VS Code 1.120の新機能Agent windowが複数AIエージェント開発を変える

益子 竜与志
益子 竜与志
XThreads
最終更新日:2026年05月19日公開日:2026年05月19日

VS Code 1.120で安定版プレビューとして公開されたAgent windowは、Copilot CLI・Copilot Cloud・Claude agentといった複数のAIエージェントを一つのウィンドウから一元的に扱えるエージェントファーストのワークフローを実現します。本稿では公式ドキュメントとリリースノートに基づき、機能の全体像、従来のVS Code設計上の課題、活用シナリオ、そして公式範囲での今後の展望を整理してご紹介します。

Agent windowが登場した背景と従来のVS Codeの限界

2026年5月13日にリリースされたVisual Studio Code 1.120の安定版に、新しい開発体験を担う「Agent window(Agents windowとも表記されます)」がプレビュー機能として組み込まれました。公式リリースノートでは、本機能が複数のAIエージェントを横断的に扱う、いわゆるエージェントファーストの作業空間として位置付けられていることが明示されています。

VS Codeはもともと、人間の開発者が一つのタスクを集中して進めるためのコードエディタとして設計されてきました。Publickeyの解説記事でも、シングルタスクかつシングルワークスペースでの利用に最適化されてきたと指摘されています。一方で、コード生成や差分レビュー、Pull Request作成といった作業を複数のAIエージェントへ並列に委譲する開発スタイルが一般化しつつあり、従来のUIではセッション間の切り替えや進捗の把握が煩雑になるという声が増えてきました。

こうした状況に対する回答として登場したのがAgent windowです。公式ドキュメントには「a dedicated window in VS Code, built for an agent-first workflow」と記載されており、エディタとは独立した専用ウィンドウとして、複数プロジェクトのエージェント作業を一元的に扱えるよう設計されています。Insidersでは先行提供されていましたが、1.120からはStable版でも追加インストールなしで利用できるようになりました。

Agent windowのUI4領域を示すインフォグラフィック

Agent windowの機能概要とUI構成

公式ドキュメントによれば、Agent windowは4つの主要領域で構成されています。サイドバーのSessions Listはワークスペースを跨いだエージェントセッションを表示し、デフォルトではワークスペース単位でグループ化されます。右クリックメニューからrenameやmark as done、pinといった操作が行えるため、長期間の作業でも整理が容易です。

Customizations Panelはエージェントのpluginsやskills、MCPといった拡張要素へアクセスするための窓口です。Chat Areaは会話履歴の確認と新しいプロンプト入力を担い、Changes Panelではエージェントが加えたファイル変更を差分表示・レビューし、不要な編集をdiscardできます。これら4領域が一画面に集約されているため、依頼から検証までの一連の流れを途切れさせずに進められます。

起動方法も複数用意されています。タイトルバーの「Open in Agents」ボタン、コマンドパレットからの「Chat Open Agents Window」コマンド、そしてターミナルから実行する code --agents の3通りが公式に案内されています。新しいセッションは⌘Nで開始でき、ワークスペース選択、エージェント種別の指定、分離モードの選択、プロンプト入力という流れで作業を始められます。

重要な点として、公式ドキュメントには「The Agents window and the main VS Code window share the same underlying agent sessions」と記されています。Agent window側で開始したセッションはメインのVS Codeウィンドウからも参照できるため、デバッグや拡張機能の活用が必要になった場面でスムーズに移動できます。

対応する3種類のAIエージェントと役割分担

公式ドキュメントが明示しているAgent windowの対応エージェントは3種類です。それぞれの位置付けを公式の記述に沿って整理します。

  • Copilot CLI はマシン上でバックグラウンド実行されるローカル寄りのエージェントで、Git worktreesによる作業分離を任意で選択できます。ローカルファイルに対する反復的な編集や検証に向いています。
  • Copilot Cloud はGitHub Copilot側でリモート実行されるエージェントで、GitHubリポジトリのみ対応という制限があるかわりに、Pull Requestと連動した長時間タスクの委譲に向いています。
  • Claude agent はAnthropic公式のClaude Agent SDKを通じて提供され、既存のGitHub Copilotサブスクリプションで認証と課金が完結する点が特徴です。クラウド利用については公式に「Third-party coding agents in the cloud are currently in preview.」と明記されています。

