AIで事業を加速させる ― Cursor全社導入からOpenClawによる「仮想従業員」構想まで

益子 竜与志
益子 竜与志
XThreads
最終更新日:2026年03月06日公開日:2026年03月06日

今回は、僕たちが今まさに取り組んでいる「AIによる業務の省力化」と、その先に見えてきた「AIエージェントが自律的に稼働する未来」について書いてみます。経営者としてのリアルな実感と、テクノロジーへのワクワクを両方お届けできたらなと思います。

AIによる業務省力化 ― 4つのテーマで成果が出ている

最近のRagateは、AIによる業務の省力化にかなり力を入れています。特に成果が顕著なのが、コンサルティング、開発、マーケティング、採用の4テーマです。

約10年近く経営をしてきて、SI・コンサルティング市場で勝ち続けるためのKSF(Key Success Factor)は、突き詰めると以下の3つだと確信しています。

  • プロフェッショナル人材の創出と仕組化
  • 自社カルチャーにフィットする人材の採用とリテンション
  • マーケティング・定常業務の"量"をこなすこと

そして振り返ると、AI導入はこの3つすべてに対して効果てきめんでした。

各テーマでのAI活用のリアル

採用 ― パーソナライズされたダイレクトスカウト

採用領域では、ダイレクトスカウトにAIを活用しています。スカウト対象の方のプロフィール情報と自社の情報をRAG化し、一人ひとりにパーソナライズされたメッセージを生成・送信する仕組みを構築しました。もちろん、PII(個人識別情報)の取り扱いには万全の対策を施しています。

テンプレ感のないメッセージが届くことで、候補者の方にも「ちゃんと自分のことを見てくれている」と感じてもらえている実感があります。

開発 ― Cursorによるハードスキルの補完

全社導入を決めたAI駆動開発製品のCursor、コンサルティングから開発まで幅広いシーンで活躍
全社導入を決めたAI駆動開発製品のCursor、コンサルティングから開発まで幅広いシーンで活躍

開発領域では、Cursorの導入がプロフェッショナル人材の創出を大きく加速させました。エンジニア一人ひとりのハードスキルをAIが補完してくれることで、経験の浅いメンバーでも高品質なアウトプットを出せるようになり、チーム全体の底上げにつながっています。

マーケティング ― コンテンツ制作とウェビナーの効率化

マーケティングでは、コンテンツマーケティングとウェビナーの領域で特に効果が大きかったですね。ブログ記事の執筆はもちろん、ウェビナーの企画から実行までをAIが大幅にサポートしてくれています。

ただし、RAG用の情報をしっかり整備しなければ品質は担保できないので、コストがゼロになるわけではありません。このあたりは「AIに丸投げ」ではなく、「AIとの協働」という意識が大切です。

Cursor全社導入という"力技"が功を奏した

今期、RagateではCursorを全社へ強制的に導入するという、ある意味"力技"を実行しました。

主要メンバーで先行導入を進め、効果が出ることを確信した上で、社内のバリューチェーンを一気に塗り替えたんです。結果として、以下のような成果が生まれています。

  • 大幅な原価削減
  • 社員のモチベーション・エンゲージメントの向上
  • 離職率の大幅低下
  • 顧客満足度の向上

100名に満たない当社の規模だからこそ、AI浸透をどこよりも圧倒的に早く実行できました。そして、もともと持っていた魅力的なケイパビリティ(先進領域の開発、コンサルティング力)を、より多くの場面で活かせるようになったと感じています。

一度AI駆動でいろいろとやってみると、もうAI無しには戻れません。Claude CodeによるAgent Teamsなど、AIの進化はますます加速していて、本当に目が離せない状況です。

OpenClawの登場 ― 「仮想従業員」の時代が見えてきた

メール整理からスケジュール管理まで、お気に入りのチャットアプリから全部できる。世界中の開発者が使っています。
メール整理からスケジュール管理まで、お気に入りのチャットアプリから全部できる。世界中の開発者が使っています。

そして最近、僕たちのAI研究がさらに飛躍するきっかけとなる出来事がありました。OpenClawの台頭です。

OpenClawは、2025年11月にオーストリアの開発者Peter Steinberger氏が公開したオープンソースのAIエージェントプラットフォームです。2026年1月末にバイラル的に話題が広がり、GitHubスターは24万を超えるなど、史上最速クラスの成長を遂げています。

OpenClawの何がすごいかというと、ローカルマシン上で自律的にタスクを実行できるという点です。WhatsAppやTelegram、Slack、Discordといったメッセージングアプリを通じてやりとりしながら、メール管理、カレンダー操作、ファイル整理、コード生成、ブラウザ操作など、幅広い作業を自動的にこなしてくれます。

さらに「Heartbeat」機能により、人間が指示しなくても定期的に自ら確認・行動することが可能です。これはつまり、Mac MiniやMac Studioにインストールして電源とLANケーブルをつないでおけば、24時間365日フル稼働してくれる"仮想従業員"を雇えるということです。

雇用のパラダイムシフト ― ベンチャー経営の視点から

これは、従業員の雇用におけるパラダイムシフトになると捉えています。

従業員を雇用すれば、人事評価制度の運用やMBOをはじめとした個別評価の支援、そして何より人として寄り添ったサポートが必要になります。Ragateではこのあたりをかなり整備して実行しているので、相応のコストがかかっています。

ベンチャー企業経営で最も重要なのは、長く走り続けられる体力を維持することです。人件費やマネジメントコストが財務上の負担になってしまう可能性は、どの経営者も感じているのではないでしょうか。

人が必要な業務には当然人が必要です。しかし、コストを優先すべきではないような定型的なビジネス活動は、AIエージェントで軒並み代替できると考えています。雇用せずに済むなら、その分のコストを本来投資すべき活動に集中できます。ベンチャーの体力という観点では、この考え方は極めて重要です。

具体的な構想 ― ハードウェア×AIエージェントの融合

現在構想しているのは、以下のような段階的なアプローチです。

フェーズ1(現在〜春) Mac Miniを調達し、OpenClawとAIエージェント製品(Claude Code、Cursorなど)を搭載して検証を開始。小規模な業務自動化から着手し、セキュリティ面も含めた運用ノウハウを蓄積します。

フェーズ2(夏頃〜) 超ハイスペックなMac StudioやVRAM搭載のPC(メモリI/Oが高速なマザーボード必須)を調達し、ローカルLLMも搭載。本格的にAIエージェントを始動させ、24時間休みなく稼働させる体制を構築します。

従来の「人間が都度実行する同期スタイル」のAI活用から、AIが自律してタスクを自ら生成し、こなす時代がいよいよ到来しようとしています。

なお、OpenClawについてはセキュリティ面の課題も指摘されています。悪意のあるスキルがClawHubで配布されたケースや、設定ミスによるインスタンスの公開露出なども報告されているため、導入にあたっては十分なセキュリティ対策が不可欠です。このあたりも含めてしっかりR&Dを進めていきます。

まとめ ― AIとともに、次のステージへ

AIの進化は本当に目覚ましく、ほんの数ヶ月前とは景色がまるで違います。Ragateでは、Cursor全社導入による生産性向上を皮切りに、OpenClawを活用した「仮想従業員」構想へと一歩ずつ進んでいます。

SI事業部の各メンバーと連携し、まずはR&Dをしっかりと回していきたいと思っています。テクノロジーの力で、自分たちの働き方も、顧客への価値提供も、もっと良くしていける。そう確信しています。

ほんとに楽しみな時代です。一緒にワクワクしていきましょう。

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