AWSが複数サービスの終了・新規受付停止を発表 AWS App RunnerやAmazon RDS Custom for Oracleなど

益子 竜与志
益子 竜与志
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最終更新日:2026年04月14日公開日:2026年04月14日

2026年4月14日、AWSはAWS App Runnerをはじめとする複数サービスの新規受付停止および終了を発表しました。クラウドエンジニアやアーキテクトが把握すべき変更内容と、代替サービスへの移行ポイントを解説します。

AWSサービスライフサイクルとは何か

AWSは2026年4月14日、複数のサービスについて新規受付停止および終了を発表しました。この発表を正確に理解するためには、AWSが定義している「AWS Lifecycle Changes」と呼ばれるサービスライフサイクルの仕組みを把握しておく必要があります。

AWSではサービスの終了プロセスを次の3段階に分けて管理しています。

  • Maintenance(メンテナンス):新規利用者の受け付けを停止します。既存ユーザーはサポートを継続して受けられますが、新機能の追加や機能強化は行われません。既存環境を維持したまま安定稼働させることが主な役割となります
  • Sunset(サンセット):移行期間が設けられ、サービスのサポート終了日が発表されます。利用者は代替サービスへの移行計画を立て、終了日までに移行を完了させる必要があります
  • Full Shutdown(完全停止):サービスが完全に終了し、すべての利用が停止されます。この段階では新規・既存問わずサービスにアクセスできなくなります

今回の発表では、Maintenanceステータスに移行するサービスが8件、Sunsetステータスに移行するサービスが4件ありました。それぞれのステータスによって対応の緊急度が大きく異なります。Maintenanceは既存の利用者への影響はありませんが、新規採用の検討は停止すべき段階です。一方、Sunsetは移行計画の策定を急ぐ必要があります。自社の利用状況と照らし合わせながら優先度を判断することが重要です。

AWS App RunnerがMaintenanceへ 4月30日に新規受付停止

今回の発表でとりわけ注目されるのがAWS App RunnerのMaintenanceステータスへの移行です。2026年4月30日以降、AWS App Runnerへの新規の利用申し込みが停止されます。

AWS App Runnerは2021年のAWS re:Inventで正式公開されたサービスで、コンテナ化されたWebアプリケーションやAPIを、インフラ管理をほぼ意識することなく自動デプロイ・オートスケールできる点が特徴でした。GitHubリポジトリまたはコンテナイメージを指定するだけでHTTPS対応のエンドポイントが短時間で立ち上がるため、Kubernetesや細かいネットワーク設定に不慣れなチームでも手軽にコンテナ運用を始められると評価されていました。コンテナ活用の裾野を広げる存在として、スタートアップや個人開発者を中心に一定の支持を集めていたサービスです。

Maintenanceへの移行後、既存ユーザーは引き続きApp Runnerを利用できますが、新機能の追加は行われません。長期的には代替サービスへの移行を見据えた設計が必要になります。

AWSはApp Runnerの代替としてAmazon ECS Express Modeを推奨しています。ECS Express Modeは2025年12月に一般提供が開始されたAmazon ECSの新しい起動モードです。App Runnerが提供していたシンプルな操作感を維持しながら、Amazon ECSが持つロードバランサーの細かな設定、VPCとのネットワーク統合、タスク定義の柔軟なカスタマイズといった豊富な機能を活用できます。App Runnerで物足りなさを感じていたチームにとっても移行のメリットが大きいサービスといえます。新規プロジェクトへの採用ではECS Express Modeを第一選択肢として検討することをお勧めします。

Amazon RDS Custom for Oracleは2027年3月31日に完全終了

エンタープライズユーザーにとって影響が大きい変更として、Amazon RDS Custom for Oracleが2027年3月31日をもって完全終了することが発表されました。このサービスはSunsetステータスに分類されており、約1年の移行期間が設けられています。

Amazon RDS Custom for Oracleは、マネージドデータベースサービスの利便性を維持しながら、OSレベルおよびデータベースレベルのカスタマイズを可能にするハイブリッドなサービスです。標準のAmazon RDS for Oracleでは許可されていない、OSへの直接アクセス、カスタムパッチの適用、サードパーティエージェントのインストールといった操作が可能であるため、レガシーシステムの移行や独自の運用要件を持つエンタープライズからの需要がありました。

2027年3月31日という期限は一見余裕があるように見えます。しかしOracleデータベースの移行プロジェクトは、データベーススキーマの精査、アプリケーションの動作検証、ステージング環境での試験運用、本番環境への段階的な切り替えといった工程を踏むため、半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。今すぐ代替オプションの検討と移行計画の策定を開始することが強く推奨されます。AWSの公式ドキュメントでは移行に向けた代替オプションが案内されているため、まずは公式ドキュメントを確認することが第一ステップです。

