LTS TechDay 2025 に、Ragateから3名で登壇しました

先日、LTSグループが主催する社外オープンテックイベント「LTS TechDay 2025」に参加してきました。開催日は2025年12月20日(土)。Ragateからは3名が登壇し、それぞれの視点でセッションを行いました。
私が担当したセッションのタイトルは「AI-DLC仕様駆動開発の潮流とエンジニアの将来展望」。タイトルだけ聞くとなかなかアカデミックに聞こえますが、要するに「AIを現場に導入しようとしたら何が起きたか」の実体験レポートです。きれいな成功談だけをお届けするつもりはなくて、最初にうまくいかなかった話、現場がなかなかAIを使ってくれなかった期間の話、それでも諦めなかった理由——全部テーブルに出してきました。
「LTS TechDay」は、LTSグループの社員が「好きなことを好きに話せる場」として設けているオープンイベントです。参加者のレベルが高く、発表後に刺激的な議論が飛び交う場でもあって、個人的にはとても楽しい場でした!
きっかけはCursorとの出会い
AI駆動開発の話をする前に、私たちの転機となったひとつのツールについて触れておきたいと思います。AIコーディングツール「Cursor」との出会いです。
Cursorは、VS Codeをベースにしたエディタで、IDE上でAIが直接コードを提案・補完してくれます。初めて触れたとき、率直に衝撃を受けました。コードを書いている最中にAIが文脈を読み取り、次に書くべきコードを的確にサジェストしてくれる——まるで、隣に優秀なエンジニアが座ってペアプログラミングをしているような感覚でした。
それまでのAIコーディング支援といえば、チャット画面にコードを貼り付けて質問するという「往復」が前提でした。Cursorはそれを根本から変えました。開発のフローを中断することなく、書いているその場でAIの力を借りられる。「これは使える」——チーム内でそう直感したメンバーは少なくありませんでした。
このCursorとの出会いが、私たちにとってAI駆動開発への本格的な一歩となりました。
最初はうまくいかなかった、正直な話

ChatGPTが世を席巻し始めた頃、私たちも「これで生産性が上がる!」と胸を躍らせながらAIツールを現場に導入しました。ところが現実は甘くなかった。
「AIが出すコードは信用できない」という心理的抵抗、ツールを用意しても「使う理由がない」と感じるメンバーたち、プロンプトの品質がバラバラで、アウトプットも安定しない——正直なところ、数ヶ月はほぼ「使われない日々」が続きました。
この経験から気づいたのは、導入がうまくいかないのはツールの問題ではなく、仕組みと文化の問題だったということです。
この「失敗した話」をきれいに省いてしまう発表が多い中、Ragateとしてはあえて全部正直に話しました。それが誰かの役に立つと信じていたので。実際、発表後に「自社でも全く同じことが起きていた」という声をたくさんいただきました!
転換点は「仕組みで解く」という発想
諦めずに向き合い続けた結果、問題の核心が見えてきました。エンジニアがAIを使いこなせないのは、「AIの使い方を知らない」のではなく「何を渡せばよいかがわからない」のだ、と。
そこで着手したのが2つの取り組みです。
ひとつ目はRAG(検索拡張生成)の整備。社内ドキュメント・過去案件・コーディング規約をナレッジベース化し、AIが「文脈を知った状態」で答えられる環境を構築しました。ふたつ目は育成プログラムの設計。プロンプトの書き方、仕様書の渡し方、AIとのペアプロの作法を体系化してチーム全体に展開しました。
「AIに仕様を渡す」ための仕様書の書き方自体を見直す——これが「仕様駆動開発」との接続点です。AIはざっくりした指示より、構造化された仕様に対して圧倒的に良いアウトプットを返します。仕様書を書く文化が、そのままAI活用の底力になる。この発想の転換が分岐点でした。
成果:生産性30%向上・工数50%削減

地道な取り組みを続けた結果、数字に変化が現れ始めました。
📈 生産性 30% 向上 / ⏱️ 工数 50% 削減——これは特定のエースエンジニアだけの話ではありません。RAG整備と育成プログラムによって「組織全体で適応した」結果として生まれた数字です。
AIが使えるエンジニアを増やすのではなく、AIが使いやすい組織をつくる——この発想の転換が、Ragateにとっての本当のブレイクスルーでした。
登壇を終えて
発表後、参加者の方から「自社でも同じことが起きていて、どこから手をつければいいかわからなかった」という声をいただきました。AI導入に悩んでいるチームは、私たちだけではなかったのだと改めて実感しました。
失敗も含めて正直に話せたことで、「リアルな話が聞けた」と言っていただけたのが一番うれしかったです。きれいな成功談より、泥臭い実体験の方が誰かの役に立つこともある——そう信じて登壇してよかったと思っています。
AI駆動開発は「ツールを入れたら終わり」ではありません。仕組みをつくり、文化を育て、組織全体で適応していくプロセスです。Ragateはその道のりをまだ歩き続けています。同じ悩みを抱えているチームの方、ぜひ気軽にお声がけください!















