AnthropicがCode with Claude SFで示した次世代AI開発の全貌 SpaceX提携からManaged Agents強化まで

益子 竜与志
益子 竜与志
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最終更新日:2026年05月07日公開日:2026年05月07日

2026年5月6日、AnthropicはサンフランシスコでCode with Claudeを開催し、SpaceXとのコンピュート提携による Claude Codeのレート制限2倍化、Dreaming・Memory・Outcomesを含むManaged Agentsの大幅強化など、AI開発の未来を変える複数の発表を行いました。本記事ではその全貌を詳しく解説します。

Code with Claude SFとは何か

2026年5月6日、Anthropicはサンフランシスコで「Code with Claude 2026」を開催しました。Anthropicが主催する初の本格的な開発者カンファレンスで、ソフトウェアエンジニア・AIエンジニア・テックリーダーを対象にしたフルデイイベントです。サンフランシスコを皮切りに、ロンドン(5月19日)・東京(6月10日)でも開催が予定されており、現地参加とライブストリームの両方に無料で参加できます。

5月7日にはExtended Dayとして、独立系の開発者や初期スタートアップ向けに追加セッションが設けられました。Anthropicチームによるハンズオンワークショップや創業者ストーリー、製品ディープダイブが展開され、Claude Codeをより深く使い込みたい開発者に向けた内容となりました。

カンファレンスはResearch・Claude Platform・Claude Codeの3トラックで構成されています。Researchトラックでは現在のモデルの能力と今後の研究方向性を解説、Claude Platformトラックでは本番環境での高品質なエージェント構築事例を紹介、Claude Codeトラックでは長期タスク処理・マルチリポジトリ対応・並列エージェントといった実践的な開発スキルを深掘りしました。基調講演にはCPOのAmi Vora、Claude CodeヘッドのBoris Cherny、Claude PlatformプロダクトヘッドのAngela Jiangらが登壇し、複数の重要な発表を行いました。

基調講演で明かされた新機能群

基調講演で発表されたClaude Codeの新機能は主に3つです。それぞれが開発者の実務に直接作用する実用的な機能となっています。

まず「Code Review」は、Claude Codeが自律的にコードレビューを実施する機能です。Anthropic社内の全チームへの展開が発表されており、社内での実績が本番稼働レベルであることを裏付けています。これにより人間のレビュアーがより高度な議論に集中できる環境が整うことが期待されます。

次に「Remote Agents」は、スマートフォンからラップトップ上のClaude Codeを遠隔操作できる機能です。外出先や会議中でも長時間実行タスクを指示・監視できるため、開発者がラップトップの前に座っていなくても非同期でコーディング作業を進行できます。長期タスクをバックグラウンドで走らせるというClaude Codeのユースケースを、物理的な制約なく実現する重要な機能です。

「CI auto-fix」は、Pull Requestに対してCIパイプラインが失敗した際に自動的に修正案を提示する機能です。テスト失敗やリントエラーに対してClaudeが修正を行い、開発サイクルの短縮に貢献します。Code Reviewと組み合わせることで、レビューからCI修正まで一気通貫で自動化できる可能性があります。

SpaceXとのコンピュート提携が意味するもの

Code with Claude SFと同日の2026年5月6日、AnthropicとSpaceXによる大規模なコンピュートパートナーシップが発表されました。AnthropicはSpaceXのColossus 1データセンターの全コンピュート容量へのアクセス権を取得し、300MW超・22万台以上のNVIDIA GPUを数週間以内に利用できます。これはAnthropicにとって過去最大規模のコンピュートインフラ拡張の一つです。

AnthropicとSpaceXのコンピュート提携 インフォグラフィック

この提携が特に注目される理由の一つは、その背景にある関係の変化です。Elon MuskはSpaceXとxAIをすでに統合しており、かつてはAnthropicに批判的な姿勢を取っていました。しかしAnthropicのシニアメンバーとの対話を経て評価を転換し、今回の大型提携に至ったとされています。AI業界における大手プレイヤー間の関係が流動的に変化していることを示す象徴的な出来事です。

長期的な視点では、AnthropicはSpaceXと協力して複数ギガワット規模の軌道上コンピュート、すなわち宇宙空間に設置したデータセンターの開発を検討しています。今回の提携以外にも、AnthropicはAmazonと最大5GWの大型契約、Google・Broadcomとも5GW規模(2027年以降稼働)の合意を結んでおり、インフラ拡張を急速に進めています。これらの動きはAIモデルの高度化に向けた計算資源の確保競争が激化していることを示しています。