一方、公式ドキュメントには未対応事項も明確に列挙されています。Agent window配下ではLocal Agent、Copilot CLI以外のサードパーティCLIエージェント、マルチルートワークスペース、Claude agentにおけるsub-session、エージェントによる統合ブラウザの直接操作、そしてPlanエージェントが未サポートと記載されています。利用環境を設計する際は、この境界線をあらかじめ把握しておくと安心です。

実際のユースケースと活用シナリオ

公式ドキュメントとリリースノートで示されている範囲を踏まえると、Agent windowの活用シナリオはいくつかの典型に分類できます。まず最も基本的なのが、高レベルなタスクをチャットで記述してエージェントに委譲し、人間はレビューに集中する使い方です。公式ドキュメントにも「describe (high-level) tasks and requirements in chat and hand them to an AI agent」と記載されています。

次に、複数プロジェクトを横断するセッション管理です。リリースノートでは「explore, iterate on, and review tasks across multiple projects, and seamlessly switch between them」と説明されており、例えばAプロジェクトでバグ修正、Bプロジェクトで新機能開発を同時に進めながらSessions Listで切り替えるといった運用が想定されます。

3つ目はエージェント実行の分離です。セッション開始時にWorktreeまたはFolder isolationを選べるため、メインブランチや作業ツリーに影響を与えずにエージェントの提案を試せます。4つ目はGitHub連携によるクラウド実行で、Copilot Cloudを使えばローカル環境を起動せずに長時間タスクを走らせ、Pull Requestとして結果を受け取る運用が可能です。

そして見落とされがちですが重要なのが、メインウィンドウとの併用です。公式のoverviewでは、メインウィンドウは「the full editor experience with debugging, notebooks, the extension ecosystem」と紹介されており、デバッガやノートブック、既存の拡張機能エコシステムを活かす場として位置付けられています。Agent windowでタスクをオーケストレーションしつつ、深い検証はメインウィンドウで行う、といったコードファーストとタスクファーストの役割分担が現実的な使い方になります。

複数AIエージェントを横断管理するワークフロー

VS Code 1.120で追加された改善点と今後の展望

VS Code 1.120のリリースノートでは、Agent windowに対する複数の改善が公式に説明されています。新しいセッションを作る際に、agent harnessや分離モードといったドロップダウンの直前の選択が引き継がれるようになり、繰り返し作業の手数が減りました。Changes Panelからは編集を直接discardできるようになり、Filesパネルにはアップストリームの変更を確認して取り込めるsyncボタンが追加されています。

挙動面でも、Changes Panel上の操作がより決定論的に完了するよう改善され、doneとマークされたセッションを開いた際にはエージェントが行った全変更を既定で一覧表示できるようになりました。タイトルバー左上の矢印ボタンで直近のセッション間を素早く行き来でき、Agent window側でVS Code全体の設定が共有される仕様も整っています。

今後の展望については、公式に裏付けがある範囲に限ってお伝えします。現時点ではあくまでStableにおけるプレビュー段階であり、公式ドキュメントにもAgent windowは現在プレビューであると明記されています。Planエージェントの追加、Claude agentのsub-session対応、マルチルートセッション、ローカルおよびサードパーティCLIエージェントの拡張、エージェントによる統合ブラウザ操作などは現時点で未対応と記載されており、提供時期は公式に示されていません。フィードバックはGitHub Issues経由で受け付けられているため、現場の要望を反映させるルートも整備されています。

関連する周辺機能としては、VS Code 1.119でAgent browser sharingやOpenTelemetry tracingといったエージェント体験を補強する機能が追加されていることも、Visual Studio Magazineで報じられています。継続的な改善のなかでAgent windowの位置付けが磨かれていくと考えられますが、具体的な仕様変更は公式リリースノートで随時確認するのが確実です。

まとめ

Agent windowは、シングルタスク前提だったVS Codeに対し、複数のAIエージェントを横断的に運用するための専用ワークスペースを公式に提供する取り組みです。Copilot CLI、Copilot Cloud、Claude agentという3種類のエージェントを一つの場所で扱えるようになったことで、エディタを開き直すことなくタスクの委譲とレビューを回し続けられます。チームでAIエージェントの活用を本格化させたい開発者や技術リーダーにとって、まずプレビュー版を触りながら自分たちの開発フローへの組み込み方を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

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