生成AIツール戦国時代の到来
2024年から2025年にかけて、生成AIツール市場は急速に拡大しています。ChatGPT、Gemini、Copilot——主要プレイヤーが次々と機能強化を行い、企業向け機能も充実してきました。しかし、選択肢が増えるほど「どのツールを選ぶべきか」という判断は難しくなります。
本レポートでは、Ragate株式会社が2025年12月に実施した505名への独自調査から、企業における生成AIツールの利用実態を詳しく分析し、ツール選定のポイントを解説します。
調査概要
本調査は以下の条件で実施しました。
- 調査期間:2025年12月11日〜
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 有効回答数:505名
- 調査対象:日本国内のビジネスパーソン(情報システム部門・DX推進室所属者)
回答者の約55%が技術系会社員、約41%が事務系会社員であり、企業のIT・DX推進に関わる層からの回答を得ています。
主要ツール利用率ランキング:ChatGPTが圧倒的シェア

ツール別利用率
業務で利用されている生成AIツール・サービスの利用率は以下の通りです。
ツール名 | 利用率 |
|---|---|
OpenAI ChatGPT | 45.5% |
Copilot for Microsoft 365 | 33.9% |
Google Gemini | 30.7% |
Perplexity | 12.9% |
Anthropic Claude | 12.7% |
GitHub Copilot | 12.7% |
Power Automate | 9.5% |
Google Vertex AI | 8.2% |
Azure OpenAI Service | 7.7% |
Dify | 6.6% |
Amazon Bedrock | 5.6% |
ChatGPTが45.5%で圧倒的トップを獲得し、Copilot for M365(33.9%)、Gemini(30.7%)が続く3強構造が明確になりました。
ChatGPT(45.5%):なぜ最も選ばれるのか

ChatGPTの強み
約2社に1社がChatGPTを業務利用しており、その理由として以下が挙げられます。
1. 先行者優位と認知度
2022年11月の公開以来、最も早く市場に浸透したことで、「生成AI=ChatGPT」という認識が定着しています。
2. 継続的な機能強化
GPT-4o、GPT-o1など、継続的なモデルアップデートにより、常に最先端の性能を提供しています。
3. エンタープライズ対応
ChatGPT Enterpriseの提供により、以下の企業向け機能が充実しています。
- データ学習オプトアウト(入力データが学習に使用されない)
- SSO(シングルサインオン)対応
- 管理コンソールによる利用状況可視化
- より高い使用量上限
4. 幅広いユースケース対応
文章作成、コード生成、画像生成、データ分析など、オールラウンドな対応力が強みです。
ChatGPTが適している企業
- 多様なユースケースで活用したい企業
- 最新のAI技術をいち早く取り入れたい企業
- 既存のワークフローに依存しない独立したAIツールを求める企業
Copilot for Microsoft 365(33.9%):エコシステムの強み

Copilot for M365の強み
約3社に1社がCopilot for M365を利用しており、Microsoft製品ユーザーにとって自然な選択肢となっています。
1. Microsoft 365との完全統合
Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなど、日常業務ツールとシームレスに連携します。
- Wordでの文書作成支援
- Excelでのデータ分析・関数生成
- PowerPointでのプレゼン資料作成
- Outlookでのメール作成・要約
- Teamsでの議事録自動生成
2. 既存投資の活用
すでにMicrosoft 365を導入している企業にとって、追加の学習コストなしで利用開始できます。
3. エンタープライズセキュリティ
Microsoftの企業向けセキュリティ基盤(Azure AD、Intune等)との統合により、既存のセキュリティポリシーをそのまま適用できます。
4. Copilot Studioによるカスタマイズ
Copilot Studioを使用することで、社内データに基づいたカスタムCopilotを構築できます。
Copilot for M365が適している企業
- Microsoft 365をメインで利用している企業
- 既存ワークフローへの統合を重視する企業
- セキュリティポリシーの一元管理を求める企業
Google Gemini(30.7%):マルチモーダルの先駆者

