OpenclawはAIエージェントフレームワークとして、柔軟な設定体系を備えています。本記事ではRagateが実際に運用する58エージェント・30以上のMCPサーバー環境をもとに、openclaw.jsonの高度な設定項目、定義ファイルのカスタマイズ手法、そしてCursorを使った効率的な編集フローを解説します。
openclaw.jsonの全セクション解剖
openclaw.jsonはOpenclawの設定を一元管理するメインファイルです。agents.defaultsセクションは全エージェントへのフォールバック設定として機能します。主要な設定項目は以下の通りです。
{
"agents": {
"defaults": {
"model": {
"primary": "anthropic/claude-sonnet-4-6",
"fallbacks": ["anthropic/claude-haiku-4-5"]
},
"contextPruning": { "mode": "cache-ttl", "ttl": "1h" },
"heartbeat": { "every": "30m", "isolatedSession": true }
}
}
}bindingsセクションでSlackチャネルと各エージェントを紐づけます。Ragateでは58個のエージェントをtimes-*(個人タイムズ)・pj-*(プロジェクト)・ex-pj-*(外部連携)等のカテゴリに分けて運用しています。gatewayセクションはport 18789でローカルに起動するHTTP APIゲートウェイで、token認証で保護し、tailscale.modeを"auto"に設定するとTailscaleネットワーク経由での外部アクセスも可能になります。

SOUL.md / MEMORY.md / AGENTS.md / USER.mdの高度なカスタマイズ
4つのMarkdownファイルによるエージェントパーソナリティの永続化がOpenclawの特徴です。SOUL.mdはエージェントの価値観・行動原則を定義します。「Be genuinely helpful, not performatively helpful」「Have opinions」「Be resourceful before asking」というコアトゥルースが設定されており、エージェント自身が運用を通じて進化させる設計になっています。
MEMORY.mdはエージェントの長期記憶として機能します。Ragateのケースでは255行に及ぶ運用ルール集として機能しており、日付・担当者・理由を必ず記録することでルールの背景が失われない設計にしています。AGENTS.mdにはワークスペース全体の行動規範を記載します。LLMルーティングポリシーとして、日常的なチャットはSonnet 4.6、高度推論はOpus 4.6、マルチステップ実行とマーケティング・営業・提案書作成はClaude Code(品質最大化)と使い分けています。
ファイル | 役割 | カスタマイズポイント |
|---|---|---|
SOUL.md | エージェントの価値観・哲学 | コアトゥルース・コミュニケーションスタイル |
MEMORY.md | 長期記憶・運用ルール集 | 日付・担当者・理由付きルール蓄積 |
AGENTS.md | 行動規範・安全ガイドライン | LLMルーティングポリシー・レッドライン |
USER.md | ユーザー情報・稼働時間 | 連絡スタイル・優先度方針 |
MCPサーバーの高度な設定と追加方法
openclaw.jsonにはMCPサーバーを配置できる場所が2つあります。mcp.serversはエージェントが直接利用するサーバー(主にAWSツール群)、plugins.entries.openclaw-mcp-bridge.serversはrouterモードで統合管理するサーバー(Google Workspace・SNS・開発ツール等)です。新規MCPサーバー追加の基本パターンを示します。
// stdio(npmパッケージ)の場合
"your-service": {
"transport": "stdio",
"command": "npx",
"args": ["-y", "your-mcp-package@latest"],
"env": { "API_KEY": "your-api-key" }
}
// streamable-httpの場合
"aws-knowledge-mcp": {
"transport": "streamable-http",
"url": "https://knowledge-mcp.global.api.aws"
}追加後は必ずapproval-request.shでkind="mcp"として承認申請します。Google CalendarなどOAuth認証が必要なサービスはGOOGLE_OAUTH_CREDENTIALSでcredentials.jsonのパスを指定します。

スキル作成・Cronジョブ設定の実践
スキルのディレクトリ構造はSKILL.md(必須)・scripts/・README.mdで構成します。SKILL.mdのフロントマターにnameとdescriptionを記載します。Ragateでは「Wave-by-Wave再利用アーキテクチャ」を採用しており、Wave 2のpublish-content-draft-pipeline.shが全ブログ媒体で共通利用され、Wave 5のregulation.mdがブログルールの唯一の権威ソースです。新スキル作成後はkind="skill"で承認申請が必須です。
設定項目 | Ragateの方針 | 理由 |
|---|---|---|
Cron実行時間帯 | 10:00〜20:00以外を推奨 | ビジネスアワーのLLM混雑回避 |
セッション分離 | isolatedSession: true | メインセッションのコンテキスト汚染防止 |
Heartbeatとの使い分け | 正確な時刻が必要な場合はCronを選択 | Heartbeatは約30分間隔でドリフト許容 |
Cursorで設定ファイルを効率的に編集する実践手法
Cursorのチャット機能を使ったopenclaw.json・SKILL.md・MEMORY.mdの編集フローを紹介します。
目的 | Cursorへの指示例 |
|---|---|
MCPサーバー追加 | 「@openclaw.json のplugins.entries.openclaw-mcp-bridge.serversにnotionサーバーを追加して。transport: stdio, command: npx, args: ['-y', '@notionhq/mcp']」 |
新エージェント追加 | 「@openclaw.json のagents.listにtimes-newpersonを追加して。times-masihkoと同じパターンで」 |
MEMORY.mdへのルール追加 | 「@MEMORY.md に新しいルールを追加して。YYYY-MM-DD 担当者より。X投稿前にreply-log.jsonを確認すること」 |
既存のSKILL.mdをテンプレートにした新スキル作成も効果的です。「@skills/x-lead-post/SKILL.md を参考に、linkedin-lead-post/SKILL.md を作成して」と指示するだけで、同じ構造のスキルをすばやく生成できます。変更後はgit commitでバックアップを取り、approval-request.shで承認申請してから適用します。設定ファイルの変更はすべて承認フロー必須という原則を守ることで、エージェントの安全な進化が保証されます。
Openclawの設定は一度整えれば終わりではなく、チームの規模・業務・要件に合わせて継続的に進化させていくものです。SOUL.md・MEMORY.md・スキルを積み上げることで、まるで経験を積んだスタッフのように振る舞うエージェントが育っていきます。Cursorをパートナーにした設定ファイル管理は、その進化を加速させる強力な手法です。















