セッション① Claude Code最新機能アップデート(Oikon氏)

オープニング後、最初のセッションとしてOikonさん(@oikon48)より、Claude Codeの2026年最新アップデートについてお話がありました。
開発速度が加速しているClaude Code
スライドには「60」と「869」という数字が大きく表示されていました。これは、2026年Q1のわずか2〜3ヶ月間に60回のバージョンリリース(v2.1.0〜v2.1.74)と、869項目ものCHANGELOGが積み上がったことを示していました。2025年10ヶ月間のリリース数59、項目303と比べると、バージョン数はすでに抜き、リリース項目は2倍以上。1月にlatestとstableのリリースチャネルが分かれた結果、Anthropicのエンジニアがlatestチャネルで大量の変更を投入するようになったことが背景にあるようです。
この数字を見て、私たちが使っているツールがこれほどの速度で進化しているのかと驚きました。「AIを使った開発の速度は、Anthropicの例を見るように、すごい速度で上がっている」「そのうち人間がチェンジログを追うことができなくなるだろう」「今のうちにAIツールの進化を実感できる貴重な時期」という登壇者様の言葉が心に残りました。
マルチエージェント: Agent Teams
Subagentの次のステップとして、Agent Teamsという新機能が紹介されました。複数のClaude Codeインスタンスが共有タスクリストとメッセージングで協調し、組織的にタスクを実行する仕組みです。各エージェントがalpha、bravo、charlie、deltaとNATOフォネティックコードで名前付けされているのは、チーム感があって面白いと思いました。

新しいTask SystemがAgent Teamsを支えており、タスクの状態(pending / active など)やブロッキング関係を共有する仕組みになっています。また、--worktreeフラグにより、git worktreeで各エージェントに隔離されたディレクトリを作成し、より並列開発しやすくなったとのことです。
「複数のClaude Codeインスタンスが共有タスクリストとメッセージングで協調する」 — Oikon氏スライドより
長時間駆動: /loop, Remote Control, Auto mode
/loopでは、cron式のスケジューリングに対応し、セッション内で最大3日間、定期的にプロンプトを実行することができます。例えば「5分ごとにデプロイ状況をチェック」「30分ごとにセキュリティレビューを実行」といった運用が可能です。
Remote Controlでは、PCのターミナルセッションをclaude.ai/codeからリモート操作できるようになりました。
Auto modeについては、人が介入せずにAIが自律的に権限の判断もしてくれるので、よりコアな判断に作業時間を割けそう、という期待が膨らみました。今後の展開がより楽しみになるお話でした。
その他の注目機能
- Auto Memory: 有用なコンテキストを自動保存し、
/memoryで管理。ミスした記憶を次のコンテキストに持ち込める機能として、実務での活用が期待できます。 - /simplify: 直近の変更コードをレビューし、品質改善を提案するコマンド
- /batch: 複数ファイルに同じ操作を一括適用できるコマンド
また、「意図していない出力が抑制される」といった改善も紹介されており、実用性が確実に高まっていることが実感できます。
セッション② Claude CodeでAI-DLCの実践(吉田真吾氏)

2つ目のセッションでは、AWS Serverless Heroでもある吉田真吾さん(@yoshidashingo)より、AI-DLC(AI-Driven Development Life Cycle) をClaude Codeで実践する方法についてお話がありました。
Oikon氏のセッションで「AIツールの進化速度」を学んだ後、次は「その進化したツールをどう使うか」という実践的な手法が示されました。
AI-DLCとは
AI-DLCは、AWSが策定・公開している「AI駆動のソフトウェア開発ライフサイクル」の手法です。従来の人間主導の開発プロセスに対し、AIを中心的な協力者として位置づけ、ソフトウェア開発ライフサイクル全体にAIの能力を組み込みることを目的としています。
オープンソースのワークフローはawslabs/aidlc-workflowsで公開されており、Kiro、Amazon Q、Cursor、Cline、Claude Code、GitHub Copilotなど、複数のエージェント・IDEに対応しています。
3フェーズのアプローチ
AI-DLCは以下の3フェーズで構成されます。
- Inception(計画): ビジネス意図を詳細な要件・ストーリー・作業単位に変換。AIの質問と提案をチームが検証する「Mob Elaboration」手法が用いられます。
- Construction(構築): 論理アーキテクチャ、ドメインモデル、コード、テストをAIが提案。チームが技術的決定やアーキテクチャ選択を即座に明確化する「Mob Construction」が行われます。
- Operation(運用): インフラストラクチャ・デプロイメントの管理
要件分析やリスク評価、段階的な承認など、人間がレビューし、AIが提案・実行する形で品質と速度を両立させる設計になっています。
質問表の設計が秀逸
登壇では、AI-DLCの質問表の作り方が紹介されていました。「どんなECサイトが欲しいですか」とオープンクエスチョンで聞かれても人間は仕様を書き下すのが難しい。一方、AI-DLCの質問表は「小規模・中規模・大規模」「物理的商品・デジタル商品」のように選択肢を用意して答えやすくしてくれるとのこと。要件や設計を曖昧なまま次のフェーズに進ませない設計になっており、実際のECサイト開発デモでも、質問に答えていくだけでインセプションフェーズからコンストラクションフェーズへスムーズに進む様子が紹介されていました。
所感
このワークフローを開発に持ち込めれば、顧客とのすり合わせがさらに高速化しそうだと確信しました。特に、要件定義から設計までをAIがサポートし、人間がレビュー・承認するフローは、弊社のプロジェクトでも活用できる可能性が高いと感じています。
吉田さんは「本に書いた手法は入り口。本格的な開発ライフサイクルを実現したい人にはAI-DLCを全押ししている」「方法論がよくわからなくても、ワークフローのツールとして使ってみるのもあり」と語っており、ぜひ自社にも取り入れてみたいと考えています。実際、現在のプロジェクトで顧客要件の曖昧さに悩むことが多いので、このアプローチは即座に試す価値があると思います。
セッション③ DeepDive Chrome DevTools MCPなぜこれを使うのか、実用までの工夫(Kuu氏)