Geminiの強み
約3社に1社がGeminiを利用しており、Google Workspaceユーザーを中心に浸透しています。
1. マルチモーダル性能
テキスト、画像、音声、動画を統合的に処理するマルチモーダルAIとして設計されています。
2. Google Workspaceとの連携
Gmail、Google Docs、Google Sheets、Google Slidesなど、Google Workspaceツールとの統合が進んでいます。
3. 長文コンテキスト処理
最大100万トークンの超長文コンテキストに対応し、大量の文書を一度に処理できます。
4. Google検索との連携
最新の検索結果を参照できるグラウンディング機能により、情報の鮮度が高い回答を得られます。
Geminiが適している企業
- Google Workspaceをメインで利用している企業
- 大量の文書処理が必要な企業
- 最新情報の検索・要約を重視する企業
エンタープライズ向けサービスの台頭
クラウドAIサービスの利用状況
注目すべきは、エンタープライズ向けクラウドAIサービスの利用も一定の割合で存在することです。
サービス名 | 利用率 |
|---|---|
Azure OpenAI Service | 7.7% |
Google Vertex AI | 8.2% |
Amazon Bedrock | 5.6% |
これらのサービスは、セキュリティ要件が厳しい企業や既存クラウドインフラとの統合を重視する企業に選ばれています。
エンタープライズサービスの選定ポイント
観点 | Azure OpenAI | Vertex AI | Amazon Bedrock |
|---|---|---|---|
対応モデル | GPT-4o, GPT-o1 | Gemini Pro, Claude | Claude, Llama, Titan |
既存連携 | Azure/M365 | GCP/Workspace | AWS |
セキュリティ | 高 | 高 | 高 |
カスタマイズ性 | 中 | 高 | 高 |
ツール選定の4つのポイント
ポイント1:既存環境との親和性
最も重要な選定基準は既存のIT環境との親和性です。
- Microsoft環境が中心:Copilot for M365 + Azure OpenAI Service
- Google環境が中心:Gemini + Vertex AI
- AWS環境が中心:Amazon Bedrock
- マルチクラウド/独立運用:ChatGPT Enterprise
ポイント2:主な利用シーン
利用シーンによって最適なツールは異なります。
利用シーン | 推奨ツール |
|---|---|
汎用的な質問応答 | ChatGPT, Gemini |
文書作成(Word等) | Copilot for M365 |
データ分析(Excel等) | Copilot for M365 |
コード生成 | GitHub Copilot, ChatGPT |
社内ナレッジ検索 | Dify + RAG構成 |
ポイント3:セキュリティ要件
セキュリティ要件の厳しさによって選択肢が変わります。
- 標準的な要件:ChatGPT Enterprise, Copilot for M365
- 高度な要件:Azure OpenAI, Vertex AI, Bedrock
- 最高度な要件:Dify等でのオンプレミス/プライベート環境構築
ポイント4:コスト構造
ツールカテゴリ | 課金モデル | 概算コスト |
|---|---|---|
ChatGPT Enterprise | ユーザー/月 | $25-60/user |
Copilot for M365 | ユーザー/月 | $30/user |
クラウドAIサービス | API利用量 | 変動制 |
Dify(セルフホスト) | インフラ費用 | 変動制 |
複数ツール併用という選択肢
併用のメリット
調査結果を見ると、複数ツールを併用している企業が一定数存在することがうかがえます。併用のメリットは以下の通りです。
- ベンダーロックイン回避:特定ベンダーへの依存リスクを低減
- 用途別最適化:ユースケースに応じて最適なツールを選択
- 冗長性確保:障害時のバックアップ手段を確保
推奨併用パターン
- パターンA:ChatGPT(汎用)+ Copilot for M365(業務統合)
- パターンB:Gemini(検索・調査)+ GitHub Copilot(開発)
- パターンC:クラウドAIサービス(本番環境)+ ChatGPT(検証・プロトタイプ)
まとめ
本調査により、以下の点が明らかになりました。
- ChatGPTが45.5%で最大シェアを獲得し、Copilot for M365(33.9%)、Gemini(30.7%)が続く3強構造
- ツール選定は既存IT環境との親和性が最重要ポイント
- エンタープライズ向けサービス(Azure OpenAI, Vertex AI, Bedrock)も一定のシェアを獲得
- 複数ツール併用も有効な戦略
自社のIT環境、セキュリティ要件、主な利用シーンを踏まえて、最適なツール選定を行ってください。
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