広告事業の「Circuit X」をAWSサーバーレスへ移行、AWSの深い知見と高い技術力を低コストな技術顧問で提供し、開発効率化を実現

広告事業の「Circuit X」をAWSサーバーレスへ移行、AWSの深い知見と高い技術力を低コストな技術顧問で提供し、開発効率化を実現

支援実績 デジタル広告業界AWS リスキリング支援
最終更新日:2025年10月22日公開日:2023年02月03日
水野 渚
writer:水野 渚
XThreads
課題
  • AWSサーバーレスに対して知見が少なく開発が手探りになり工数肥大
  • AWSの技術リサーチにかかる工数が肥大しプロジェクト全体を圧迫
  • 検討したアーキテクチャがベストプラクティスか疑問
解決策
  • 低コスト定額でAWSの技術顧問を設置
  • サーバーレスのベストプラクティスを素早く迅速に案内
  • AWSの技術リサーチ工数を大幅に削減し開発効率を向上

アプリ向け広告事業「Circuit X」で業界をリードする株式会社フクロウラボ様。事業の根幹を支えるシステムのリプレイスは、AWSサーバーレスの知見不足から2年間も停滞するという大きな壁に直面していました。この膠着状態を打破すべく、当社は「技術顧問」として参画。 常駐せずに週1回の的確な技術アドバイスで、2週間を要した調査工数をわずか2〜3時間へと劇的に短縮させ、開発効率を飛躍的に向上させました。単に目の前の課題を解決するだけでなく、お客様社内の知見を育て、将来の内製化までを見据えて伴走する。 技術で顧客の悩みに寄り添い、組織全体の成長まで実現する。お客様のビジネスを成功に導いたプロジェクトの舞台裏についてお伺いしました。

フクロウラボさんはアプリ向けの広告配信プラットフォーム「Circuit X」を提供する企業。広告主とメディアの架け橋として、「かけがえのないパートナー」として、価値を提供しています。

現在の主軸事業である「 Circuit X 」は、アプリ向けクローズド型アフィリエイトネットワークであり、「成果型Web広告」の提案を通して、顧客のサービスを効果的にプロモーションするサポートを行っています。

「顧客に喜んで欲しいからの一言に尽きる」フクロウラボ公式ページの「代表メッセージ」で、代表取締役 清水さんは話されています。入社したメンバーからも顧客と同様に「一緒に仕事ができてよかった、かけがえのないパートナーだ」と、言っていただけるような会社にしたいと話す清水さんの熱い思いは、社内に広がっています。

今回当社が受託した依頼は、フクロウラボさんが提供している「 Circuit X 」事業において、システムの長期的な安定運用を目的としたリプレイスにおけるAWSの技術顧問としてのパートナー契約。フクロウラボさんは2019年から順次 「 Circuit X 」事業のリプレイスを始められ、手探りで一つひとつ進められていました。しかし全体的な進捗が芳しくないと感じ、AWSの技術顧問を請け負っていただける企業を募集。作業効率を改善するために弊社でできること、できないことなどの話をし、お互いのニーズがマッチしたと感じ、受託に至りました。

AWSによるサーバーレス化を視野に入れた 「 Circuit X 」事業のリプレイスということもあり、弊社で蓄積されていたAWS AppSync やSQS、DynamoDBの知見、ノウハウを共有する形でリプレイスのお手伝いをさせていただきました。AWSの技術顧問受け入れについて、本案件のエンジニアリングマネージャーを勤めている渋谷さんにお話を伺いました。


Circuit X 」サーバーサイド開発・運用担当、リプレイス事業エンジニアリングマネージャー。
Go、Ruby、PHPを駆使してプログラミング開発を行う。常に成長できるチームを作り上げていきたいと考えている。好きな行動指針は「昨日よりも良いコード」(PM:渋谷さん)

左上から時計回りに株式会社フクロウラボの栄さん、渋谷さん:Ragateの久保

使い捨てと考えていたシステムが主軸事業に

フクロウラボさんが提供している「 Circuit X 」は顧客単体のプロモーション企画で作られたアフィリエイトの仕組みを他ジャンル向けに活用できないかという考えのもと開発が進められてきました。

当初単発で作ったシステムを拡大、横展開していくために少しずつ機能を継ぎ足していくことで開発が進みました。結果的には「付け焼き刃」的なシステムが構築されていった背景があります。

