フルリモートは本当に最適解なのか?仕事の本質から考える働き方の選択

フルリモートは本当に最適解なのか?仕事の本質から考える働き方の選択

最終更新日:2025年10月14日公開日:2025年10月14日
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コロナ禍を経て、フルリモートワークは多くの企業で導入が進みました。通勤時間の削減や場所に縛られない柔軟な働き方として、大きなメリットがあることは間違いありません。

しかし経営者として、またエンジニアとして様々なプロジェクトを見てきた立場から言えば、フルリモートが万能の解決策だとは考えていません。今回は、仕事の本質から見た働き方について、私の考えをお話しします。

仕事は画面ではなく、人と行うもの

エンジニアとして長年働いてきて確信していることがあります。それは、どれだけ技術が進化しても、仕事の本質は人と人とのやり取りにあるということです。

私たちが日々向き合っているのは、コードや設計書だけではありません。顧客の課題を理解し、チームメンバーと協力しながら最適な解決策を見出していく。このプロセスには、画面越しでは伝わりにくい微妙なニュアンスや、偶発的な会話から生まれる気づきが大きな役割を果たしています。

例えば、オフィスで隣の席の同僚が少し困った表情をしている。そんなときに「何かあった?」と声をかけることで、大きな問題になる前に解決できることがあります。こうした何気ないやり取りは、フルリモートでは意識的に作り出さない限り生まれません。

フルリモートの見えないコスト

フルリモートで働く場合、多くの人は自分に割り当てられたタスクに集中します。これ自体は悪いことではありませんが、視野が自分のタスクだけに狭まってしまうリスクがあります。

入社初日から誰とも直接会わず、毎日自宅の部屋で作業をする。オンライン会議はあっても、それは業務連絡が中心になりがちです。表情の細かな変化や、会話の間、ちょっとした仕草から読み取れる情報量は、対面でのコミュニケーションと比べて圧倒的に少なくなります。

特に新しく入社したメンバーにとって、この環境は厳しいものがあります。どんな人たちと働いているのか、チームの雰囲気はどうなのか、困ったときに誰に相談すればいいのか。こうした情報を掴むのに、対面であれば数日で済むことが、フルリモートでは数ヶ月かかることもあります。

想いやりという観点から見た働き方

私が大切にしているのは、一緒に働く仲間に対する想いやりです。相手の状況を理解し、必要なときにサポートし合える関係性を築くこと。これはチームとして成果を出すための土台になります。

フルリモートでは、この想いやりを発揮する機会が限定されてしまいます。相手が今どんな状況なのか、何に困っているのか、どんな気持ちで仕事をしているのか。こうした情報をキャッチするのが難しくなります。

結果として、各メンバーが自分のタスクにだけ集中し、チーム全体としての一体感や協力体制が弱まってしまう。これは長期的に見れば、組織の成長を妨げる要因になると考えています。

リモートワークを効果的に活用する

ここまでフルリモートの課題について述べてきましたが、リモートワーク自体を否定しているわけではありません。むしろ、適切に活用することで大きな価値を生み出せると考えています。

例えば週の半ばに一日リモートで働く。これは気分転換になり、集中力を回復させる効果があります。通勤時間がない分、その時間を自己学習に使ったり、家族との時間に充てたりすることもできます。深く集中したい作業があるときも、リモートの方が効率的な場合があります。

重要なのは、オフィスでの対面コミュニケーションを基本としながら、リモートワークを戦略的に組み合わせることです。定期的に顔を合わせることで関係性の土台を作り、その上でリモートワークの柔軟性を活かす。このバランスが、現時点での最適解だと考えています。

これからの働き方を考える

技術の進化により、将来的にはフルリモートでも対面と同等のコミュニケーションが可能になるかもしれません。仮想現実技術やより高度な会議システムの登場により、物理的な距離の壁が低くなる可能性はあります。

しかし現時点では、対面でのコミュニケーションが持つ価値を代替できる技術は存在しません。だからこそ、働き方を選択する際には、短期的な利便性だけでなく、チームとしての成長や個人の成長という長期的な視点を持つことが大切だと考えています。

私たちRagateでは、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることを重視しています。それは単に快適な働き方を提供するだけでなく、互いに高め合い、成長できる関係性を築ける環境です。そのために、オフィスでの対面を基本としながら、必要に応じてリモートワークを活用する柔軟な働き方を推進しています。

働き方は手段であり、目的ではありません。私たちが本当に目指すべきは、顧客の課題を解決し、社会に価値を提供し続けることです。そのために最適な働き方を、これからも模索し続けていきます。

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