向が見られました。(n=511)
順位 | 課題 | 回答率 |
|---|---|---|
1位 | 特にない | 40.7% |
2位 | RFP作成の経験・ノウハウがない | 28.8% |
3位 | RFP作成に時間がかかりすぎる | 20.2% |
4位 | 要件をどの程度の粒度で書けばよいか分からない | 19.6% |
5位 | 非機能要件(性能・セキュリティ等)の整理が難しい | 18.4% |
6位 | ベンダーから適正な見積もりを引き出せない | 11.4% |
7位 | 社内にIT技術の知見を持つ人材がいない | 10.4% |
約6割が何らかの課題を抱えている
「特にない」と回答したのは40.7%に留まり、約6割のビジネスパーソンがRFP作成に何らかの課題を感じていることが分かります。
最も多かった具体的な課題は「RFP作成の経験・ノウハウがない」(28.8%)です。システム発注は頻繁に行うものではないため、社内にノウハウが蓄積されにくく、担当者が一から手探りで進めざるを得ないケースが多いことが示されています。
また、「要件をどの程度の粒度で書けばよいか分からない」(19.6%)や「非機能要件の整理が難しい」(18.4%)といった技術的な課題も上位にランクインしており、IT技術に精通していない担当者がRFP作成を任される難しさが浮き彫りになっています。
ベンダー選定で最も難しいと感じること

選定プロセスの課題
ベンダー選定において最も難しいと感じることを単一回答で調査した結果、以下の傾向が見られました。
順位 | 難しいと感じること | 割合 |
|---|---|---|
1位 | 特にない | 36.8% |
2位 | 価格の妥当性を判断すること | 21.3% |
3位 | 適切なベンダー候補を見つけること | 12.9% |
4位 | 複数ベンダーの提案を技術的に比較評価すること | 10.6% |
5位 | 長期的なコスト(TCO)を試算すること | 10.4% |
6位 | 社内の意思決定者を説得する根拠を示すこと | 4.5% |
7位 | 契約交渉を有利に進めること | 3.5% |
価格の妥当性判断が最大の課題
「価格の妥当性を判断すること」が21.3%で、具体的な課題としては最多となりました。ベンダーから提示された見積もりが適正かどうか、市場相場と比較してどうなのか、判断する材料がないために困っている企業が多いことが分かります。
また、「適切なベンダー候補を見つけること」(12.9%)や「複数ベンダーの提案を技術的に比較評価すること」(10.6%)も課題として挙げられており、ベンダーの探索から評価まで、選定プロセス全体を通じた課題が存在しています。
ベンダー評価で重視する評価軸TOP8

評価の優先順位
ベンダーからの見積もり・提案を比較検討する際に重視する評価軸を複数回答で調査しました。(n=511)
順位 | 評価軸 | 回答率 |
|---|---|---|
1位 | 価格(初期費用) | 47.9% |
2位 | 長期的な総コスト(TCO) | 41.1% |
3位 | 技術力・アーキテクチャの妥当性 | 34.6% |
4位 | サポート・保守体制 | 31.3% |
5位 | セキュリティ対応 | 26.0% |
6位 | 開発スピード・納期 | 25.2% |
7位 | 類似案件の実績 | 20.4% |
8位 | 拡張性・将来性 | 18.2% |
短期コストと長期コストの両方を重視
「価格(初期費用)」が47.9%でトップとなり、コストが最も重要な評価軸であることが確認されました。同時に、「長期的な総コスト(TCO)」も41.1%と高い割合を示しており、初期費用だけでなく運用・保守を含めた長期的な視点でのコスト評価が重視されています。 「技術力・アーキテクチャの妥当性」(34.6%)や「サポート・保守体制」(31.3%)も上位にランクインしており、価格だけでなく技術的な信頼性や継続的なサポート体制も重要な判断材料となっていることが分かります。
外部支援への関心:54%が活用を検討