「付け焼き刃」的なシステムを主軸事業として注力していく方針に転換したのち、システムの見直し、リプレイスする選択肢が出てきました。AWSサーバーレスの導入によるリプレイス事業が開始した当初は、開発メンバー内にAWSの知見が深い人がおらず、工数が増え続ける中、手探りで開発を進めていました。開発チームは3チーム、レガシーシステムの保守1チーム、リプレイスに2チーム、全部で10人前後の体制で取り組んでいました。しかし良い効率は出せずじまい。「スケジュールとしては2週間1スプリントとして開発を進めていましたが、1スプリントが調査だけで潰れることがザラだった」(渋谷さん)

2年ほど現状は変化せず、検討したアーキテクチャもベストプラクティスなものなのか、常に試行錯誤して開発を進めている状態。この状態を打破すべく、AWS技術顧問を請け負っていただける企業を探すことを決定しました。
AWSサーバーレスに知見が深い技術面で信頼度や、柔軟で低コストなサポート体制などが決め手となり、ニーズがマッチしたRagateさんと契約を結びました。

豊富なAWSの知見と柔軟なサポート体制を提供

「RagateさんはAWSの知見が豊富で、技術顧問を請け負う際のサポート体制において、柔軟な提案をしてくれたところが、弊社とマッチしていると感じ決めさせていただきました。他の会社さんですと、専属契約じゃないとダメとかが多くて難しかった。Ragateさんは顧問契約だけど常勤だけではなく、少ない時間だけでもOKだったのがよかったです」(渋谷さん)

技術支援をする際、顧問として企業に参画し、フルコミットで常駐する体制を敷く企業が多いです。弊社Ragateでは、エンドユーザー様にさまざまな支援方法を提供できる体制を整えていました。もともと営業の段階でAWSサーバーレスで尖がっていたところ、技術的にも共有できることが多いと感じ、お互いの兼ね合いがマッチしました。1週間に1回、Q&A方式で情報の共有を行い、問題解決に向けてお手伝いさせていただきました。

「メンバーから迅速に回答をいただける。技術的にかなりディープな内容であっても答えてくれるし、場合によってはAWSサービスの検証も行ってくれました」(渋谷さん)

EC2/RDSを使用したシステムから、
SQS、DynamoDBを使った AWSサーバーレスへの移管

改修の対象となったポストバックでは、EC2とRDB(MySQL)を使用。AWSのコンソールパネルのみではクラウドリソース管理の観点から実用的ではなかったため、ServerlessFrameworkを更に導入し、SQS / DynamoDB およびLambda をコード管理、SQS / DynamoDB / Lambda CI/CDの実現をめざしました。

実際に環境を構築し、VPCやセキュリティーグループ、各セクションのIAMでの権限とstage毎の SystemManagerでのパラメータ管理など、細かい部分の設定をラクに行えるようになりました。ひと段落した今でも改めて見返すと、プロジェクト内のディレクトリ構成などはまだまだ推敲の余地があり、更に変更して整理したいと思っています。

フクロウラボさんは開発当初、手探りで調査に多くの時間を費やしていましたが、今では技術支援の甲斐あってか、より良いプラクティスを見つけるために開発を進められています。次なる開発を円滑に進められる推進力として、Ragateも更なる助力として活躍できそうです。

SQS/Lambda/DynamoDBを使用したサーバーレスの構成(リプレイスしたバックエンド処理の一部)

AWSサーバーレスの知見の蓄積と人材の育成を促進

情報の共有が進むことでAWSサーバーレスに関する知見の蓄積が進み、開発効率を大幅に向上させることに成功しました。1スプリント(2週間)の時間を要することもあった調査時間は2,3時間に短縮され、その分開発に時間を割くことが可能に。

「チームメンバーからも、Ragateさんに投げた質問の回答が迅速かつ的確で、時間は短縮できるし、いつも勉強させていただいている、という声を聞いています」(渋谷さん)

リプレイス事業開始当初は、AWSに知見が深いメンバーがいませんでしたが、今ではフクロウラボ内にAWSの資格取得者も増え、内製化が着実に進んでいます。この成長もRagateの助力が複合的に一因となっている、と言えなくはないかもしれません。

「これまではQ&A表だけだったけど、引き続きよい関係を築きつつ、今後は一緒に開発にも携わっていきたいですね」(渋谷さん)

