1万時間を達成するには実際どれくらいかかるのか
1万時間の法則は理論として理解しやすいものの、実際にこれを達成するには具体的にどれくらいの期間が必要なのでしょうか。働き方や自己研鑽の時間によって大きく変わってきますが、いくつかのパターンで計算してみました。
まず平日の業務のみで達成する場合を考えます。所定労働時間である1日8時間だけで取り組むと、年間で約1,960時間になります。これだと1万時間に到達するまでに約5.1年かかる計算です。一方、平日に残業を含めて1日10時間働く場合は年間2,450時間となり、約4.1年で達成できます。
次に、平日の業務に加えて土日に自己研鑽を行うパターンです。所定労働時間に土日各2時間の学習を加えると年間2,168時間で約4.6年、土日各4時間にすると年間2,376時間で約4.2年となります。さらに平日に残業もして土日も各4時間学習すると年間2,866時間となり、約3.5年で1万時間に到達します。
こうして数字で見てみると、どのパターンでも最低でも3年半から5年程度の継続的な取り組みが必要だとわかります。この期間をどう過ごすかが、プロフェッショナルとしての基礎を築く上で極めて重要になってきます。
継続できる環境づくりこそが成長の鍵
計算上は短期間で1万時間を達成することも可能ですが、現実的に考えると継続できなければ意味がありません。私がRagateのメンバーに期待しているのは、土日を削って過酷な勤務をすることではなく、土日はしっかりリフレッシュして平日に集中できる状態を維持することです。
短期的に無理をして頑張れる人は確かにいますが、それは超少数派です。多くの人にとって重要なのは、無理なく続けられる働き方を見つけることです。まさに「塵も積もれば山となる」という言葉の通り、継続できることこそが最も価値があります。毎日少しずつでも前進し続ければ、数年後には確実に大きな成果となって表れます。
だからこそRagateでは、メンバーが長期的に成長できる環境を整えることを重視しています。短期的な成果を追い求めて燃え尽きるよりも、着実に積み重ねていける仕組みの方が、組織としても個人としても健全だと考えています。
私自身の1万時間を振り返る
ただし、これは一般論としての話であり、実際に自分がどうだったかを振り返ると、正直かなり無茶をしてきたと思います。
20歳から31歳までの12年間、私は基本的に1日14時間以上働き、休日は年末年始の6日程度だけでした。計算すると年間359日働いていたことになり、1年あたりの労働時間は5,026時間、12年間で約60,312時間になります。1万時間の法則でいえば、6倍以上の時間を費やしてきたことになります。
振り返ればバケモノみたいな労働時間ですが、決して辛いだけではありませんでした。結果が伴ってくると、仕事がゲームのように楽しくなってきます。ある一定のレベルまで到達すると、何をしても上手くいくような無双状態になれるんです。経営も同じで、積み重ねた経験と知識が複利的に効いてきて、意思決定の精度が上がり、事業の成長速度も加速していきます。
もちろん、この働き方を誰にでも勧めるつもりはありません。ただ、もしあなたが20代前半で、リスクを取ってでも圧倒的に成長したいと思っているなら、挑戦してみる価値はあると思います。若いうちにしかできない働き方というものは確かに存在しますし、その時期に身を削って得た経験は、後のキャリアで大きな財産になります。
積み重ねた先に見える景色
私が確実に言えるのは、同年代の人たちと比較したとき、自分が流した汗の量は群を抜いているという自負があることです。テクノロジーに対する深い知見と、MBAで学んだ経営戦略やマーケティングの知識を掛け合わせた顧客支援を展開できているのは、この絶え間ない努力の結晶です。
全く方向性の異なる分野を統合し、実務で結果を出すまでには相応の苦労がありました。しかし、その努力は組織の能力として蓄積され、事業の売上としてどんどん反映されています。これは非常に嬉しいことですし、積み重ねてきたことが間違っていなかったという証明でもあります。
まだまだ道半ばであり、自分に驕ることなく常に青天井だと思って成長していきたいと考えています。1万時間はあくまで通過点であり、プロフェッショナルとしての成長に終わりはありません。テクノロジーは日々進化していますし、ビジネス環境も常に変化しています。その変化に対応し続けるためには、学び続ける姿勢が不可欠です。
最後に
1万時間の法則は、プロフェッショナルへの道筋を示す一つの指標です。ただし、重要なのは時間そのものではなく、その時間をどれだけ意図的な練習に費やせるかです。漫然と時間を過ごすのではなく、常に課題意識を持ち、改善を繰り返しながら取り組むことで、同じ1万時間でも得られる成果は大きく変わってきます。
Ragateでは、メンバーがそれぞれのペースで着実に成長できる環境を提供していきます。同時に、もっと早く、もっと高いレベルに到達したいという意欲のある人には、それを実現できる機会も用意しています。大切なのは、自分に合ったペースで継続し、確実に前進し続けることです。