外部支援活用の意向
RFP作成やベンダー選定を外部の専門家に支援してもらうことへの意向を調査しました。
意向 | 割合 |
|---|---|
すでに外部支援を活用している | 8.2% |
活用したいと考えている | 21.1% |
条件次第では検討したい | 33.5% |
あまり必要性を感じない | 18.2% |
全く必要性を感じない | 19.0% |
「活用したい」「条件次第で検討したい」を合わせると54.6%が外部支援に関心を示していることが分かります。RFP作成やベンダー選定は専門性が求められる業務であり、社内にノウハウがない場合は外部の専門家の力を借りたいというニーズが存在します。
一方で、「すでに活用している」は8.2%に留まっており、外部支援サービスの認知度や利用機会がまだ限定的であることも示唆されています。
外部支援サービスに求める条件

最も重要な条件
RFP作成・ベンダー選定支援サービスに求める条件として、最も重要なものを単一回答で調査しました。
順位 | 求める条件 | 割合 |
|---|---|---|
1位 | 特にない | 20.2% |
2位 | 技術と経営の両面から評価してくれること | 17.8% |
3位 | 成果報酬型でリスクなく始められること | 15.9% |
4位 | 短期間でRFPを作成してくれること | 14.1% |
5位 | 特定ベンダーへの誘導がない中立性 | 12.3% |
6位 | 幅広いベンダーネットワークを持っていること | 11.4% |
7位 | クラウド(AWS等)の専門知識があること | 5.5% |
8位 | 発注後の開発支援まで対応できること | 2.9% |
技術と経営の両面評価が最重要
具体的な条件として最も多かったのは「技術と経営の両面から評価してくれること」(17.8%)です。システム発注は技術的な判断だけでなく、投資対効果(ROI)や事業インパクトといった経営視点での評価も必要であり、両方の視点を持ったアドバイザーが求められています。
「成果報酬型でリスクなく始められること」(15.9%)も上位にランクインしており、発注に至らない場合でも費用が発生しない形態への関心が高いことが分かります。また、「特定ベンダーへの誘導がない中立性」(12.3%)も重視されており、公正な立場でのアドバイスを期待する声が強いことが読み取れます。
効果的なベンダー選定のための3つのポイント
1. RFPの品質向上
ベンダーから適正な見積もりを引き出すには、要件を明確に伝えるRFPの作成が不可欠です。機能要件だけでなく、性能・可用性・セキュリティ・運用保守といった非機能要件も網羅的に整理することで、ベンダーの理解度が向上し、より正確な見積もりが得られます。
2. 多角的な評価軸の設定
価格だけでなく、技術力、TCO、サポート体制、実績などを総合的に評価する評価軸を事前に設定することが重要です。評価マトリクスを作成し、定量的な比較を行うことで、客観的な意思決定が可能になります。
3. 外部専門家の活用
RFP作成やベンダー評価のノウハウがない場合は、外部の専門家を活用することも有効です。技術と経営の両面からアドバイスを受けられるパートナーを選ぶことで、より質の高いベンダー選定が実現できます。
まとめ
本調査から、RFP作成・ベンダー選定は多くの企業が課題を抱えている領域であり、外部支援への関心が高まっていることが明らかになりました。
- 約6割がRFP作成に何らかの課題を感じている
- ベンダー選定で最も難しいのは「価格の妥当性判断」(21.3%)
- 評価軸として「価格」「TCO」「技術力」が上位
- 54%が外部支援の活用に関心を示している
- 外部支援には「技術と経営の両面評価」を最も期待
適切なベンダーを選定し、システム導入を成功させるためには、RFP作成段階からの綿密な準備と、必要に応じた外部専門家の活用が効果的です。
Ragate株式会社では、「無料RFP作成&ベンダー選定支援」サービスを提供しています。生成AIと専門コンサルタントが業務課題をヒアリングし、最短3営業日でプロ品質のRFPを作成。完全成果報酬型(発注決定時のみ費用発生)でリスクなく、AWS認定技術者とMBA保有者が技術・経営両面からベンダー評価をサポートします。RFP作成やベンダー選定でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。















