自由と制約のグラデーション、組織づくりで意識している「ちょうどいい」バランスの話

自由と制約のグラデーション、組織づくりで意識している「ちょうどいい」バランスの話

最終更新日:2025年11月02日公開日:2025年11月02日
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組織をつくるとき、いつも考えることがあります。それは「自由と制約のバランス」です。自由すぎると個人の負荷が重くなりすぎてしまうし、制約が多すぎると創造性が失われて仕事がつまらなくなる。

どちらに偏っても組織はうまく機能しません。今日は、Ragateで実践している組織づくりの考え方について書いてみます。

自由と制約は、白黒ではなくグラデーション

組織をつくるうえで、自由と制約をどう設定するかは永遠のテーマだと思っています。スタートアップやベンチャーでは「自由な働き方」や「裁量の大きさ」が魅力として語られることが多いですが、実際には自由すぎることで苦しむケースもたくさん見てきました。

たとえば、プロジェクトの進め方から技術選定、顧客対応まで全部を任されたとき。経験豊富なメンバーなら問題なく回せるかもしれませんが、まだ経験の浅いメンバーにとってはプレッシャーが大きすぎて、結果的にパフォーマンスが下がってしまうこともあります。自由は与えられた側の力量によって、機会にも負担にもなるわけです。

一方で、制約が多すぎる環境もまた問題です。手順が細かく決められていて、決められたことだけをやればいい状態。最初は楽かもしれませんが、次第に仕事が単調になり、創造性が失われていきます。結果として、メンバーのモチベーションが下がり、成長機会も失われてしまう。これでは組織全体の競争力も落ちていきます。

つまり、自由と制約は二者択一ではなく、グラデーションとして捉える必要があります。メンバーの状態や組織のフェーズに応じて、そのバランスを調整していくことが経営者の役割だと考えています。

メンバーを見ながらバランスを取る

Ragateでは、メンバーごとに適切な自由と制約のバランスを意識的に調整しています。たとえば、新しく入ったメンバーには、まず基本的な業務フローや技術スタックをしっかり伝え、ある程度の枠組みの中で動いてもらいます。これは制約というよりも、迷わないための道しるべです。

その後、プロジェクトを経験し、顧客とのやり取りや技術選定の判断を何度か経験していくと、徐々に裁量を広げていきます。このとき重要なのは、本人の成長スピードや興味関心、強みをよく観察することです。全員に同じペースで自由を与えるのではなく、それぞれに合った形で調整していく。これが組織づくりの肝だと思っています。

また、プロジェクトの性質によってもバランスを変えています。新規事業や実証実験のようなプロジェクトでは、試行錯誤が必要なので自由度を高めに設定します。一方で、既存システムの運用や保守のような案件では、安定性が求められるため一定の制約を設けます。状況に応じて柔軟に設計することが、組織全体のパフォーマンスを最大化するポイントです。

制約は「枠」であり、自由は「余白」

自由と制約について考えるとき、私は制約を「枠」、自由を「余白」と捉えています。枠があるからこそ、その中でどう動くかという創造性が生まれます。真っ白なキャンバスに何でも描けと言われるより、ある程度の構図やテーマがあったほうが創作しやすい。それと同じです。

逆に、枠がまったくないと、どこに向かっていいのかわからなくなります。自由すぎることで判断に迷い、結果として行動が遅くなる。これは組織にとって大きな機会損失です。

だからこそ、適切な枠を設定し、その中で自由に動ける余白をつくることが重要です。そのバランスを取るために、私は日々メンバーと対話し、状況を観察し、調整を続けています。

組織は固定されたものではなく、常に変化するもの

Ragateを創業してから8年以上が経ちますが、組織のあり方は常に変化してきました。最初は少人数で全員が何でもやる状態でしたが、人数が増え、プロジェクトが複雑化するにつれて、役割分担や意思決定の仕組みを整えてきました。

そして今も、組織は完成形ではありません。新しいメンバーが加わるたび、新しいプロジェクトが始まるたび、自由と制約のバランスを見直しています。組織づくりに正解はなく、そのときのメンバーや状況に応じて最適解を探し続けることが大切だと考えています。

経営者としての私の役割は、メンバー一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境をつくること。そのために、自由と制約のグラデーションを常に意識しながら、組織を育てていきたいと思っています。

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