生成AIは企業の標準装備になりつつある

2022年末にChatGPTが登場して以来、生成AIは急速にビジネスの現場へ浸透してきました。しかし、「他社はどの程度生成AIを活用しているのか」「どのツールを選べばよいのか」といった疑問を抱える企業担当者も多いのではないでしょうか。
本レポートでは、Ragate株式会社が2025年12月に実施した独自調査の結果をもとに、日本企業における生成AI導入の実態を詳しく解説します。505名のビジネスパーソンから得られた回答を分析し、市場の現状と今後の展望をお伝えします。
調査概要
本調査は以下の条件で実施しました。
- 調査期間:2025年12月11日〜
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 有効回答数:505名
- 調査対象:日本国内のビジネスパーソン(勤務先における生成AI活用について回答可能な方)
回答者の属性は、技術系会社員が50.7%、30〜50代が約83%を占め、関東地方が43.0%と最多でした。
「約4割の企業が生成AIを導入済み」導入状況の実態

導入ステージ別の分布
調査結果から、企業の生成AI導入状況は以下のように分布していることが明らかになりました。

導入状況 | 割合 |
|---|---|
全社的に正式導入し活用推進中 | 21.4% |
一部の部門・プロジェクトに限定導入 | 17.7% |
現在PoC・試験運用段階 | 8.2% |
導入に向けて検討・情報収集中 | 4.2% |
導入していないが個人利用は許可 | 10.3% |
セキュリティリスク懸念から利用禁止 | 2.9% |
特に検討しておらず利用もしていない | 7.4% |
わからない | 28.0% |
注目すべきポイントは、約39%(全社導入+部門限定+PoC段階の合計)の企業が何らかの形で生成AIを組織的に導入しているという事実です。これは、生成AIがもはや一部の先進企業だけのものではなく、幅広い企業で活用が始まっていることを示しています。
全社導入企業は5社に1社
特に「全社的に正式導入し活用推進中」と回答した企業が21.4%に達している点は注目に値します。約5社に1社は、すでに全社規模で生成AIを業務に組み込んでいるのです。
一方で、「わからない」と回答した割合が28.0%と最も高かったことも見逃せません。これは、生成AIの導入状況が社内で十分に共有されていない、または導入の有無自体が把握されていない企業が一定数存在することを示唆しています。
「ChatGPTが圧倒的シェア」業務利用ツールの実態
主要ツールのシェア
業務で利用されている生成AIツール・サービスについて調査したところ、以下のような結果が得られました。

ツール名 | 利用率 |
|---|---|
OpenAI ChatGPT | 45.5% |
Copilot for Microsoft 365 | 33.9% |
Google Gemini | 30.7% |
Perplexity | 12.9% |
Anthropic Claude | 12.7% |
GitHub Copilot | 12.7% |
Power Automate | 9.5% |
Google Vertex AI | 8.2% |
Azure OpenAI Service | 7.7% |
Dify | 6.6% |
Amazon Bedrock | 5.6% |
Cursor | 5.6% |
ChatGPTが45.5%と圧倒的なシェアを獲得し、市場のスタンダードとなっていることがわかります。次いでMicrosoft Copilot(33.9%)、Google Gemini(30.7%)が続き、この3大プラットフォームで市場の大部分を占めている状況です。
エンタープライズ向けツールの台頭
注目すべきは、Azure OpenAI Service(7.7%)やAmazon Bedrock(5.6%)といったエンタープライズ向けクラウドAIサービスの利用も一定の割合で存在することです。これらのサービスは、セキュリティ要件が厳しい企業や、既存のクラウドインフラとの統合を重視する企業に選ばれています。
また、Dify(6.6%)やCursor(5.6%)といった開発者向けツールの利用も進んでおり、生成AIを活用した内製開発への関心の高まりがうかがえます。
開発者向けツールの動向
GitHub CopilotとCursorの存在感
GitHub Copilot(12.7%)とCursor(5.6%)を合わせると、約18%の回答者が開発支援AIを業務で活用していることになります。技術系会社員が回答者の約半数を占めることを考慮しても、開発現場へのAI浸透が着実に進んでいることがわかります。
これらのツールは、コード生成やデバッグ、ドキュメント作成を自動化し、開発生産性を大幅に向上させます。従来の開発手法では数時間かかっていた作業が、AIの支援により数分で完了するケースも珍しくありません。
今後の展望と企業が取るべきアクション
導入検討中の企業へ
本調査から、生成AI導入は「検討すべきか」ではなく「どのように導入するか」というフェーズに入っていることが明らかになりました。約4割の企業がすでに導入済みであり、さらに4.2%が導入検討中という状況を踏まえると、今後1〜2年で過半数の企業が何らかの形で生成AIを導入する可能性が高いと考えられます。
ツール選定のポイント
ツール選定においては、以下の観点を考慮することをお勧めします。
- セキュリティ要件:機密情報を扱う場合は、Azure OpenAI ServiceやAmazon Bedrockなどのエンタープライズ向けサービスを検討
- 既存環境との統合:Microsoft 365ユーザーはCopilot、Google Workspaceユーザーはgeminiとの親和性が高い
- 内製化の展望:将来的な開発内製化を視野に入れる場合は、DifyやCursorなどの開発者向けツールも併せて検討

まとめ
本調査により、以下の3点が明らかになりました。
- 約39%の企業が生成AIを組織的に導入しており、そのうち21.4%は全社規模で活用推進中
- ChatGPTが45.5%で市場をリードし、Microsoft Copilot、Google Geminiが追随する3強構造
- 開発者向けツール(GitHub Copilot、Cursor等)の普及が進み、AI駆動開発への関心が高まっている
生成AIの導入は、もはや「先進的な取り組み」ではなく「ビジネスの標準」になりつつあります。自社の競争力維持のため、早期の検討と戦略的な導入をお勧めします。
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