Kuuさん(@Fumiya_Kume)よりChrome DevTools MCPの活用についてのセッションがありました。
制約環境での工夫
登壇者様(メルカリのソフトエンジニア)の会社では、セキュリティの理由でChrome拡張機能の追加が禁止されているという制約があるそうです。「上に政策あれば下に対策あり」という言葉が秀逸だと思いました。ルールを守りつつ、Claude for Chromeは使えない前提で、Chrome DevTools Protocol(リモートデバッギングポートでWebSocketのJSON-RPCを喋る仕様)をMCPサーバーでラップしたChrome DevTools MCPであれば、Chrome拡張なしで使えるという切り口でした。
Opus4.6のバランス
Opus4.6以前は、AIからするとChrome DevTools MCPは「抽象度が高くて使いやすい」一方、Opus4.6以降は「抽象度高すぎてtoo much」とも。
逆に、適当なJavaScriptを書かせて操作した方が小刻みな操作がしやすいという現実もあり、ローレイヤーなツールの方が強いモデルには合うとのこと。Chrome DevTools MCPはそのバランスが良いと紹介されていました。
実務での活用例
WebアプリのUI実装をClaude Codeに任せ、実装したものをChromeで起動して操作させる。バグを発見したら、DevTools経由でネットワークヘッダーやコンソールログを見て原因を調べさせ、修正後に動作確認まで一連の流れで任せる。こうした使い方ができるのは、開発者が必要な情報を同時に取得できるDevToolsの強みだからこそです。
また、Chrome DevTools MCPにPR descriptionを整備させて、スクリーンショットを撮らせ、それをGitHubのPull Requestに貼らせるといった面倒な操作をAIにさせることができる。こうした細かい自動化の積み重ねが、開発効率を大きく左右するのだと実感しました。
ユーモラスなユースケース
「Chrome DevTools MCPの悪用方法」として、勤怠申請…こっからは放送されちゃうんでよくないんですけどといったジョーク混じりでのユースケースが紹介されました。IDPで認証した状態で面倒な社内操作をAIに投げられる、という上手に使えばMCPの柔軟性や可能性を感じさせる内容でした。
次のステップ:学んだ知見を実践へ
今回のMeetupを通じて、Claude Codeの進化速度の速さと、マルチエージェント・長時間駆動といった新たなパラダイムを肌で感じることができました。
3つのセッションから得た学びは、それぞれが異なる視点を提供してくれました。Oikon氏のセッションで「ツールの進化速度」を知り、吉田さんのセッションで「その進化したツールをどう使うか」という実践的な手法を学び、Kuuさんのセッションで「制約環境での工夫」という現実的な対応方法を知ることができました。
特に心に残ったのは、これらの技術が「いつか使う技術」ではなく、「今、現場に取り入れるべき技術」だということです。Agent Teamsの複数エージェント協調実行は、大規模なタスク分割や並列開発に即座に活かせます。AI-DLCの要件定義から設計までのワークフローは、顧客とのすり合わせや社内の開発プロセス改善に直結します。そして、Auto modeとAuto Memoryは、人がやるべき作業に集中し、コンテキストを継続的に持ち込むことで、開発の生産性をさらに高めてくれるでしょう。
今回学んだ内容を、日々の開発やクライアント支援に活かしていきたいと思います。
















