なぜ今、DXPOだったのか
「クラウドにデータを預け、AIで賢く使う――アプローチは各社似通ってきています。だからこそ、当社の働き方に“本当に効く”差分を見極めたい」(益子)。
会場では、契約管理や広報、人事・労務、育成・研修まで、SaaSが集結。どの製品も生成AI連携を前提に、データのアップロードから利活用までを支援していました。一方で、良くも悪くも差別化は見えづらく、「汎用的ゆえに目利きが難しい」という課題も浮き彫りに。
既存基盤の“伸びしろ”を確認:MFCLOUDとSmartHR
当社で日頃から活用しているMFCLOUDとSmartHRのブースを訪問。運用のコツや先進事例を確認したほか、MFCLOUDでは2026年7月から人事管理機能が現行プランで利用可能になった点が大きな収穫でした。
「入社時に、分かりやすいUIで社員のマスターデータを作成し、MFCLOUD各製品へ自動連携できる。これまで製品ごとに重複入力していた“微小な摩擦”が一気に解消されるイメージです」(水野)。
SmartHRでは、オンボーディングや人事データの活用幅を広げるヒントを整理。既存基盤の“使いこなし”だけでも、体感速度を上げられる余地があると実感しました。
福利厚生DXの手応え:健康を軸にリテンションを強くする
社食サービスやオンライン診療など、健康起点の福利厚生ソリューションもチェック。
「当社の福利厚生は“リテンション”と“働くモチベーションの向上”が目的。健康領域の強化は、その双方に効く。制度の見直し候補を具体化できました」(水野)。
可視化やアプリ連携など、制度の“入れて終わり”を避ける設計が印象的でした。
見極めのポイント:SaaSが“似て見える”時代の選定基準
今回の視察を踏まえ、当社のSaaS選定では次の3点を主要指標に据えます。
データ連携とマスタ管理の深さ | 人事・契約・会計・広報素材など、基幹データが“二重化しない”構造か。監査ログと権限設計も評価軸に。 |
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生成AIの実装レベル | 単なる要約や自動化にとどまらず、根拠提示(ソースのトレーサビリティ)や運用監査に耐える仕組みがあるか。 |
ドメイン特化度 | IT業界の実務や研修に最適化されたテンプレート/ワークフロー/カリキュラムの有無。汎用機能だけでは業務固有の痛点は埋まらない。 |
すぐに着手するアクション
MFCLOUD人事管理機能の導入検証(2025年9月)
雇用・異動のワークフロー設計と、既存台帳からの移行計画を策定。(移行は必要ない?要調査)
SmartHRのオンボーディング強化(2025年10月)
研修プログラムのシステム運用と、日報と360度評価の管理効率化を推進。研修プログラムについては学習項目を再設計し、メンターへの連携を図りたい。
福利厚生の健康領域見直し(2025年11月)
社食・オンライン診療のトライアル実施、利用データに基づくKPI設計(利用率・満足度・医療費適正化指標など)を定義。
まとめ:本質業務へ、時間を取り戻す
生成AIはすでに当社の当たり前の道具になりました。次の焦点は、ツールの“足し算”ではなく、データと業務の“つながり”を最適化し、現場から摩擦を消し込むこと。
「私たちが欲しいのは、派手な機能より“使い切れるシステム”。社員の時間を本質業務へ取り戻す仕組みを、今回の学びを起点に着実に形にしていきます」(益子)。
DXPOで得た示唆を、秋以降のプロジェクトとして具体化していきます。続報にご期待ください。