Claude Codeのレート制限が2倍に拡大

SpaceXとの提携によって得た追加コンピュートキャパシティを直接活用する形で、AnthropicはClaude Codeのレート制限を2倍に引き上げると発表しました。対象となるのはPro・Max・Team・Enterprise(シートベース)の全プランで、Anthropicが現在提供する有料プランのすべてが対象です。

具体的には5時間ウィンドウあたりのレート制限が従来の2倍になります。さらにPro・Maxプランのユーザーに対しては、ピーク時間帯(混雑時)における制限軽減も撤廃されます。従来はアクセス集中時間帯に利用量が絞られることがありましたが、今後はその制限がなくなります。APIレベルでも、Claude Opusモデルへのレート制限が大幅に引き上げられます。

この変更は、長時間タスクや並列エージェントを本番で運用しているチームにとって特に大きな恩恵となります。これまでレート制限によってワークフローが分断されていたケースでも、より途切れなく処理を継続できるようになります。Anthropicがインフラへの大規模投資の恩恵を直接ユーザーに還元するという姿勢は、開発者エコシステムへのコミットメントを示すものです。

Managed Agentsの大幅強化とDreaming機能の仕組み

今回の発表の中で最も技術的な革新性が高いのが、Managed Agentsへの複数機能追加です。Managed AgentsはAnthropicが提供するエージェント実行基盤で、エージェントのビジネスロジックとランタイム(オーケストレーション・サンドボックス・状態管理・クレデンシャル管理など)を分離した設計になっています。外部ツールの連携や長時間のマルチステップワークフロー、エラーリカバリ、セッション継続をインフラレベルで管理する点が特徴です。

Managed Agents Dreaming機能の仕組み インフォグラフィック

今回の目玉機能が「Dreaming(ドリーミング)」です。これはセッションとセッションの間にエージェントが自律的に過去の作業を振り返り、パターンを抽出して長期記憶に保存するスケジュール型メモリプロセスです。古くなったメモの削除・重複する情報の統合・矛盾する情報の解消を自動で行い、ユーザーの好みや繰り返しのワークフローを蓄積することで、使えば使うほど精度が向上する仕組みです。現時点ではリサーチプレビューとして申請制で提供されています。

「Memory for Managed Agents」はパブリックベータに昇格しました。セッション横断的な学習を可能にする機能で、記憶はファイルシステムベースで保存されます。エクスポートやAPI経由の管理・移植が容易で、監査ログも付属しています。特に長期稼働するエージェントを構築するエンタープライズチームにとって、継続的な文脈の保持という観点で重要な機能です。

「Outcomes(アウトカム評価)」も今回パブリックベータに移行しました。開発者が定義した評価基準(ルーブリック)に基づき、別のグレーダーがエージェントの出力を採点し、基準を下回った場合は修正を促します。Anthropicの内部テストでは、標準的なプロンプトループと比較してタスク成功率が最大10ポイント向上し、docxファイル生成で8.4%、pptxファイル生成で10.1%の品質改善が確認されました。さらに「マルチエージェントオーケストレーション」もパブリックベータで公開され、複数のエージェントが協調して複雑なタスクを分担処理できるようになっています。

まとめ

今回のCode with Claude SFを通じてAnthropicが示したのは、AIエージェントを開発者の日常作業に深く組み込むという一貫した戦略です。Code ReviewからCI auto-fixまで、エンジニアの日常ワークフローを端から端までカバーする機能群が揃いつつあります。SpaceXとの歴史的なコンピュート提携はインフラ増強にとどまらず、レート制限の2倍拡大という形でユーザーに直接還元されました。

Managed AgentsのDreaming・Memory・Outcomesという3つの新機能は、単発タスクをこなすエージェントから、経験を積み重ねて自律的に進化するエージェントへという質的な転換を示しています。これはエージェントが「ツール」から「長期的なチームメンバー」に近づくことを意味し、今後のエンジニアリング組織のあり方に大きな影響を与えるかもしれません。いずれの発表も実験段階から本番投入に近い段階にあり、2026年後半に向けたさらなる拡充が期待されます。東京での開催(6月10日)も控えており、日本の開発者コミュニティにとっても注目のタイミングです。

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