Amazon DynamoDB開発からLambda単体テストまで、ベストプラクティスなアーキテクチャを提示できるよう、Ragateは今後もAWSサーバー支援を高い技術力を持って遂行します。

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FAQ

よくあるご質問

A
AWSサーバーレスへの移行によって、技術リサーチにかかる工数を大幅に削減できます。従来は手探りで開発を進めていたため工数が肥大していましたが、技術顧問を設置することでベストプラクティスを素早く案内できる体制を構築します。これにより、プロジェクト全体を圧迫していたリサーチ工数が削減され、実際の開発業務に集中できる環境が整います。具体的には、検討したアーキテクチャの妥当性を即座に判断できるため、手戻りや試行錯誤による時間的損失を最小限に抑えることが可能です。
A
AWS技術顧問サービスは、AWSサーバーレスに対する知見が社内に蓄積されていない企業に特に有効です。デジタル広告業界のような、システムの処理性能とコスト効率の両立が求められる事業分野では、適切なアーキテクチャ選定が事業成果に直結します。自社でAWSの深い知見を持つエンジニアを採用・育成するには時間とコストがかかりますが、技術顧問を活用することで低コストかつ迅速に専門知識を獲得できます。既存システムからクラウドへの移行を検討している企業や、サーバーレスアーキテクチャの採用を進めたい企業にとって効果的な選択肢となります。
A
サーバーレスアーキテクチャのベストプラクティスとは、AWSの各種マネージドサービスを適切に組み合わせて、運用負荷を最小化しながら高い可用性とコスト効率を実現する設計手法を指します。具体的には、Lambda関数の適切な粒度設定、DynamoDBやAurora Serverlessなどのデータベース選定、API Gatewayの設定最適化、CloudWatchによる監視体制の構築などが含まれます。これらの要素を事業要件に応じて適切に組み合わせることで、スケーラビリティと保守性を両立させたシステムを構築できます。独自に調査すると膨大な時間がかかる知識を、実務経験に基づいて効率的に提供することが技術顧問の役割です。
A
AWS移行プロジェクトで工数が肥大化する最大の原因は、技術リサーチに時間を取られることです。AWSは多様なサービスと機能を提供しているため、自社の要件に最適な構成を選定するには広範な知識が必要になります。特にサーバーレスアーキテクチャは従来のサーバー運用とは異なる考え方が求められるため、知見がない状態では手探りで開発を進めることになり、結果として工数が予想以上に増加します。また、構築したアーキテクチャが本当にベストな選択なのか確信が持てないまま進めることで、後から大幅な修正が必要になるリスクも抱えます。この課題を解決するには、実装経験豊富な技術顧問による的確なアドバイスが有効です。
A
低コストな技術顧問サービスは、定額制の料金体系で提供されることで予算管理がしやすい形態となっています。常駐型のコンサルタントと異なり、必要な時に必要な支援を受けられる柔軟な体制を構築します。具体的には、アーキテクチャレビュー、技術的な疑問への迅速な回答、ベストプラクティスの共有、実装時の技術的な壁の解消支援などを提供します。この方式により、フルタイムで専門家を雇用するよりも大幅にコストを抑えながら、必要な知見とサポートを確保できます。プロジェクトの進行状況に応じて相談頻度を調整できるため、効率的な支援が実現します。
A
AWSリスキリング支援では、単なる技術情報の提供にとどまらず、チームメンバーが自律的にAWS技術を活用できるよう実践的な知識移転を行います。技術顧問との対話を通じて、なぜそのアーキテクチャが適切なのか、どのような考え方で技術選定を行うべきかという判断基準を学ぶことができます。実際のプロジェクトを進めながら学習するため、机上の知識ではなく実務で使える技術力が身につきます。結果として、将来的には外部支援に依存せず自社内で適切な技術判断ができる体制が構築され、継続的な開発効率の向上につながります。
A
デジタル広告業界では、アクセス量の変動が激しく、キャンペーン実施時には通常時の数倍から数十倍のトラフィックが発生することがあります。サーバーレスアーキテクチャを採用することで、このような負荷変動に自動的に対応でき、ピーク時でも安定したサービス提供が可能になります。さらに、使用した分だけ課金される従量課金制により、アクセスが少ない時期のコストを抑えられるため、年間を通じた運用コストの最適化が実現します。サーバーの維持管理やスケーリング設定の手間も削減されるため、エンジニアはビジネスロジックの開発により多くの時間を割くことができます。