そのほかMaintenanceに移行するサービス一覧

AWS App Runner以外にも、今回の発表ではさまざまなサービスがMaintenanceステータスへ移行しています。それぞれの概要と影響範囲を整理します。

AWSサービスライフサイクル変更 Maintenance移行サービスまとめ - 各サービスの概要と影響範囲を示すインフォグラフィック
  • AWS CloudTrail Lake:CloudTrailのイベントデータをSQLで横断的に分析できる機能です。2026年3月31日に既に新規受付が停止されています。CloudTrailによるイベント記録そのものへの影響はなく、Lake機能(SQLによるイベント分析)のみが対象です
  • AWS Audit Manager:AWSの利用状況を自動的に監査し、コンプライアンスの証拠を収集・整理するサービスです。既存ユーザーは継続利用できます
  • Amazon Comprehend(Topic Modeling・Event Detection):自然言語処理サービスの一部機能がMaintenanceに移行します。感情分析やエンティティ抽出など他の基本機能への影響はありません
  • Amazon Rekognition(Streaming Events・Batch Image Moderation):画像・動画分析サービスの一部機能が対象です。顔認識やラベル検出といった他の主要機能への影響はありません
  • Amazon SNS Message Data Protection:Amazon SNSのメッセージ内の機密データを検出・マスクする機能がMaintenanceに移行します
  • AWS Glue Ray Jobs Feature:AWS GlueのRayフレームワークを用いた分散コンピューティングジョブ機能が対象です。AWS Glue全体への影響はありません
  • Amazon Application Recovery Controller (ARC) - Readiness Check:マルチリージョン構成のフェイルオーバー準備状況を確認するReadiness Check機能がMaintenanceに移行します
  • AWS IoT FleetWise:車両データをリアルタイムで収集・変換・クラウドに転送するIoTサービスです。自動車やモビリティ分野のシステムへの影響が想定されます

これらのサービスを現在使用しているチームは、新規プロジェクトへの適用を避けるとともに、代替手段の調査を始めることが推奨されます。

Sunsetに移行するその他のサービスと対応の考え方

Amazon RDS Custom for Oracle以外にも、今回の発表でSunsetステータスに移行するサービスがあります。

AWSサービスのSunset移行サービスと対応ロードマップ - 移行優先度と手順を示すインフォグラフィック
  • Amazon WorkMail:AWSが提供するセキュアなビジネスメール・カレンダーサービスです。終了日については今後別途発表される予定です。利用中の組織は代替メールサービスへの移行検討を開始する必要があります
  • Amazon WorkSpaces Thin Client:仮想デスクトップ(WorkSpaces)をシンクライアント端末から低コストで利用するためのサービスです。リモートワーク環境の移行先として他のワークスペースソリューションを検討する必要があります
  • AWS Service Management Connector:ServiceNowやJiraなどのITSMツールとAWSサービスを連携させるコネクタです。IT運用チームの自動化ワークフローに影響が及ぶ可能性があります

各ライフサイクルステータスに応じた対応の優先度を整理します。Maintenanceのサービスは既存環境への影響がないため急ぎの対応は不要ですが、新規採用の計画を代替サービス前提に切り替えることが必要です。Sunsetで終了日が確定しているサービス(Amazon RDS Custom for Oracle)は今すぐ移行プロジェクトを立ち上げることが求められます。終了日が未定のSunsetサービスは中期的な移行計画の策定を開始し、AWSからの続報を注視することをお勧めします。

クラウドアーキテクトが今すべき3つのアクション

今回の発表を受けて、クラウドアーキテクトやインフラエンジニアが優先的に取り組むべきアクションをまとめます。

1. 影響を受けるサービスの棚卸しを行う
自社・自チームで今回の対象サービスを使用しているかを確認します。AWS Cost ExplorerやAWS Configを活用することで、組織全体のリソース利用状況を横断的に把握することが効率的です。日常の開発業務の中で知らないうちに利用しているサービスが含まれているケースも想定されます。プロジェクトや部門をまたいで棚卸しを実施することが重要です。

2. 代替サービスを評価し移行コストを見積もる
影響が確認されたサービスについて、AWSが推奨する代替サービスを調査します。例えばApp Runnerの場合はAmazon ECS Express Modeが代表的な選択肢ですが、アプリケーションの構成やチームのスキルセットによって最適な移行先は異なります。プロトタイプを構築して動作を検証し、実際の移行工数とコストを試算したうえで意思決定することが重要です。

3. AWSの公式ライフサイクル情報を定点観測する
AWSは「AWS Lifecycle Changes」という公式ページでサービスのライフサイクル変更情報を随時公開しています。このページを定期的にチェックする習慣を持つことで、突然のサービス終了発表に慌てず対応できます。また、AWSのニュースブログやIT専門メディアも組み合わせて情報収集の仕組みを整備しておくことが望ましいでしょう。クラウドサービスは継続的に進化するため、変化をいち早くキャッチして計画的に対応することがクラウドアーキテクトの重要な役割のひとつです。

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